3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績等の状況

当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルスの流行に伴い、各国の経済活動自粛要請などの影響で景気が急減速している状況にあります。米国では、良好な雇用・所得環境を背景に景気の回復が続いておりましたが、米中貿易摩擦問題に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大による国家非常事態宣言の影響などにより企業活動の停滞・労働市場の悪化が景気後退リスクになっております。欧州でも、雇用・所得環境の改善で景気が持ち直しておりましたが、英国のEU離脱問題に加え、新型コロナウイルス感染拡大によるサービス業や個人消費の腰折れが懸念されております。アジア諸国でも、中国における工場の操業停止や外出自粛などによる景気の下振れに伴い、周辺国への景気鈍化の影響も懸念されております。わが国経済においても、景気の先行き不安による株価下落・円高などの金融市場の混乱が見られることに加え、政府の緊急事態宣言に伴う外出自粛や休業などにより消費者マインド・経済活動が委縮するなど、新型コロナウイルスの影響による景気悪化の懸念が高まっております。

このような状況下、当社グループは、17中計(2017年4月から2020年3月までの経営計画)の最終年度にあたり、当社グループが目指す将来像や方向性、2025年度までの今後の7年間にわたる会社のあり方を示す長期ビジョン「MES Group 2025 Vision」の達成に向けて、「環境・エネルギー」、「海上物流・輸送」、「社会・産業インフラ」の3事業領域に注力し、「経営基盤の深化」と「グループ経営の深化」を進めているところでありました。

しかしながら、エンジニアリング事業の海外大型EPCプロジェクトにおいて、大規模な損失が連続して発生したため、当社グループの財務基盤は著しく毀損し、自己資本の回復と資金の確保が急務となりました。そのため、2019年5月に新たに「三井E&Sグループ 事業再生計画」を策定し、2019年4月から2023年3月までを事業再生計画期間として、財務基盤の健全化に向け、財務・収益体質の強化、及び事業構造の変革を推し進めております。

なお、事業再生計画については、第2四半期連結会計期間に発生したインドネシア共和国における火力発電所土木建築工事の追加損失を受け、資産売却や固定費削減など必要な施策を拡大、加速する等、2019年11月に一部見直しを行いました。その結果、資金の確保に関しては一定の目途が付けられる状況に至りました。

グループ事業の再編成により、グループの総合力発揮を加速することで、この難局を乗り切り、引き続きグループの企業価値向上に向けて取り組んでまいります。

 

当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて1,587億20百万円減少の8,403億80百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて161億63百万円増加の7,350億24百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて1,748億84百万円減少の1,053億55百万円となりました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の経営成績は、受注高は9,968億48百万円(前年同期比+40.4%)、売上高は7,864億77百万円(同+19.8%)、営業損失は620億79百万円(前年同期は597億3百万円の営業損失)、経常損失は604億57百万円(前年同期は505億2百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は862億10百万円(前年同期は695億99百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

〔経営成績の推移:連結ベース〕

 

 

 

 

 

受注高

(百万円)

売上高

(百万円)

営業損失(△)

(百万円)

経常利益又は

経常損失(△)

(百万円)

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(百万円)

1株当たり

当期純損失(△)

(円)

2020年3月期

996,848

786,477

△62,079

△60,457

△86,210

△1,066.47

2019年3月期

710,127

656,504

△59,703

△50,502

△69,599

△861.09

2018年3月期

1,160,662

703,216

△5,224

3,061

△10,137

△125.42

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりとなりました。

 

(船舶)

受注高は686億98百万円(前年同期比△39.3%)、売上高は1,151億11百万円(同+18.8%)、営業損失は28億59百万円(前年同期は81億12百万円の損失)となりました。

 

(海洋開発)

受注高は6,361億3百万円(同+150.2%)、売上高は3,328億98百万円(同+49.6%)、営業損失は49億19百万円(前年同期は148億94百万円の利益)となりました。

 

(機械)

受注高は1,922億72百万円(同+3.7%)、売上高は2,004億49百万円(同+7.2%)、営業利益は133億23百万円(同+30.5%)となりました。

 

(エンジニアリング)

受注高は482億28百万円(同△18.2%)、売上高は696億21百万円(同+0.9%)、営業損失は714億23百万円(前年同期は796億70百万円の損失)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは372億13百万円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローは841億25百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローは268億25百万円の支出となったことなどにより、前連結会計年度に比べて192億83百万円増加(+19.8%)して1,166億91百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の支出は、372億13百万円(前連結会計年度は661億76百万円の収入)となりました。これは主として、連結子会社において仕入債務及び受注工事損失引当金の増加による収入があった一方、税金等調整前当期純損失の増加及び連結子会社におけるFPSO建造工事の進捗に伴う売上債権の増加などによる支出があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の収入は、841億25百万円(前連結会計年度は1億30百万円の支出)となりました。これは主として、有形及び無形固定資産の取得及び貸付けによる支出などがあった一方、「三井E&Sグループ 事業再生計画」に基づく資産及び事業の売却を実施したことなどによる収入があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べて265億15百万円減少して268億25百万円となりました。これは主として、短期借入金の純増加による収入などがあった一方、長期借入金の返済及び社債の償還による支出などがあったことによるものであります。

 

〔財政状態の推移:連結ベース〕

 

総資産

(百万円)

純資産

(百万円)

自己資本比率

(%)

営業活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

投資活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

財務活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

有利子
負債残高

(百万円)

2020年3月期

840,380

105,355

7.7

△37,213

84,125

△26,825

187,117

2019年3月期

999,100

280,239

16.0

66,176

△130

△53,340

213,293

2018年3月期

1,029,222

356,837

23.2

△3,555

△9,046

△14,813

264,882

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

船舶

115,465

18.8

海洋開発

329,451

46.2

機械

206,788

6.5

エンジニアリング

70,410

0.4

その他

65,398

△21.6

合計

787,515

17.5

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、販売価格によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

船舶

68,698

△39.3

97,467

△38.2

海洋開発

636,103

150.2

1,380,808

27.0

機械

192,272

3.7

150,960

△5.3

エンジニアリング

48,228

△18.2

74,052

△34.7

その他

51,545

△47.6

117,054

△19.7

合計

996,848

40.4

1,820,343

9.4

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

船舶

115,111

18.8

海洋開発

332,898

49.6

機械

200,449

7.2

エンジニアリング

69,621

0.9

その他

68,396

△15.8

合計

786,477

19.8

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、主な内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって、期末時点において連結貸借対照表及び連結損益計算書に影響を与える判断、見積りを行っております。貸倒引当金、受注工事損失引当金などの各種引当金、繰延税金資産の回収可能性及び工事進行基準による売上など、見積りにあたっては、それぞれ合理的な方法によっております。

なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ1,587億20百万円減少の8,403億80百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が566億3百万円増加した一方、短期貸付金が314億44百万円、有形固定資産が1,824億81百万円それぞれ減少したことなどによります。

負債は、前連結会計年度末と比べ161億63百万円増加の7,350億24百万円となりました。これは、長期借入金が530億1百万円、繰延税金負債が477億62百万円それぞれ減少した一方、支払手形及び買掛金が472億85百万円、短期借入金が311億34百万円、受注工事損失引当金が375億33百万円それぞれ増加したことなどによります。

純資産は、利益剰余金が減少したことなどにより、前連結会計年度末と比べ1,748億84百万円減少の1,053億55百万円となりました。

 

b. 経営成績

当連結会計年度の受注高は、子会社の三井海洋開発株式会社が大型プロジェクトを受注したことなどから、前期と比べて2,867億20百万円増加(+40.4%)の9,968億48百万円となりました。

売上高は、海洋開発部門の進行基準工事売上高が増加したことに加えて船舶、機械部門で増収となったことなどにより、前期と比べて1,299億73百万円増加(+19.8%)の7,864億77百万円となりました。

営業損失は、船舶、機械及びエンジニアリング部門で改善や損失の減少がみられた一方で、海洋開発部門の三井海洋開発株式会社が海外プロジェクトにおいて損失を計上したことなどにより、620億79百万円(前期は597億3百万円の営業損失)となりました。

経常損失は、営業損失の計上に加えて持分法投資利益が減少したことなどにより、604億57百万円(前期は505億2百万円の経常損失)となりました。

親会社株主に帰属する当期純損失は、税金等調整前当期純損失の計上に加えて非支配株主持分利益が減少したことなどにより、862億10百万円(前期は695億99百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(船舶)

一般商船分野においては、ここ数年の新造船発注量の減少による需給バランス改善と、米中貿易摩擦の鎮静化による海上荷動き増の予測から船主の発注意欲が改善され、2020年の旧正月明けに市況が回復局面に入り新造船需要が増加すると期待されていたところに、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が発生し、世界景気の先行き不安を反映したかたちで、市況の急落が見られております。

液化ガス船においても同様で、世界経済減速の懸念からLPG・LNG需要は減少する見通しです。一定量の新造船LNG商談は継続して行われているものの、市況の状況から成約が遅れる可能性も懸念されています。一方、小型LNG船は徐々に数を増やしてきており、欧州地域では、中小型LNG船による二次輸送計画も相次いで発表されており、これら船型の新造船需要が期待されます。

一方、艦船・官公庁船分野においては、近年、艦船、巡視船、漁業取締船、練習船などの特殊船が継続的に発注されており、今後も各省庁における新規船舶の増勢、代替船需要は底堅く続くものと思われます。加えて、深刻な乗組員の不足を背景に各省庁とも省人化、無人化技術の導入が喫緊の課題となっており、当社グループは、課題解決のキーとなる自律化船、無人機、維持整備管理技術を有していることから、今後、ビジネスチャンスの拡大が期待されます。

このような状況下、当社グループは一般商船分野においては、引き続き省エネ船の先行ヤードとしての強みを活かして採算改善を図りながら選別的な受注を進めていきます。また、船主のニーズを喚起する新しいガス燃料船などの新船型の開発も進める一方で、海外の協業先への委託建造などのスキームも活用して今後の新造船事業の展開を図ります。

艦船・官公庁船分野においては、多種多様な船種を開発、設計し、継続的な受注・建造を果たしており、特に設計、現場、品質における若手の練成が進み、前期の引渡し実績船においても客先から高い評価と信頼を獲得しております。当社グループに与えられた一定の評価をもとに、さらにあらたな商機となるであろう自律化船、無人機、維持整備管理技術とも併せ、積極的な受注活動を図ってまいります。

受注高は、新造商船の受注が模様眺めで低調に終わったこと等により、前期と比べて445億9百万円減少(△39.3%)の686億98百万円となりました。売上高は、これまでの造船市況低迷期に受注を抑制した影響で年間計画操業量を抑えたものの、防衛省向け艦船を含む官公庁船等において増加が見られたことにより、前期と比べて182億32百万円増加(+18.8%)の1,151億11百万円となり、営業損失は、従来から進めているコスト改善施策が奏功し、前期と比べて52億52百万円改善の28億59百万円の損失となりました。

 

(海洋開発)

原油価格は、中東での地政学的リスクの高まりによる供給不安や米中摩擦への懸念が薄らいだこと等によりWTIは2019年12月末まで1バレル50-60米ドル台で推移しました。しかしその後、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて原油需要が急減したことに加え、主要産油国による協調減産の足並みが揃わず、大幅な下落を伴う極めて不安定な値動きも見られます

一方、中長期的には石油会社による深海域を中心とした開発は、エネルギー資源の持続的な供給の観点から継続的に行われると考えられ、FPSO事業は安定的な成長が見込まれております。当社グループはFPSO事業の拡大に向け、グループ全体でのリソース融通やEPC(設計・調達・建設)などの協業を強化してまいります。

受注高は、大型チャータープロジェクトの新規受注、既存プロジェクトの仕様変更及びオペレーションサービス等により、前期と比べて3,819億2百万円増加(+150.2%)の6,361億3百万円となりました。売上高は、FPSO建造工事の進捗等により、前期と比べて1,104億40百万円増加(+49.6%)の3,328億98百万円となり、営業損失は、FPSO建造工事において見積りを上回った費用に対する引当金を計上したことなどにより49億19百万円(前期は148億94百万円の営業利益)となりました。

 

(機械)

舶用ディーゼル機関については、船腹の需給ギャップは依然解消されておらず、また資機材費の上昇により厳しい事業環境が続いています。玉野機械工場における生産量は200基/362万馬力となりました。来期は大型機関の生産量が増えることから165基/375万馬力を予定しています。また、NOx三次規制対応機関が急増しており、来期は生産量の45%を占めるまで増加する予定です。今後、舶用機関においても地球温暖化への対応が求められており、ガス燃料機関への需要が見込まれています。厳しい事業環境の中ではありますが、多燃料化、短納期化、デジタル技術を活用したアフターサービスなど、多様化する顧客ニーズに応えるため、必要な設備投資を進めています。

運搬機については、東南アジアやアフリカなどの新興国で引き続き港湾の新設や増設が多数計画されておりコンテナクレーンの堅調な需要があります。今期はマレーシア、フィリピン、ベトナム(東南アジア)向けに加えてアンゴラ(アフリカ)向け、ポルトガル、スウェーデン(ヨーロッパ)向けの大型案件を受注しました。また国内向けでも遠隔自動操作用コンテナヤードクレーンの大型案件を受注しました。受注台数は、海外向けでガントリークレーン13基、ヤードクレーン55基、多目的クレーン2基、国内向けでガントリークレーン5基、ヤードクレーン35基、製品クレーン1基となりました。来期の受注案件におきましても引き合いは堅調ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により顧客ターミナルのコンテナ荷役量が減っていることから、海外顧客においては一部で一時的な投資の先送りが発生している状況です。

産業機械については、特殊材料大型反応器や回転乾燥機等の石油化学向けプロセス機器の受注が順調に推移した他に、韓国向け高炉送風機3基の更新案件を受注しました。石油精製・石油化学関連設備である往復動圧縮機の引き合いは増加傾向にありますが、競合他社との競争で厳しい受注環境が続いています。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済停滞に加え、原油価格の下落により、案件の先送り増加が懸念されますが、実施が確定している案件もあることから、これらの受注に注力してまいります。

社会インフラについては、プレストレスト・コンクリート(PC)橋梁の受注は国土交通省向けと高速道路会社向けを中心に好調に推移しましたが、鋼製橋梁の受注は国内における総発注量の落ち込みもあり低調となりました。一方、沿岸製品につきましては浮桟橋を中心に可動橋やケーソンの受注も好調に推移しました。また、老朽化したトンネル・道路・橋梁など社会インフラの劣化・損傷度の調査・診断作業の効率化が喫緊の課題となっていますが、その重要ツールとして自社開発のレーダ探査技術、撮影技術の強化・差別化に取り組んでおり、新たに市場投入した複合探査車とトンネル撮影車により受注を拡大しています。アフターサービスを中心としたLSS事業(製品ライフサイクル対応型事業及び顧客問題解決型事業)については、舶用部品マーケットが好調に推移したことから、ディーゼル部品の受注が好調だったこと、製鉄所、石油精製プラント、発電設備用機器向けの定期点検作業や補修工事の受注も好調に推移したこと、また、コンテナクレーン新設に伴う既設機の移設・解体工事やクレーン安定稼動に向けた改修工事などにより、受注高・売上高ともに前期から増加しました。なお、アフターサービスにおける新型コロナウイルス感染拡大の影響については、今のところ顕著な影響はありません。

受注高は、舶用ディーゼル機関、コンテナクレーン及びアフターサービス事業などが堅調に推移したことにより、前期と比べて69億39百万円増加(+3.7%)の1,922億72百万円となりました。売上高は、舶用ディーゼル機関や各種産業機械の引渡しが増えたこと及びアフターサービス事業などの増加により、前期と比べて135億13百万円増加(+7.2%)の2,004億49百万円となり、営業利益は、アフターサービス事業の好調などにより、前期と比べて31億12百万円増加(+30.5%)の133億23百万円となりました。

 

(エンジニアリング)

環境・エネルギー分野においては、環境事業を当社子会社である三井E&S環境エンジニアリング株式会社へ集約し、風力発電建設事業においては撤退を決定しました。

石油・化学プラント分野においては、化学プラント関連事業の子会社である三井E&Sプラントエンジニアリング株式会社をJFEエンジニアリング株式会社へ譲渡した一方、既受注工事においては確実な工事遂行に注力し、ルイジアナ州向け石油化学プラント工事を完成・引渡しをしました。

バイオマス発電事業分野においては、国内新設事業からの撤退を決定しました。また、既受注工事の市原バイオマス発電株式会社向け発電所建設工事の確実な工事遂行に向け引き続き注力しております。

海外インフラ分野については、インドネシア向け火力発電所土木建築工事において大幅な損失が発生しました。この損失の最小化に引き続き努めるとともに、インドネシア及びベトナムで進行中の他の火力発電所土木建築工事の確実な工事遂行に注力しております。既受注工事完了後は、同事業から撤退し、そのリソースを当社グループの成長の見込める事業に再配置いたします。

受注高は、事業再生計画に伴いバイオマス・風力発電案件の新規受注を控えた影響及び前期に国内石油化学プラント大型工事の受注があったこと等から、前期と比べて106億99百万円減少(△18.2%)の482億28百万円となりました。売上高は、風力発電などの大型工事が終了したものの、子会社で化学プラントの建設工事が進捗したことから、前期と比べて6億48百万円増加(+0.9%)の696億21百万円となり、営業損失は、前期に引き続きインドネシア向け火力発電所土木建築工事での大幅な損失計上等があったものの、損失額は減少し、前期と比べて82億47百万円改善の714億23百万円の損失となりました。

 

c. キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

a. 資金需要

当社グループは個々の契約金額が大きな製品、建造物を受注生産しており、運転資金は工事にかかる材料費、請負工事費、及び人件費が占めておりますが、個々の工事の契約による支払い条件、工事の進捗により、一時的な運転資金が大きくなりやすい傾向があります。

投資資金の主なものは、製造工場を維持するための設備資金、及び事業拡大のための事業投資資金が占め、近年では再生可能エネルギー関係事業の投資が増えておりましたが、足元では非中核事業や不稼働資産の売却を行い、運転資金、投資資金へ充当しております。

なお、現在当社グループは事業再生計画実行の途上にあることから、設備投資、投融資などの長期的な資金は、主力事業とする海洋事業分野、機械事業分野に集中させ、またリース取引を活用することで、当面の間は抑制していく方針としています。

 

 

b. 資金調達

当社グループの運転資金、投資資金は主に営業活動による収入を財源とすることを基本としていますが、受注金額が大きく、また工期も長い工事が多いことから、金融機関からの長期借入金や社債発行による資金調達も実施しております。これらの借入金を適時調達できる状態を維持する為、主要取引金融機関とは良好な、長年にわたる取引関係を維持しており、一部の金融機関とはコミットメントラインを設定し、緊急の資金需要にも備えています。また、上場子会社を除いた連結子会社との間でCMS(キャッシュ・マネージメント・システム)を導入して、グループ全体での資金効率を高め、安定的に資金の流動性を確保できる体制を構築しております。

 

なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

合計

返済・償還

1年以内

返済・償還

1年超

短期借入金

34,670

34,670

長期借入金

99,264

40,245

59,019

社債

40,000

5,000

35,000

リース債務

13,183

5,393

7,789

合計

187,117

85,308

101,808

 

④ 経営計画の達成・進捗状況について

当社グループは、エンジニアリング事業の海外大型EPCプロジェクトでの大規模な損失により、財政基盤が著しく毀損し、自己資本の回復と資金の確保が急務となったことから、2019年度から2022年度までを事業再生計画期間とする「三井E&Sグループ 事業再生計画」を2019年5月に策定して、財務体質及び収益体質の強化、並びに事業構造の変革を推し進めております。なお、第2四半期連結会計期間に発生したインドネシアにおける火力発電所土木建築工事の追加損失を受けて、2019年11月に一部見直しを行い、「資産及び事業の売却案件の追加と実行の加速」、「事業構造の改革及び協働事業に関する他社との協業の促進」を対策に加えて推進しております。

「三井E&Sグループ 事業再生計画」では、有利子負債の削減や資産の有効活用を重視し、また、売上至上主義から脱却し、利益追求を重視する観点から、経営指標としてNET有利子負債EBITDA倍率、売上高経常利益率及び総資産回転率を選定しており、2022年度において、NET有利子負債EBITDA倍率:5倍未満、売上高経常利益率4.0%以上、及び総資産回転率:0.80倍以上の達成を目指します。

なお、当連結会計年度においては、海外大型EPCプロジェクトの追加損失などにより経常損失となりましたが資産及び事業の売却により、総資産及び有利子負債は減少しております。

事業再生計画の各施策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等  (5)事業上及び財務上の対処すべき課題」に記載のとおりです。

 

<三井E&Sグループ 事業再生計画の状況>

指標

2022年度目標

2019年度実績

目標との差異

NET有利子負債EBITDA倍率(※1)

5倍未満

-(※2)

売上高経常利益率

4.0%

△7.7%

△11.7%

総資産回転率

0.80倍以上

0.93倍

+0.13倍

※1.NET有利子負債EBITDA倍率=(営業利益+減価償却費+持分法による投資損益)÷(有利子負債残高-現金及び預金)

※2.2019年度NET有利子負債EBITDA倍率の実績については、営業損失が減価償却費と持分法による投資損益の合計額を上回っていることから「-」としております。