業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度における我が国の経済状況は、新型コロナウイルス感染症の影響により経済活動の制約を受けてきましたが、国内における行動制限や海外からの入国制限の緩和等により社会環境の正常化が期待され、景気回復の兆しが見え始めております。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、不安定な世界情勢やエネルギー・資源コストの高騰などにより、先行きが不透明な状況が続いております。
基幹業務クラウドサービスや業務ソフトウェアの提供においても品質・サービスを維持するための費用が増加するなか、可能な限りの品質維持とサービス原価の低減、業務効率化等を行ってまいりましたが、当社においても2023年7月より各種PCAソフトや保守契約等の製品・サービスの価格改定を行うことといたしました。
新型コロナウイルス感染拡大防止への対応として、当社は「PCA-Style」(3密防止、消毒、検温、トレース管理の徹底)での活動を徹底しております。
新型コロナウイルス感染拡大防止への対応にかかる基本方針として
・お客様、パートナー様と弊社社員及び家族の生命・健康を最優先とする
・感染者の増加を未然に防止する
・お客様から求められるサービスを可能な限り維持する
を掲げ、全事業所で「新しい生活様式」を取り入れ、リモートワークを併用した働き方を実践し、政府・各地方自治体の方針に準拠した活動を実施してまいります。
当社グループではテレワークや在宅勤務・時差出勤の環境の中で業務改善につながる製品サービスを提供し、引き続き販売パートナーとともにクラウド&ソリューションサービスを中心にサービスを展開しています。
その中で、中小・中堅企業における社内業務や企業間取引のペーパーレス化を推進し、日本社会のデジタル化を実現するためのサービスである「PCA Hub」シリーズの第一弾として2022年3月にリリースしたオンラインストレージサービスである「PCA Hub eDOC」に、AI-OCR機能のオプションを搭載し、国税関係書類等をAI-OCRで自動読取し登録する事が可能となる新サービスの提供を2022年11月より開始しました。続いて「PCA Hub 給与明細」「PCA Hub 取引明細」を2023年3月にリリースいたしました。
「PCA Hub 給与明細」は、給与明細書や賞与明細書など、給与計算業務において配付している紙の帳票を電子配信するサービスになります。また「PCA Hub 取引明細」は、取引先に発行している紙の請求書を電子配信することが可能なサービスになっており、2023年10月より開始されるインボイス制度への対応においても、適格請求書の電子配信はもとより、請求業務をデジタル化することによる業務効率向上にも有効なサービスです。
各種 PCAソフトとのデータ連携も可能になっており、これまで手作業で行っていたバックオフィス業務のデジタル化を実現し、業務担当者の生産性向上にも貢献するサービスとして、リリース開始後1年で2,000社の導入を目指します。
今後も弊社では、「マネジメントサポート・カンパニー」としての地位を確立するために、業務管理ソフトウェア・サービスの提供にとどまらない課題解決サービスを提供し、お客様の社業の発展となる「カスタマーサクセス」に貢献してまいります。
PCAクラウドシリーズの利用法人数は2019年12,070法人、2020年14,327法人、2021年16,444法人、2022年19,152法人、2023年21,022法人となり、サービス開始15年目で利用法人数20,000法人を突破し順調に推移しています。「PCAクラウド」「PCAクラウド on AWS」は、自社でのサーバー管理が不要で、初期費用がなくPCAソフトが利用可能なサービスとなっております。
また、当社子会社で提供している勤怠管理のクラウドサービスについても「働き方改革」への対応を実現するための一つの手段としての需要を見込み、今後も業績に貢献すると期待しております。
このような状況下において、2021年12月にサポート終了を迎えた「PCA Xシリーズ」の更新需要が減少したこと
により、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は12,981百万円(前期比3.0%減)となっております。利益項目については、営業利益は1,288百万円(前期比51.5%減)、経常利益は1,326百万円(前期比50.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は883百万円(前期比62.7%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,727百万円増加(前連結会計年度は4,138百万円の増加)し、17,458百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各活動によるキャッシュ・フローの状況とそれらの主な増減要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2,641百万円(前連結会計年度は3,684百万円の収入)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益1,326百万円、契約負債の増加928百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、308百万円(前連結会計年度は708百万円の収入)となりました。
これは主に、投資有価証券の取得による支出200百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、606百万円(前連結会計年度は254百万円の支出)となりました。
これは主に、株主に対する配当金の支払額479百万円によるものであります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための指標につきましては、次の通りであります。
指標 | 2023年3月 (期初計画) | 2023年3月 (実績) | 2023年3月 (計画比) |
売上高 | 129億円 | 129億円 | 0億円増(0.4%増) |
営業利益 | 11億円 | 12億円 | 1億円増(17.1%増) |
売上高営業利益率 | 8.5% | 9.9% | 1.4ポイント増 |
ROE | 3.8% | 5.1% | 1.3ポイント増 |
DOE | 1.5% | 2.0% | 0.5ポイント増 |
2023年3月期の達成・進捗状況は以下のとおりです。
売上高については概ね期初計画の通りとなりましたが、当社の執行経費については、必要な追加投資を行ってきた一方で、効率的な費用支出に努めコスト削減を推進した結果、期初計画を下回ることとなったため、営業利益は期初計画を上回り期初計画比1億円増(17.1%増)となりました。計画比増収増益の結果を受け、売上高営業利益率は1.4ポイント増加し9.9%となりました。ROEは、当初予想を上回る利益を計上できたことにより計画比1.3ポイント増加し5.1%となりました。DOEは安定配当の観点から1株当たり配当金を13円から4円増配の17円としたことにより配当金支払額が増加した為0.5ポイント増加し2.0%となりました。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
区分 | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 前年同期比(%) |
製品(千円) | 1,149,014 | 38.9 |
(注)生産金額は、販売価格で表示しております。
(2)受注実績
受注実績の金額と販売実績の金額の差額は僅少であるため、記載を省略しております。
(3)販売実績
単一セグメントであるため、種類別の実績を記載しております。
区分 | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 前年同期比(%) |
製品(千円) | 1,149,014 | 38.9 |
商品(千円) | 577,955 | 131.6 |
保守サービス(千円) | 3,327,843 | 100.3 |
クラウドサービス(千円) | 5,956,962 | 107.0 |
その他営業収入(千円) | 1,969,250 | 178.4 |
合計(千円) | 12,981,027 | 97.0 |
従来、種類別売上高の集計の際に内部取引の按分は一定の仮定に基づき配賦計算しておりましたが、当期システム改修により内部取引に関する種類別売上高の明細を抽出することが可能になったことから、第1四半期連結会計期間より、種類別売上高をより適正に反映させるため、連結内部間取引の調整方法を見直し、種類別売上高の算定方法を変更しております。
この結果、変更前の方法と比べて、当連結会計年度の商品売上高は5,209千円、保守サービス売上高は39,573千円減少し、製品売上高は12,009千円、クラウドサービス売上高は12,859千円、その他営業収入は19,915千円増加しております。
なお、前年同期比増減(%)については変更前の前連結会計年度の種類別売上高との比較により算定しております。
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | ||
株式会社リコー | 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) |
3,213,959 | 24.0 | 3,245,955 | 25.0 |
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
有価証券報告書に記載しております事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項につきましては、以下のようなものがあります。
当該文中における予想、見込み等の将来に関する事象は、有価証券報告書提出日(2023年6月22日)現在において当社グループが判断したものであり、今後様々な要因により実際の結果と異なる可能性があります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)財政状態の分析
① 資産・負債の状況の分析等
(資産の状況)
当連結会計年度末における総資産の残高は、30,608百万円(前連結会計年度末は28,381百万円)となり、2,227百万円の増加となりました。
流動資産においては、2,731百万円(前連結会計年度末20,178百万円から当連結会計年度末22,909百万円へ)の増加となりました。これは主に現金及び預金が1,729百万円増加したことによるものであります。
固定資産においては、504百万円(同8,203百万円から同7,698百万円へ)の減少となりました。これは主に投資有価証券が315百万円減少したことによるものであります。
(負債の状況)
当連結会計年度末における負債の残高は、12,816百万円(前連結会計年度末は11,099百万円)となり、1,716百万円の増加となりました。
流動負債においては、1,700百万円(前連結会計年度末9,268百万円から当連結会計年度末10,969百万円へ)の増加となりました。これは主に、契約負債が928百万円増加したことによるものであります。
固定負債においては、15百万円(同1,831百万円から同1,846百万円へ)の増加となりました。これは主に退職給付に係る負債が115百万円増加したことによるものであります。
② 資本の財源及び資金の流動性にかかわる情報等
(純資産の状況)
当連結会計年度末における純資産の残高は、17,792百万円(前連結会計年度末は17,281百万円)となり、511百万円の増加となりました。これは主に自己株式が489百万円減少したことによるものであります。
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,727百万円増加(前連結会計年度は4,138百万円の増加)し、17,458百万円となりました。また、流動比率が208.9%(流動資産22,909百万円÷流動負債10,969百万円)となっており、十分な流動性を確保しているものと認識しております。したがって新型コロナウイルス感染症による資金繰り等への影響は軽微であるものと考えております。
(3)経営成績の分析
① 経営成績の分析等
(売上総利益)
当連結会計年度における売上高は12,981百万円(前年同期比3.0%減)となり、売上総利益は8,051百万円(同8.6%減)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は1,288百万円(前年同期比51.5%減)となりました。これは主に、売上総利益の減少の影響によるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、1,326百万円(前年同期比50.8%減)となりました。これは主に、営業利益の減少の影響によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、883百万円(前年同期比62.7%減)となりました。これは主に、経常利益の減少の影響によるものであります。
② 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
(外部環境要因)
当社グループは、一般企業向け業務用パッケージソフトウェアの製造、開発及び販売を事業の主な収益源としております。
業務用パッケージソフトウェア市場においては、会計基準の変更、税法等の改正及び各種制度の改正などによって、ソフトウェアの更新需要が大きく変動する傾向があり、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすことが考えられます。
(内部環境要因)
当社グループでは、パッケージソフトウェアの製品開発において、「研究開発費等に係る会計基準」(企業会計審議会 1998年3月13日)に基づき費用配分の会計処理をしております。
当社グループにおける製品開発については、既存のソフトウェアに新しい機能等を付加した、いわゆるアップグレード版のソフトウェアの開発もおこなっており、そのような場合には、次期以降の収益との対応を図る観点から、無形固定資産に資産計上しております。
従いまして製品開発の状況によっては、当期の費用になるものと、資産計上をしてから次期以降の費用になるものとの金額の変動により、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすことが考えられます。