3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 ① 経営成績の状況

当社の主要な事業領域である電子書籍市場については、インプレス総合研究所の「電子書籍ビジネス調査報告書2020」によれば、2019年度の電子書籍市場規模は3,473億円で、前年度の2,826億円から22.9%増加し、そのうち86.1%にあたる2,989億円をコミックが占めております。昨年の同研究所の「電子書籍ビジネス調査報告書2019」では、2019年度の電子書籍市場規模の予測は、3,332億円であったことから、予測を上回る結果となっております。また、2024年度には電子書籍市場を含む電子出版市場は2019年度の約1.5倍の5,669億円に拡大すると予想されています。

また、当社が注力するIoT事業は、コンピュータ等の情報・通信機器だけではなく、世の中に存在する様々なモノに通信機能を持たせ、インターネットへの接続や相互に通信させる分野として注目を集めております。インターネット技術や各種センサー・テクノロジーの進化等を背景に、インターネットにつながるモノ(IoTデバイス)の数は、2018年の約227億個から2022年にはその約1.5倍の約348億個まで増加すると予測されております(総務省「令和2年版情報通信白書」)。

このような経営環境の中、当社は、「日常に&を届ける」をミッションとして掲げ、Smartphone APP事業においては、主に大手出版社と共同開発したスマートフォン向けのマンガアプリの収益拡大に注力してまいりました。IoT事業においては、宿泊領域のテクノロジー化を事業方針として、スマートホステル『&AND HOSTEL』の出店に注力するとともに、宿泊管理システム『innto』、客室タブレットサービス『tabii』等宿泊施設向けのIoTソリューションサービスの提供を展開してまいりました。また、新たに賃貸不動産領域において、管理会社と入居者をつなぐ、コミュニケーションアプリ『totono』をリリースいたしました。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による広告市況悪化に伴いマンガアプリにおいては広告収益が減少し、当社が運営する『&AND HOSTEL』においては、企画開発案件の遅延・中止や感染拡大予防のため緊急事態宣言以降は臨時休業を実施したことにより減収となりました。

以上の結果、当事業年度における売上高は2,946,007千円前年同期比24.8%減)、営業損失202,589千円前年同期は営業利益512,352千円)、経常損失259,767千円前年同期は経常利益484,200千円)、当期純損失362,077千円前年同期は当期純利益327,918千円)となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 
(Smartphone APP事業)

当事業年度において、「マンガUP!」、「マンガPark」、「マンガMee」など既存マンガアプリについては、積極的な広告宣伝の実施、新規連載開始や巣ごもり需要等の影響によるMAUの増加、人気コンテンツの掲載延長、作品追加等によって、サービス提供を開始して以降、好調に推移しております。また、2020年4月にリリースした株式会社集英社と共同開発したマンガアプリ「ヤンジャン!」及び2020年5月にリリースした株式会社アムタスと共同開発したマンガアプリ「めちゃコミックの毎日連載マンガアプリ」についても、リリース以降、着実にMAUが増加しており、当社の収益に貢献しております。

一方で、ARPUは横ばいで推移し、一部広告主におけるリワード単価の引き下げ及び新型コロナウイルス感染症の影響による広告市況全体の悪化により広告収益が減少しました。売上全体としては引き続き堅調に拡大が続いており、積極的な広告宣伝費の投下も実施しております。

この結果、当事業年度におけるSmartphone APP事業の売上高は2,530,187千円前年同期比41.4%増)、セグメント利益は351,684千円前年同期比41.4%減)となりました。

 

(IoT事業)

当事業年度において、当社が注力するIoT体験型宿泊施設であるスマートホステル『&AND HOSTEL』の企画、開発が進み、新たに計4店舗を開業し、ホステル開発に係るコンサルティング等の売上が順調に推移いたしました。しかしながら、第3四半期以降は新型コロナウイルスの影響により、企画開発型案件の全案件が遅延・中止となりました。また、オーナー変更に伴うブランド移管等により一部店舗を閉鎖しており、当事業年度末における開業店舗数は累計8店舗となりました。

また、政府より緊急事態宣言が発令されたことに伴い2020年4月8日以降『&AND HOSTEL』全店舗において順次臨時休業を実施いたしました。その後、緊急事態宣言解除に伴い7月1日に営業を再開しましたが、メインターゲットであったインバウンド需要の低迷等による影響を受け、各店舗の運営収益は前年同期と比較して減収となりました。

客室タブレットサービス『tabii』は、協業パートナーであるH.I.S.ホテルホールディングスや東京電力エナジーパートナーとの連携強化や当社営業人員の強化を図り、また「業務効率化」「付加価値向上」のため、機能開発を積極的に行ってまいりましたが、新型コロナウイルスの影響によりターゲット先である宿泊施設の経営状況悪化に伴い通常より営業活動が減少しました。その結果、当事業年度末における累計導入台数は、4,460台(前期末比1,607台増)にとどまりました。宿泊管理システム『innto』について、当事業年度末における施設数は272施設(前期末比40施設増)に増加しました。期末にかけてはオペレーション効率化や3密回避に向けた需要の高まりを受け、『tabii』『innto』共に回復基調となっております。

この結果、当第事業年度におけるIoT事業の売上高は336,563千円前年同期比83.6%減)、セグメント損失は187,064千円前年同期はセグメント利益194,434千円)となりました。

 

(その他事業)

当事業年度は、インターネット広告の代理サービスを中心に事業を行った結果、その他事業の売上高は79,257千円前年同期比10.7%増セグメント利益は30,593千円前年同期比128.0%増となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における総資産は6,343,848千円となり、前事業年度末に比べ3,303,611千円増加いたしました。これは主に販売用不動産が3,163,946千円、また、非上場株式の取得等に伴い投資有価証券が150,184千円増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債合計は4,894,163千円となり、前事業年度末に比べ3,652,050千円増加いたしました。これは主に短期借入金が450,000千円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)が2,810,754千円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は1,449,684千円となり、前事業年度末に比べ348,438千円減少いたしました。これは主に当期純損失の計上により利益剰余金が362,077千円減少したこと等によるものであります。なお、自己資本比率は22.8%(前事業年度末は59.1%)となりました。

 

 

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度に比べて324,613千円減少し、1,028,320千円となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動の結果使用した資金は、3,282,905千円(前事業年度は114,945千円の支出)となりました。これは、主に、税引前当期純損失の計上388,483千円、たな卸資産の増加額2,908,499千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動の結果使用した資金は、316,099千円前事業年度は415,747千円の支出)となりました。これは、主に、無形固定資産の取得による支出91,353千円、敷金及び保証金の差入による支出45,881千円、投資有価証券の取得による支出160,144千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動の結果得られた資金は、3,274,392千円前事業年度は1,211,132千円の収入)となりました。これは、主に販売用不動産を購入するために借り入れた長期借入れによる収入2,931,702千円があったことによるものであります。

 

 

 ④ 生産、受注及び販売の状況

 a 生産実績

当社が営む事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

 b 仕入実績

当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

Smartphone APP事業

IoT事業

2,144,350

150.1

その他

合計

2,144,350

150.1

 

(注) 1.当事業年度におけるIoT事業の仕入実績は、&AND HOSTEL自社開発型物件における土地・建物の仕入に係る金額であります。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

  c 受注実績

当社が営む事業は、提供するサービスの性格上、受注状況の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

 d 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

Smartphone APP事業

2,530,187

141.4

IoT事業

336,563

16.4

その他

79,257

110.7

合計

2,946,007

75.2

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前事業年度

(自 2018年9月1日

至 2019年8月31日)

当事業年度

(自 2019年9月1日

至 2020年8月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

ファーストブラザーズキャピタル株式会社

1,702,458

43.5

株式会社スクウェア・エニックス

870,108

22.2

1,074,504

36.5

株式会社集英社

261,414

0.9

524,821

17.8

株式会社小学館

303,218

10.3

 

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

当社が財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。なお、新型コロナウイルス感染症による今後の影響等を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。

a.販売用不動産の評価

販売用不動産は、収益性の低下等により期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。正味売却価額の算定に当たっては、稼働率、宿泊単価、リーシング状況、市場環境、建設コストの動向等を総合的に勘案しておりますが、これらの前提条件や仮定に変更が生じ、正味売却価額が減少することとなった場合には、評価損計上の処理が追加で必要となる可能性があります。

 

b.固定資産の減損

当社は、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定については将来キャッシュ・フロー等の前提条件をもとに実施しておりますが、市況の変動などにより、これらの前提条件に変更が生じた場合、減損処理が必要となり、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

c.繰延税金資産の回収可能性

当社は、将来の利益計画に基づいた課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上することとしております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、課税所得の見積額が変動した場合、繰延税金資産の計上額が変動し、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

なお、当社の財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

当事業年度の売上高は2,946,007千円前年同期比24.8%減)となりました。これは主にSmartphone APP事業においてマンガアプリの収益が拡大した一方、IoT事業においては新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け&AND HOSTELの企画開発案件の遅延・中止及び臨時休業等を実施したことによるものであります。

 

(売上総利益)

当事業年度の売上原価は、1,372,426千円前年同期比41.6%減)となりました。これは主に、事業拡大に伴い労務費が566,454千円(前年同期比35.5%増)となった一方で、自社開発型の「&AND HOSTEL」の開発遅延・中止等により開発コストが発生しなかったことによるものであります。

以上の結果、当事業年度の売上総利益は1,573,581千円前年同期比0.4%増)となりました。

 

(営業利益)

当事業年度の販売費及び一般管理費は1,776,170千円前年同期比68.5%増)となりました。これは主に、役員報酬94,210千円(前年同期比45.5%増)、給料及び手当198,899千円(前年同期比50.6%増)、広告宣伝費1,068,491千円(前年同期比102.6%増)となったことによるものであります。

以上の結果、当事業年度の営業損失は、202,589千円前年同期は営業利益512,352千円)となりました。

 

(経常利益)

営業外収益の主な内訳は、保険解約返戻金743千円(前年同期はゼロ)、営業外費用の主な内訳は、支払利息20,448千円(前年同期比149.1%増)、支払手数料37,634千円(前年同期比151.7%増)であります。

以上の結果、当事業年度の経常損失は259,767千円前年同期は経常利益484,200千円)となりました。

 

(当期純利益)

当事業年度の法人税等(法人税等調整額を含む)は△26,406千円(前年同期は156,281千円)となりました。

以上の結果、当事業年度の当期純損失は、362,077千円前年同期は当期純利益327,918千円)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。

当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 

当社の主な資金需要は、当社のサービスを効果的に拡大していくための広告宣伝費及び開発等に係る人件費であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資やM&A等によるものであります。これらの資金需要につきましては、必要な資金を自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社は、外部環境の変化に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保することにより経営成績に重要な影響を与える可能性のあるリスク要因を分散、低減し、適切に対応を行ってまいります。