【研究開発活動】

(1)日清食品

 「EARTH FOOD CREATOR」というグループ理念に基づき、即席めんを中心とした製品開発、健康と栄養に関する基礎・応用研究及び環境保全対策の研究を行っております。即席めんでは、「カップヌードル」の美味しさはそのままに塩分を30%カットするとともに、1日分のカルシウムとビタミンDを配合した「カップヌードル塩分控えめPRO 1日分のカルシウム&ビタミンD」を発売いたしました。

 健康関連では、見た目や美味しさはそのままに、カロリーや塩分、糖質、脂質、たんぱく質などがコントロールされ、日本人の食事摂取基準で設定された33種類の栄養素をバランスよくすべて接種できる「完全メシ」ブランドの開発を進めております。また、将来的な食糧危機や地球温暖化解決の一助と期待される代替肉の開発や「培養肉」の研究(東京大学と共同研究)、パーム油を代替する酵母生産油脂の研究にも取り組んでおります。

 グローバルイノベーション研究センターでは、この他にも菓子類の開発や、製品開発を支える取り組みとして、本格的な美味しさを低コストで実現するために調味料や天然香料の研究開発を行っております。今後も新しい技術開発を進め、お客様のニーズに迅速に応えるべく付加価値の高い製品開発を行ってまいります。

 

(2)明星食品

 コーポレートスローガンの「おいしさ、キラリ☆」に加えて、「からだ、キラリ☆」、「地球、キラリ☆」を意識した研究開発活動を行っております。即席めんを主軸とする商品開発に加え、CSV経営のさらなる推進を目指し、健康増進、環境保全対策への取り組みのための研究開発を進めております。

 お客様のニーズへの対応と明星食品ブランドのブラッシュアップのため、主要アイテムを「全麺改良」として幅広く商品リニューアルを行いました。2022年6月にリニューアル発売した「明星 一平ちゃん夜店の焼そば」は麺へのソース量を従来の1.3倍量練り込むことで、更なるソースの香ばしさと味わいを表現いたしました。2022年9月リニューアル発売の「明星チャルメラ しょうゆラーメン」をメインとした「明星チャルメラ 袋麺」シリーズは、ホタテだしを麺に練り込むことで、旨味とコクを強化いたしました。

 健康訴求商品として、低糖質でありながら、つるみがありおいしく食べられる麺を開発し、「明星 ロカボNOODLESおいしさプラス こってり醤油/濃厚鶏白湯/ピリ辛酸辣湯」として商品化いたしました。低糖質に加え、高タンパク質、PFCバランスもとれており、おいしさと健康を両立させた商品であります。明星食品のノンフライ麺技術を進化させることで、低糖質でありながら「つるっと食感」を実現いたしました。具材には、大豆たんぱくを主原料とした「プロテインキューブ」を開発いたしました。減塩ブランドである「明星 評判屋」シリーズは「明星 評判屋 重ねだし醤油ラーメン」をメインに、新規減塩技術にて、日本食品標準成分表2020年版(八訂)から25%減塩を実現いたしました。

 環境保全対策として、バイオマスインキの使用を推進いたしました。主力商品である「明星 一平ちゃん夜店の焼そば 大盛」の外包装カラーシュリンクフィルムなどへの採用を拡大いたしました。

 

(3)低温・飲料事業

(チルド食品)

 チルドめんならではの本格感を訴求した製品に加えて、新たなチャネル拡大、環境に配慮、多様化するニーズに対応した製品の開発にも取り組んでおります。弊社独自の「おいしさ長持ち製法」で生めんなのに常温50日保存できる製品の拡充により、冷蔵コーナー以外の通販やお土産市場での販売が可能になり取り扱いチャネルが拡大いたしました。また、食品ロスやプラスチック原料の削減の為に賞味期限延長やトレー削減を行い、糖質OFFの「もちっとロカボ麺」や減塩だれの「日清のラーメン屋さん 冷し中華」を開発しました。

 新製品では、内食化による外食品質のニーズの高まりから「食べログ百名店 博多一双」、レトロな「日清Spa王 喫茶店のナポリタン/たらこバター醤油」、各ジャンルの主力ブランド「行列のできる店のラーメン 鶏しょうゆ/クリア豚骨/鶏塩そば」、「日清の太麺焼そば 豚ニンニク醤油味」などを新発売いたしました。アレンジを楽しめる素材麺とスープパック製品「麺の達人」、「スープの達人」も拡充いたしました。

 今後も、外食品質の本格的な製品や環境に配慮した地球にやさしい製品の開発、多様化するお客様のニーズに応える新価値の創造など、新技術や新製品の研究・開発に努めてまいります。

(冷凍食品)

 冷凍食品の強みを活かした「簡単に調理できる本格的な美味しい料理」を、中華めん、パスタ、和物、米飯ジャンルからバラエティ豊かな製品の開発に取り組んでいます。中華めんでは、粘度と濃厚なスープが特徴の思わず喉を鳴らす新ブランド「冷凍 日清ごくり。」、弊社独自の、ゆでたて直後の麺のおいしさをそのまま冷凍した「生麺ゆでたて凍結製法」の「冷凍 日清本麺 ワンタン麺」を開発いたしました。

 パスタでは、「冷凍 日清もちっと生パスタ 海老のチーズクリーム/ジェノベーゼ」、「冷凍 日清スパ王プレミアム 高菜とめんたいこ/サーモンのバター醤油」、和物では、「冷凍 日清具多 旨辛チゲうどん」、若年層向けのガツンとした食べ応えの「冷凍 日清まぜ麺亭 ニンニクまぜそば/こく旨醤油の極太まぜ麺」、米飯では、名店のラーメンの味を炒飯で再現した「冷凍 日清 麺屋の炒飯 篝監修 鶏白湯炒飯/麺屋一燈監修 濃厚魚介だし炒飯」などの新メニューを開発いたしました。

 これからも、「本格的な美味しさ」と「調理の簡便化」の研究開発を続け、お客様のニーズにお応えしてまいります。

 

(飲料)

 日清ヨーク㈱においては、開発研究所が関東工場内にあるという立地を生かし、スピード感をもって新商品やリニューアル品開発を行うと共に、乳酸発酵に関する研究を行っております。開発商品群としては、発酵乳、乳製品乳酸菌飲料、乳酸菌飲料、清涼飲料があり、「みんなイキイキ!」のコーポレートスローガンのもと、主力の「十勝のむヨーグルト」、「ピルクル」ブランドの一層の強化とともに、日清ヨーク㈱のコア技術である発酵技術を生かした高付加価値製品の開発にも注力し、美味しく健康に役立つ商品の開発を行っております。

 発酵乳では、高めの血圧を下げ、一時的な精神的ストレスも緩和できる機能性表示食品「毎日のむ血圧ケアヨーグルト」を発売いたしました。「十勝のむヨーグルト」はコップ一杯 (180g) あたり乳酸菌NY1301株を400億個含んだ “腸内環境を改善” する機能性表示食品であります。「プレーン」、「ブルーベリー」、「いちご」の定番フレーバーに加えて、季節ごとに「グレープフルーツ」、「レモン」、「りんご」、「みかん」、「輝く果実味」の期間限定フレーバーを発売し、ブランドに鮮度感をもたせております。また、糖質を気にされるお客様向けの「糖質オフ」も含めてブランドとしての品揃えを充実させております。

 乳製品乳酸菌飲料では、生きたまま腸に届く乳酸菌NY1301株を600億個含み「睡眠の質を改善し日常生活の疲労感軽減」、「腸内環境改善」をヘルスクレームとした機能性表示食品「ピルクル ミラクルケア」を発売いたしました。「ピルクル」のエクステンションとして、カルシウムと8種のビタミンが摂れる栄養機能食品「ピルクル400 Ca&V」、「ピルクル まろやかはちみつ」、「爽やかピルクル マスカット」、「ピルクル The濃厚」、「フルーツリッチピルクル あまおうMIX」を発売し、細分化するお客様の嗜好や健康意識に対応した商品ラインアップを揃えることで、「ピルクル」ブランドの活性化と価値の向上に努めてまいりました。

 乳酸菌飲料では、グルコサミン塩酸塩を1,500mg (65ml×2本あたり) 配合し、手軽においしくひざのケアができる機能性表示食品「ひざアクティブ ピルクル風味」について、従来の「ひざ関節の曲げ伸ばしをサポートし、ひざの不快感を緩和する」機能に加えて、乳酸菌NY1301株400億個による「腸内環境改善」の機能を追加するリニューアルを行っております。

 

(4)菓子事業

 日清シスコ㈱は、「もっと楽しく、健やかに。」のスローガンのもと、品質的価値や健康機能的価値をもつ付加価値の高い商品開発と、既存ブランドの強化に取り組んでおります。

 「シスコーン」シリーズを全品乳成分不使用配合にして、乳アレルギーのあるお客様にも安心してお召し上がりいただけるようリニューアルいたしました。一方、農水省のプロジェクトに参加して、国内牛乳・乳製品の消費拡大や酪農家を支援する一環で、「なぞのシスコーン ひみつのバナナ味」、「まほうのシスコーン パイナピー味」、「へんしんまぜまぜシスコーン いちごミルク味」など、牛乳が苦手なお子様が、楽しみながら牛乳と一緒に食べられる期間限定品を商品化いたしました。

 「ごろグラ」シリーズでは、「糖質40%オフ彩り果実」、パッケージに紙包材を使用し、植物由来の原料で仕上げた地球にやさしく社会貢献にもなる「Plant Based 3種のナッツとオーツ麦」を商品化いたしました。

 ビスケットカテゴリーでは、本来は捨てられるはずであったものに新たな価値を付加して生まれ変わらせる「アップサイクル」をコンセプトに、年間3~6t廃棄されているというおからに着目し、食物繊維豊富なおからを活用した、からだへの配慮とフードロス削減を目指した「アップサイクルクッキー いいとこどり ベイクドチーズ味/ココア味」を商品化いたしました。1食当たりの糖質を約8.8gに抑えた一口サイズの食べやすいクッキーであります。

 チョコレート菓子カテゴリーでは、カカオを贅沢に使用したマイルドビターチョコレートの「チョコフレーク マイルドビター」、「クリスプチョコ マイルドビター」を商品化いたしました。また、日清シスコ㈱のチョコフレーク史上、最高のチョコかけ量を実現した「チョコフレーク チョコかけ200%」を商品化し、ブランドの品揃えを充実させております。

 今後もグループの研究機関と連携を図りながら、お客様にもっと笑顔で元気になっていただける、日清食品グループならではのオリジナリティーの高いシリアル及び菓子の商品開発に取り組んで参ります。

 

 ㈱湖池屋は、「湖池屋プライドポテト」、「PURE POTATO じゃがいも心地」、「湖池屋ストロング」、「The KOIKEYA」等の高付加価値ブランドを中心として、社会変化・生活変化・意識変化に対応した新市場創造型の商品開発に取り組んでおります。

 新商品として、若年層を中心に広がる主食と間食の境界線がなくなる“分食化”に対応する次世代型の個包装スナックとして、細切りの国産じゃがいもをアンチョビオリーブの濃厚ソースと一緒に絡め、丸い1枚に整えた高密度ポテトチップス「濃いじゃが アンチョビオリーブ」を発売いたしました。また、湖池屋ポテトチップス60周年を記念し、減プラスチックへつながる取り組みとして、パッケージの素材に「紙」を使用した「The KOIKEYA」シリーズにおいては、独自の技術を元に海老本来の旨みを贅沢に味わえる「KOIKEYA The海老」を発売いたしました。

 既存商品として、「スコーン」では35年目のフルモデルチェンジを実施し、時代の変化にあわせ、本格的で濃厚な味わいはそのままに、生地の食感・味付け・パッケージデザイン等を刷新してリニューアル発売いたしました。また、地域とともにテーマに取り組み、商品を通じた社会貢献を目指すプロジェクトである「JAPANプライドポテト」においては、海岸清掃活動で回収された海洋プラスチック(ポリタンク)等をリサイクルした再生樹脂を使用した「オーシャンプラスチック買い物かご」を宗像市等に設置したことをはじめ、「宗像」、「小豆島」、「今金」、「金沢」、「熊本」の各展開地域への貢献・振興に沿った企画を実施いたしました。

 企業におけるSDGs推進活動の一環として展開するアニメーション湖池屋SDGs劇場「サスとテナ」は、2021年10月より放映を開始し、2022年4月、10月にシーズン2、シーズン3を放映いたしました。シーズン3においては、SDGsと並んで世界的にも重視されているウェルビーイング(well-being)の観点からも多くのテーマを取り上げたことに加えて、新たにアニメに登場する“SDGs怪獣”を募集する等、お客様とのコミュニケーション企画を実施いたしました。

 今後も「食でくらしをゆたかに。」をテーマに、社会に貢献する食のイノベーションの実現に向けた商品・ブランド・コミュニケーションの開発を続けてまいります。

 

 

(5)食品安全や環境経営への取組み

 グローバル食品安全研究所では、食品安全に関する先進研究として新規危害物質の探索・合成・分析法や、健康影響を評価する細胞試験法などを確立してまいりました。2021年12月に開催された東京栄養サミットにおいて、食物アレルゲン推奨表示項目の一斉分析法の開発とその運用をコミットメントの一つとして発表し、製品検査への運用を目指して分析法開発を進めております。また、2023年3月の食品表示基準改正により新たに特定原材料に指定された「くるみ」のPCR検出技術を開発し、くるみを含む食品の検査方法として通知法に採用されております。

 さらに、当社グループの事業分野拡大やグローバル化に対応し、国内事業を対象に実施していた各工場と研究所による製品検査の二重管理体制、及び分析技術の精度管理試験を通じた集中管理体制について、新規事業や海外事業へも拡大しております。今後も、新規事業・海外事業での品質保証体制への支援強化を継続し、新規分析法や迅速検査法の確立によりグループ事業全体の食品安全向上に貢献してまいります。

 製品や原料の生産現場における調査・監査体制につきましては、独自に定めた「日清食品 食品安全監査基準NISFOS(Nissin’s Inspection Standards for Food Safety)」による製造環境の調査を通じて改善を図っております。2020年度に、官能検査、原料の受入れに関する詳細確認、外国人従業員の増加、食品偽装への対応を強化するためにNISFOSを改訂し、2022年にはIRCA(International Register of Certificated Auditors)より、NISFOSがISO22000規格と同等以上の監査規格であると認定されております。これを用いた監査により、今後も各工場における品質・食品安全管理を強化してまいります。

 さらに、持続性のある地球環境を維持するためのCSV経営推進のための取り組みとして、日清食品独自の環境活動検査基準RISEA(Food Safety Research Institute's Inspection Standards for Environmental Activities)による調査を通じて、グループ工場における環境関連法規への遵守状況や、省エネルギーによる温室効果ガス削減および資源3R(抑制:Reduce、再利用:Reuse、再資源化:Recycle)などに関連する環境活動を評価しながら改善を図っております。

 当社グループの環境戦略であるEARTH FOOD CHALLENGE 2030の目標達成に向け設置されたサステナビリティ委員会および同・環境ワーキンググループの事務局としての活動もその重要度を増しております。加えて、2022年11月には、森林破壊などによる自然や生物多様性の減少をプラスに回復させる「ネイチャーポジティブ (Nature Positive)」に向けた活動を推進し、2050年までにCO2の排出量と吸収量を“プラスマイナスゼロ”にする「カーボンニュートラル」の達成を目指すことを宣言いたしました。

 CO2削減、プラスチック、水資源保全、食品廃棄物など様々な環境課題に対し、データ解析など研究所としての視点と、工場や製品開発部門などの現場とも連携し、目標達成のロードマップ策定と施策を立案・実行にすることにより、当社グループのCSV経営の推進に寄与できるよう取り組んでまいります。

 グローバル食品安全研究所での上記の様々な活動により、食物アレルゲン検査法開発やリスク評価手法開発について大学や公的機関と共同研究を推進し、2022年度には学会発表5件、学術論文1報の学術的成果も創出しております。

 

 当連結会計年度の研究開発費は11,353百万円であります。

 なお、当社グループの研究開発費用は、報告セグメント別に区分することが困難であるため総額で記載しております。