当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
■ 当社グループの経営成績の状況は、次のとおりであります。
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が緩和され、緩やかな持ち直しが続きましたが、インフレ率の高止まりや金融引き締めが消費全般や設備投資に与える影響、ウクライナ情勢等の不透明感など、下振れリスクの高まりも見られました。わが国経済も、経済社会活動の正常化が進み、ウィズコロナの下で、個人消費や設備投資は持ち直し、企業収益も総じてみれば改善しましたが、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等下振れリスクには依然として注意が必要な状況にあります。
このような経営環境のもと、当連結会計年度における当社グループの業績は次のとおりとなりました。
経常収益は、保険引受収益が4兆907億円、資産運用収益が3,257億円、その他経常収益が1,907億円となった結果、前連結会計年度に比べて4,396億円増加して4兆6,071億円となりました。一方、経常費用は、保険引受費用が3兆5,979億円、資産運用費用が1,137億円、営業費及び一般管理費が5,984億円、その他経常費用が1,743億円となった結果、前連結会計年度に比べて6,326億円増加して4兆4,846億円となりました。
以上の結果、経常収益から経常費用を差し引いた当連結会計年度の経常損益は、前連結会計年度に比べて1,929億円減少して、1,225億円の経常利益となりました。経常利益に特別利益、特別損失、法人税等合計などを加減した親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べて1,336億円減少して911億円の純利益となりました。
■ 当社グループの財政状態の状況は、次のとおりであります。
資産の部合計は、前連結会計年度末に比べて6,723億円増加し、14兆4,602億円となりました。負債の部合計は、前連結会計年度末に比べて8,442億円増加し、12兆5,913億円となりました。純資産の部合計は、前連結会計年度末に比べて1,718億円減少し、1兆8,689億円となりました。
■ 報告セグメントごとの経営成績の状況は、次のとおりであります。
正味収入保険料は、前連結会計年度に比べて734億円増加し、2兆2,905億円となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べて832億円減少し、550億円の純利益となりました。国内損害保険事業における保険引受および資産運用の状況は、以下のとおりであります。
(注) 1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2 「元受正味保険料(含む収入積立保険料)」とは、元受保険料から元受解約返戻金および元受その他返戻金を控除したものであります。(積立型保険の積立保険料を含みます。)
(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
(注) 1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
2 前連結会計年度の「その他の証券」の主なものは、投資信託受益証券212,389百万円であります。
当連結会計年度の「その他の証券」の主なものは、投資信託受益証券222,247百万円であります。
a.運用資産利回り(インカム利回り)
(注) 1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
2 収入金額は、連結損益計算書における「利息及び配当金収入」に、「金銭の信託運用益」および「金銭の信託運用損」のうち利息及び配当金収入相当額を含めた金額であります。
3 平均運用額は原則として各月末残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しております。ただし、買現先勘定および買入金銭債権については日々の残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しております。
4 連結貸借対照表における有価証券には持分法適用会社に係る株式を含めておりますが、平均運用額および年利回りの算定上は同株式を除外しております。
b.資産運用利回り(実現利回り)
(注) 1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
2 資産運用損益(実現ベース)は、連結損益計算書における「資産運用収益」および「積立保険料等運用益」の合計額から「資産運用費用」を控除した金額であります。
3 平均運用額(取得原価ベース)は原則として各月末残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しております。ただし、買現先勘定および買入金銭債権については日々の残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しております。
4 連結貸借対照表における有価証券には持分法適用会社に係る株式を含めておりますが、平均運用額および年利回りの算定上は同株式を除外しております。
(注) 1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
2 金銭の信託として運用しているものを含めて表示しております。
3 「海外投融資利回り」のうち「運用資産利回り(インカム利回り)」は、海外投融資に係る資産について、「(ウ) 利回り a.運用資産利回り(インカム利回り)」と同様の方法により算出したものであります。
4 「海外投融資利回り」のうち「資産運用利回り(実現利回り)」は、海外投融資に係る資産について、「(ウ) 利回り b.資産運用利回り(実現利回り)」と同様の方法により算出したものであります。
5 前連結会計年度の外貨建「その他」の主なものは投資信託受益証券633,790百万円であり、円貨建「その他」の主なものは投資信託受益証券185,565百万円であります。
当連結会計年度の外貨建「その他」の主なものは投資信託受益証券727,439百万円であり、円貨建「その他」の主なものは投資信託受益証券158,285百万円であります。
正味収入保険料は、前連結会計年度に比べて3,815億円増加し、1兆3,801億円となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べて58億円増加し、480億円の純利益となりました。
(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
生命保険料は、前連結会計年度に比べて76億円減少し、3,108億円となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べて149億円減少し、10億円の純利益となりました。国内生命保険事業における保険引受および資産運用の状況は、以下のとおりであります。
(注) 1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2 個人年金保険については、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資と年金支払開始後契約の責任準備金を合計したものであります。
(注) 1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額であります。
2 新契約・転換による純増加の個人年金保険の金額は年金支払開始時における年金原資であります。
(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
a.運用資産利回り(インカム利回り)
(注) 1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。なお、保険業法第118条に規定する特別勘定に係る収益および資産については除いて記載しております。
2 収入金額は、連結損益計算書における「利息及び配当金収入」であります。
3 平均運用額は原則として各月末残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しております。
b.資産運用利回り(実現利回り)
(注) 1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。なお、保険業法第118条に規定する特別勘定に係る損益および資産については除いて記載しております。
2 資産運用損益(実現ベース)は、連結損益計算書における「資産運用収益」から「資産運用費用」を控除した金額であります。
3 平均運用額(取得原価ベース)は原則として各月末残高(取得原価または償却原価)の平均に基づいて算出しております。
(注) 1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。なお、保険業法第118条に規定する特別勘定に係る損益および資産については除いて記載しております。
2 「海外投融資利回り」のうち「運用資産利回り(インカム利回り)」は、海外投融資に係る資産について、「(ウ) 利回り a.運用資産利回り(インカム利回り)」と同様の方法により算出したものであります。
3 「海外投融資利回り」のうち「資産運用利回り(実現利回り)」は、海外投融資に係る資産について、「(ウ) 利回り b.資産運用利回り(実現利回り)」と同様の方法により算出したものであります。
4 前連結会計年度の外貨建「その他」は、すべて投資信託受益証券であり、円貨建「その他」は、すべて投資信託受益証券であります。
当連結会計年度の外貨建「その他」は、すべて投資信託受益証券であり、円貨建「その他」は、すべて投資信託受益証券であります。
経常収益は、前連結会計年度に比べて150億円増加し、1,516億円となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べて5億円減少し、7億円の純利益となりました。
■ 報告セグメントごとの財政状態の状況は、次のとおりであります。
[国内損害保険事業]
当連結会計年度末の資産の部合計は、有価証券の減少などにより、前連結会計年度末に比べて4,858億円減少し、5兆8,991億円となりました。
[海外保険事業]
当連結会計年度末の資産の部合計は、有価証券の増加などにより、前連結会計年度末に比べて8,152億円増加し4兆476億円となりました。
[国内生命保険事業]
当連結会計年度末の資産の部合計は、有価証券の増加などにより、前連結会計年度末に比べて2,090億円増加し、3兆9,253億円となりました。
[介護・シニア事業]
当連結会計年度末の資産の部合計は、エヌ・デーソフトウェア株式会社およびその傘下の3社の新規連結による増加などにより、前連結会計年度末に比べて1,015億円増加し、2,652億円となりました。
(注) 1 諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
2 「元受正味保険料(含む収入積立保険料)」とは、元受保険料から元受解約返戻金および元受その他返戻金を控除したものであります。(積立型保険の積立保険料を含みます。)
(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
(注) 諸数値はセグメント間の内部取引相殺後の金額であります。
■ 当社グループのソルベンシー・マージン比率の状況は、次のとおりであります。
当社は、保険業法施行規則第210条の11の3および第210条の11の4ならびに平成23年金融庁告示第23号の規定に基づき、連結ソルベンシー・マージン比率を算出しております。
保険会社グループは、保険事故発生の際の保険金支払や積立型保険の満期返戻金支払等に備えて準備金を積み立てておりますが、巨大災害の発生や、資産の大幅な価格下落等、通常の予測を超える危険が発生した場合でも、十分な支払能力を保持しておく必要があります。こうした「通常の予測を超える危険」(表の「(B)連結リスクの合計額」)に対して「保険会社グループが保有している資本金・準備金等の支払余力」(表の「(A)連結ソルベンシー・マージン総額」)の割合を示す指標として、保険業法等に基づき計算されたものが、「(C)連結ソルベンシー・マージン比率」であります。
連結ソルベンシー・マージン比率の計算対象となる範囲は、連結財務諸表の取扱いに合わせますが、保険業法上の子会社(議決権が50%超の子会社)については、原則として計算対象に含めております。
連結ソルベンシー・マージン比率は、行政当局が保険会社を監督する際に、経営の健全性を判断するために活用する客観的な指標のひとつでありますが、その数値が200%以上であれば「保険金等の支払能力の充実の状況が適当である」とされております。
当連結会計年度末の当社の連結ソルベンシー・マージン比率は、前連結会計年度末に比べ183.3ポイント低下して589.7%となりました。
国内保険会社は、保険業法施行規則第86条および第87条ならびに平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づき、単体ソルベンシー・マージン比率を算出しております。
保険会社は、保険事故発生や契約満期などの際における保険金・給付金や満期返戻金などの支払に備えて準備金を積み立てておりますが、巨大災害の発生、大幅な環境変化による死亡率の変動または保険会社が保有する資産の大幅な価格下落等、通常の予測を超える危険が発生した場合でも、十分な支払能力を保持しておく必要があります。こうした「通常の予測を超える危険」(表の「(B)単体リスクの合計額」)に対して「保険会社が保有している資本金・準備金等の支払余力」(表の「(A)単体ソルベンシー・マージン総額」)の割合を示す指標として、保険業法等に基づき計算されたものが、「(C)単体ソルベンシー・マージン比率」であります。
単体ソルベンシー・マージン比率は、行政当局が保険会社を監督する際に、保険会社の経営の健全性を判断するために活用する客観的な指標のひとつでありますが、その数値が200%以上であれば「保険金等の支払能力の充実の状況が適当である」とされております。
当事業年度末の国内保険子会社の単体ソルベンシー・マージン比率の状況は以下のとおりです。
a)損害保険ジャパン株式会社
b)セゾン自動車火災保険株式会社
c)SOMPOひまわり生命保険株式会社
当連結会計年度における区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、正味支払保険金の増加などにより、前連結会計年度に比べて1,511億円減少し、4,488億円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却・償還による収入の増加などにより、前連結会計年度に比べて239億円増加し、△3,246億円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出があった一方で、社債の発行による収入があったことなどにより、前連結会計年度に比べて777億円増加し、△923億円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べて637億円増加し、1兆2,710億円となりました。
「生産、受注及び販売の実績」は、保険持株会社における業務の特殊性のため、該当する情報がありませんので記載しておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
■ 当社グループの経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
当社は、グループ全体の持株会社として、事業計画の遂行および企業価値を持続的に高めていくための事業ポートフォリオの変革を推し進めております。当期は、グループ戦略の実行に必要な経営資源の配賦、ガバナンス体制の強化に加え、当社グループ独自の「リアルデータプラットフォーム(RDP)」の技術を活用した介護事業者向けサービス「egaku」の開発支援や、事業の垣根を越えたコングロマリット・プレミアム創出に向けた新たな施策等にも取り組みました。
当期の当社グループは、国内外における自然災害の発生や自動車事故率の上昇、新型コロナウイルス感染症の感染者数の拡大等に伴う支払保険金の増加等による収益の下振れ影響はありましたが、国内損害保険事業における収益構造の改善や海外保険事業におけるプライシング戦略等の取組み、国内生命保険事業における健康を軸とした商品・サービスの開発・提供、介護・シニア事業における介護施設・サービスの拡充等を着実に進めました。
これらの取組みの結果、連結主要指標は以下のとおりとなりました。
経常収益は、前連結会計年度に比べて4,396億円増加し、4兆6,071億円となりました。
正味収入保険料は、国内損害保険事業における火災保険で増収したことや、海外保険事業における先進国拠点での元受・再保険事業における増収などにより、前連結会計年度に比べて4,550億円増加し、3兆6,707億円となりました。
生命保険料は、新契約は増加するも貯蓄性商品の解約に伴う減少などにより、前連結会計年度に比べて84億円減少し、3,167億円となりました。
経常損益は、国内損害保険事業における保険引受利益の減益などにより、前連結会計年度に比べて1,929億円減少して、1,225億円の経常利益となりました。
経常利益に特別利益、特別損失、法人税等合計などを加減した親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べて1,336億円減少して911億円の純利益となりました。
なお、目標とする経営指標であるKPIの進捗状況については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
■ 当社グループの財政状態の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産の部合計は、外国証券などの有価証券の増加などにより、前連結会計年度末に比べて6,723億円増加し、14兆4,602億円となりました。
当連結会計年度末の負債の部合計は、支払備金の増加などにより、前連結会計年度末に比べて8,442億円増加し、12兆5,913億円となりました。
当連結会計年度末の純資産の部合計は、その他有価証券評価差額金の減少などにより、前連結会計年度末に比べて1,718億円減少し、1兆8,689億円となりました。
■ 報告セグメントごとの経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
国内損害保険事業の主な取組みとして、料率適正化・アンダーライティング機能の強化・生産性向上といった収益構造改革や、収益性の高い新種保険を中心としたトップライン成長などに取り組んでまいりました。
これらの取組みの一方、自然災害の頻発や激甚化、建物や設備の老朽化進行による火災事故の増加、インフレーションの進行による保険金支払単価の上昇など、国内損害保険事業を取り巻く環境変化が利益拡大に向けての重石となり、経営成績は以下のとおりとなりました。
正味収入保険料は、火災保険の増収などにより、前連結会計年度に比べて734億円増加し、2兆2,905億円となりました。火災保険の増収は、料率改定や企業物件を中心としたプライシング適正化の効果発現が主な要因であると認識しております。
親会社株主に帰属する当期純損益は、保険引受利益が減益したことなどにより、前連結会計年度に比べて832億円減少し、550億円の純利益となりました。保険引受利益の減益は、自然災害や大口事故の多発、新型コロナウイルス感染症に対する補償による傷害保険等の保険金の増加、さらには自動車保険における事故率や支払保険金単価の上昇が主な要因であると認識しております。
海外保険事業の主な取組みとして、アンダーライティングの強化によるレートアップや契約条件の見直しに加え、農業保険の保有割合を戦略的に引き上げる一方で収益性の乏しいブラジルの健康保険事業を売却するなどポートフォリオの最適化を図るとともに、グローバルに事業展開するお客さまに対するサービス提供基盤の構築を行ってまいりました。また、金融市場の環境変化を捉えた機動的な運用資産のアロケーションによる資産運用収益の向上に取り組んでまいりました。
これらの取組みの結果、経営成績は以下のとおりとなりました。
正味収入保険料は、Sompo International Holdings Ltd.における増収を主因に、前連結会計年度に比べて3,815億円増加し、1兆3,801億円となりました。これらは、レートアップや為替影響に加え、農業保険の保有割合を増加させたことが主な要因であると認識しております。
親会社株主に帰属する当期純損益は、Sompo International Holdings Ltd.における増益などにより、前連結会計年度に比べて58億円増加し、480億円の純利益となりました。これらは、コマーシャル事業における事業費率の低下や運用収益の増加が主な要因であると認識しております。
国内生命保険事業の主な取組みとして、「健康応援企業」の確立を目指し、保険本来の機能である「万が一」への備え(Insurance)に加えて、「毎日」に寄り添い健康を応援する機能(Healthcare)を組み合わせた新たな価値「Insurhealth®(インシュアヘルス)」を提供する保険商品をこれまでに9つ発売し、その効果を後押しする働き方改革も含めた生産性の向上のための取組みを行ってまいりました。
これらの取組みの結果、経営成績は以下のとおりとなりました。
生命保険料は、貯蓄性商品の減収などにより、前連結会計年度に比べて76億円減少し、3,108億円となりました。これらは、貯蓄性商品の解約増加などによる保有契約の減少が主な要因であると認識しております。
親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べて149億円減少し、10億円の純利益となりました。これらは、新型コロナウイルス感染症による保険金等支払の増加が主な要因であると認識しております。
介護・シニア事業の主な取組みとして、新型コロナウイルスの感染拡大防止を最優先に、入居率の向上やソリューション事業などの営業活動を強化してまいりました。また、新卒社員や管理者向けの研修を充実させるなど、人材育成をさらに強化することで社員の働き甲斐や働きやすさの向上を後押しするとともに、質の高い人材の確保および育成に注力することでサービス品質の向上に努めました。さらに、拡大する介護需要を支えるための先行投資や施策を推進してまいりました。具体的には、Palantir Technologies Japan株式会社との協業によるegaku事業の立ち上げや、国立研究開発法人産業技術総合研究所との包括的な相互協力に関する協定に基づく品質を伴った生産性の高い介護モデル等の研究、認知機能低下の抑制に資するSOMPOスマイル・エイジングプログラムの実証、シニアの”Well-Being”実現に向けたスマートコミュニティ事業の実証、介護事業者向けにSOMPOのノウハウ等を提供するソリューション事業などに取り組みました。
これらの取組みの結果、経営成績は以下のとおりとなりました。
経常収益は、前連結会計年度に比べて150億円増加し、1,516億円となりました。これらは積極的な営業活動の実施に伴い入居率が向上したことや、株式会社ネクサスケアとの合併などが主な要因であると認識しております。
親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べて5億円減少し、7億円の純利益となりました。これらは資源価格の上昇に伴う水道光熱費の高騰や新型コロナウイルス対策に伴う消耗品費などのコスト増が主な要因であると認識しております。
なお、目標とする経営指標であるKPIの報告セグメントごとの進捗状況については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 報告セグメントごとの経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
■ 報告セグメントごとの財政状態の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
[国内損害保険事業]
当連結会計年度末の資産の部合計は、国債などの有価証券の減少などにより、前連結会計年度末に比べて4,858億円減少し、5兆8,991億円となりました。
[海外保険事業]
当連結会計年度末の資産の部合計は、外国証券などの有価証券の増加などにより、前連結会計年度末に比べて8,152億円増加し、4兆476億円となりました。
[国内生命保険事業]
当連結会計年度末の資産の部合計は、国債などの有価証券の増加などにより、前連結会計年度末に比べて2,090億円増加し、3兆9,253億円となりました。
[介護・シニア事業]
当連結会計年度末の資産の部合計は、エヌ・デーソフトウェア株式会社およびその傘下の3社の新規連結による増加などにより、前連結会計年度末に比べて1,015億円増加し、2,652億円となりました。
■ 当社グループのソルベンシー・マージン比率の分析の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
[連結ソルベンシー・マージン比率]
連結ソルベンシー・マージン総額は、金利上昇によるその他有価証券評価差額金の減少等により、4,139億円減少し、3兆2,840億円となりました。
連結リスクの合計額は、海外子会社の増収による一般保険リスクや巨大災害リスクの増加等により、1,570億円増加し、1兆1,137億円となりました。
結果、連結ソルベンシー・マージン比率は、前連結会計年度末に比べて183.3ポイント低下して589.7%となりましたが、「保険金等の支払能力の充実の状況が適当である」とされる200%を上回る水準となっております。
[単体ソルベンシー・マージン比率]
損害保険ジャパン株式会社については、単体ソルベンシー・マージン総額は、金利上昇によるその他有価証券評価差額金の減少等により、892億円減少し、2兆9,527億円となりました。
単体リスクの合計額は、海外子会社への増資による資産運用リスクの増加等により、751億円増加し、9,473億円となりました。
結果、単体ソルベンシー・マージン比率は、前事業年度末に比べて74.2ポイント低下して623.3%となりましたが、「保険金等の支払能力の充実の状況が適当である」とされる200%を上回る水準となっております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
■ 当連結会計年度における区分ごとのキャッシュ・フローの状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、Sompo International Holdings Ltd.などの正味支払保険金の増加などにより、前連結会計年度に比べて1,511億円減少し、4,488億円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、損害保険ジャパン株式会社などの有価証券の売却・償還による収入の増加などにより、前連結会計年度に比べて239億円増加し、△3,246億円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、損害保険ジャパン株式会社などで社債の償還による支出があった一方で、損害保険ジャパン株式会社で社債の発行による収入があったことなどにより、前連結会計年度に比べて777億円増加し、△923億円となりました。
■ 当社グループの資本の財源および資金の流動性に係る情報は次のとおりであります。
(経営資源の配分に関する考え方)
当社の事業計画は、グループCEOの諮問機関であるGlobal Executive Committeeでの協議を経て、策定しております。事業計画を踏まえ、事業毎に成長性や収益性を考慮して資本配賦を実施し、各事業では配賦された資本を元に事業運営を行い、事業計画における利益目標の達成を目指しております。また、経営環境の変化や計画の進捗状況等を定期的に確認し、必要に応じて事業計画や資本配賦について見直しを行っております。
(資金需要の動向および資本の財源)
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、成長事業分野への投資資金および株主還元であります。このうち、運転資金および株主還元については、主として営業活動および投資活動によるキャッシュ・フローを財源としております。また、成長事業分野への投資資金については、自己資金の活用に加え、必要に応じて社債や借入金等の外部から調達した資金を財源としております。
資金調達にあたっては、財務健全性の維持およびコストの低減に十分留意しながら、最適な手段を選択することとしております。リスクに対して適切な資本を確保しているかを示す指標であるEconomic Solvency Ratio(以下「ESR」といいます。)のターゲットレンジは200~270%としておりますが、当連結会計年度末のESRは223%であり、十分な財務健全性を維持しております。
株主還元については、中期経営計画(2021年度~2023年度)の株主還元方針として、修正連結利益の50%を基礎的な還元として維持し状況を踏まえて追加還元を実施すること、利益成長にあわせた増配を基本方針とし総還元に占める配当の割合を高めていくこととしております。当社の配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。
(資金の流動性)
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は1,271,040百万円でありますが、日々の資金繰り管理のほか、巨大災害発生時などの最大資金流出量を想定しそれに対応できる水準の流動性資産が確保されるよう管理しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」に記載のとおりですが、以下の事項に関する会計上の見積りが当社グループの連結財務諸表の作成に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響などの重要性を勘案して、「のれんの減損」および「支払備金」につきましては、「第5 経理の状況」の「注記事項(重要な会計上の見積り)」にも記載しております。
金融商品の時価は、原則として市場価格に基づいておりますが、一部の市場価格のない金融商品については、将来予想されるキャッシュ・フローの現在価値や、契約期間その他の契約を構成する要素を基礎として算定した価格等を時価としております。当該時価の算定においては一定の前提条件等を採用しているため、異なる前提条件等によった場合、当該時価が変動することもあります。
その他有価証券(市場価格のない株式等および組合出資金等を除く。)については、原則として、期末日の時価が取得原価に比べて30%以上下落したものを減損の対象としております。今後、有価証券市場が変動した場合には、有価証券評価損の計上が必要となる可能性があります。
固定資産については、資産または資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、その差額を減損損失に計上しております。回収可能価額は、資産または資産グループの時価から処分費用見込額を控除した正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか大きい方としていることから、固定資産の使用方法を変更した場合もしくは不動産取引相場や賃料相場、その他経営環境が変動した場合またはのれんが認識された取引において取得した事業の状況に変動が生じた場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
当連結会計年度における繰延税金資産および繰延税金負債の内訳は、「第5 経理の状況」の「注記事項(税効果会計関係)」に記載したとおりであります。繰延税金資産の計上に際しては、将来の課税所得の見積りに基づき、回収可能性の見込めない部分を評価性引当額として、繰延税金資産から控除しております。将来、経営環境の変化等により課税所得の見積りが大きく変動した場合や、税制改正により税率の変更等が生じた場合には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
貸倒引当金の計上基準は、「第5 経理の状況」の「注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載したとおりであります。将来、貸付先等の財政状態が変化した場合には、貸倒引当金の計上額が変動する可能性があります。
支払備金は、支払義務が発生した保険金等のうち、まだ支払っていない金額の見積額を計上しております。このうち、既発生未報告の支払備金については、主として統計的な見積方法により算出しております。将来、インフレや為替の影響、さらには裁判の判例の動向などにより支払備金の必要額が変動する可能性があります。
保険契約に基づく将来の債務の履行に備え、責任準備金等を積み立てております。また、一部の長期の保険契約について標準責任準備金を積み立てております。当初想定した環境・条件等が大きく変動し予期せぬ損害の発生が見込まれる場合には、責任準備金等の必要額が変動する可能性があります。
退職給付費用および退職給付債務の計算の基礎は、「第5 経理の状況」の「注記事項(退職給付関係)」に記載したとおりであります。これらの計算の基礎と実績値が異なる場合、または計算の基礎が変更された場合には、将来の退職給付費用および退職給付債務が変動する可能性があります。