(1)当期の経営成績の概況
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a.当期の経営成績の状況
当連結会計年度(2022年7月1日から2023年6月30日まで)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の行動制限の撤廃や感染症法上の位置付けが5類に移行したことより、国内外の移動が活発化し経済の正常化が進みました。景気回復に向けた動きが進む一方、ロシア・ウクライナ情勢などの影響によるエネルギー価格や原材料価格の高騰、物価上昇、また円安の進行など、景気の先行きが不透明な状況が続きました。
2023年7月31日に観光庁が公表している最新の宿泊旅行統計調査(2023年5月第2次速報、2023年6月第1次速報)によりますと、2023年5月の延べ宿泊者数は4,926万人泊(前年同月比+33.8%、2019年同月比△4.2%)、6月は4,626万人泊(前年同月比+36.5%、2019年同月比+1.0%)と、前年を大幅に上回り、ほぼコロナ禍以前の水準に戻っております。
このような事業状況の下、当社運営における月次の客室稼働率は、第1四半期を中心に前年同期の各月を大幅に上回り、年度を通じでコロナ禍以前の2019年6月期と同水準にて推移いたしました。また客室単価は、比較的客室単価の高い都市等への出店割合が増加したことや全国旅行支援の影響等により、コロナ禍以前及び前年を大幅に上回り、特に2023年5月度は9,042円と過去最高の客室単価となりました。インバウンド需要はますます回復することが期待され、引き続き国内外からの安定的な宿泊需要を見込んでおります。
当社グループにおいて宿泊特化型ホテルを中心に全国で展開している「チョイスブランド」では、2021年7月5日開業のコンフォートイン那覇泊港(沖縄県那覇市)、2021年10月14日開業のコンフォートホテル名古屋金山(愛知県名古屋市)、2022年3月23日開業のコンフォートホテル高松(香川県高松市)、2022年12月14日開業のコンフォートホテル四日市(三重県四日市市)の当連結会計年度における売上高の貢献がありました。一方で当連結会計年度において定期建物賃貸借契約の満了によりコンフォートホテル長崎(長崎県長崎市、2022年11月30日閉店)、コンフォートホテル長野(長野県長野市、2022年12月11日閉店)の2店舗を閉店いたしました。営業面においては、各地域の「地域割」や期中に開始された「全国旅行支援」への対応、需要の増加に合わせた各店舗地域のレベニューマネジメントによる販促強化を図ったこと、また状況を見極めた自治体への一棟貸し継続の結果、当事業の売上高は前年同期比49.0%増の29,904百万円となり、客室稼働率は前年同期比9.0ポイント増の83.0%、客室単価は前年同期比31.6%増の8,298円となりました。
三重県・東海地方を中心に地域特性に合わせて宴会場等を併設したシティホテルや宿泊特化型ホテルを展開している「オリジナルブランド」及び「その他の事業」においては、2021年7月30日開業のhotel around TAKAYAMA(岐阜県高山市)の当連結会計年度における売上高の貢献があった一方、定期建物賃貸借契約の終了により伊勢シティホテルアネックス(三重県伊勢市、2022年12月12日閉店)、施設老朽化により維持管理費の増加が見込まれること等を総合的に勘案しロードイン鳥羽(三重県鳥羽市、2023年2月12日閉店)2店舗を閉店いたしました。営業面においては、堅調な設備工事やメンテナンス等のビジネス需要の取り込み、「チョイスブランド」と同じく、各地域の「地域割」や期中に開始された「全国旅行支援」への対応、需要の増加に合わせた各店舗地域のレベニューマネジメントによる販促強化を図ったこと、また状況を見極めた自治体への一棟貸し継続の結果、売上高は前年同期比21.7%増の6,534百万円となり、客室稼働率は前年同期比5.8ポイント増の73.0%、客室単価は前年同期比18.0%増の6,321円となりました。
上記の結果、当連結会計年度における当社グループ全体の客室稼働率は前年比8.4ポイント増の80.9%、客室単価は前年比29.7%増の7,921円、ホテル軒数は97店舗、客室数はチョイスブランド11,428室、オリジナルブランド2,979室の合計14,407室となっております。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高36,439百万円(前期比43.3%増)、営業利益3,697百万円(前年同期は営業損失2,157百万円)、経常利益3,492百万円(前年同期は経常損失2,021百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,191百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失2,178百万円)となりました。
(注)1.2023年1月に組織変更を実施し、 当社グループにおいて宿泊特化型ホテルを中心に全国で展開している「チョイスブランド」と三重県・東海地方を中心に地域特性に合わせて宴会場等を併設したシティホテルや宿泊特化型ホテルを展開している「オリジナルブランド」でブランド別の管理を行うこととなったため第3四半期よりブランド別に開示しております。なお、従前開示しておりました事業部別の所属店舗とブランド別での所属店舗に変更はございません。
2.文中記載の客室稼働率ならびに客室単価は、当連結会計年度における数値となります。なお月別の数値に関しましては当社ホームページに掲載しております。株式会社グリーンズ https://www.kk-greens.jp/
b.当期の財政状態の状況
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における資産につきましては23,786百万円(前連結会計年度末25,932百万円)と、2,145百万円減少いたしました。
うち流動資産は9,992百万円(同13,159百万円)と、3,167百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金の減少によるものであります。
固定資産は13,794百万円(同12,772百万円)と1,022百万円増加いたしました。これは主に繰延税金資産の増加によるものであります。
負債につきましては18,419百万円(同24,585百万円)と6,166百万円減少いたしました。
うち流動負債は7,467百万円(同16,583百万円)と9,115百万円減少いたしました。これは主に短期借入金及び1年内返済予定の長期借入金の減少によるものであります。
固定負債は10,951百万円(同8,002百万円)と2,949百万円増加いたしました。これは主に長期借入金の増加によるものであります。
純資産につきましては5,367百万円(同1,347百万円)と、4,020百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は22.6%となりました。
②当期のキャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて3,287百万 円減少し、6,727百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は4,629百万円(前年同期は1,029百万円の使用)となりました。収入の主な内訳は税金等調整前当期純利益3,105百万円、減価償却費559百万円、減損損失163百万円、未払金の増加406百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は539百万円(前年同期は2,253百万円の使用)となりました。収入の主な内訳は差入保証金の回収による収入173百万円、有形固定資産の売却による収入147百万円、支出の主な内訳は有形固定資産の取得による支出767百万円、無形固定資産の取得による支出33百万円、差入保証金の差入による支出30百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は7,376百万円(前年同期は9,416百万円獲得)となりました。収入の主な内訳は長期借入による収入883百万円、支出の主な内訳は短期借入金の純減少額7,000百万円、長期借入金の返済による支出773百万円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループはホテル事業の単一セグメントであるため、ブランド別に記載しております。
事業部門の名称 | 当連結会計年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) | 前年同期比(%) |
チョイスブランド(千円) | 29,904,603 | 149.0 |
オリジナルブランド及びその他の事業(千円) | 6,534,607 | 121.7 |
合 計(千円) | 36,439,211 | 143.3 |
(注) 1.2023年1月に組織変更を実施し、ブランド別の管理を行うこととなったため第3四半期よりブランド別に開示しております。なお、従前開示しておりました事業部別の所属店舗とブランド別での所属店舗に変更はございません。
2.事業部門間の取引については相殺消去しております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や取引状況等を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、その結果を資産・負債及び収益・費用の数値に反映しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における資産につきましては23,786百万円(前連結会計年度末25,932百万円)と、2,145百万円減少いたしました。
うち流動資産は9,992百万円(同13,159百万円)と、3,167百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金の減少によるものであります。
固定資産は13,794百万円(同12,772百万円)と1,022百万円増加いたしました。これは主に繰延税金資産の増加によるものであります。
(負債合計)
負債につきましては18,419百万円(同24,585百万円)と6,166百万円減少いたしました。
うち流動負債は7,467百万円(同16,583百万円)と9,115百万円減少いたしました。これは主に短期借入金及び1年内返済予定の長期借入金の減少によるものであります。
固定負債は10,951百万円(同8,002百万円)と2,949百万円増加いたしました。これは主に長期借入金の増加によるものであります。
(純資産合計)
純資産につきましては5,367百万円(同1,347百万円)と、4,020百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は22.6%となりました。
2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は36,439百万円(前期比43.3%増)となりました。比較的客室単価の高い都市等への出店割合が増加したことや全国旅行支援の影響等により、コロナ禍以前及び前年を大幅に上回り、収支が大きく改善したことによるものであります。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上高の増加等により売上原価は26,337百万円(前期比14.5%増)、販売費及び一般管理費は6,404百万円(前期比39.6%増)となりました。
(営業利益)
売上の増加により、営業利益は3,697百万円(前年同期は営業損失2,157百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は4,191百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失2,178百万円)となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)当期の経営成績の概況 ②当期のキャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、自己資本の増強及び財務基盤の安定化は重要な課題であると認識しております。アフターコロナにおける成長軌道回帰の実現に必要な投資資金の確保も視野に、資本性のある資金を調達することが必要であるとの考えから、2021年10月19日に、DBJ飲食・宿泊支援ファンド投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当によるA種優先株式及び近畿中部広域復興支援投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当によるB種優先株式を発行し、6,000百万円及び500百万円の資金調達を行いました。
また既存借入の借換えを含む運転資金として、総額13,000百万円のシンジケートローン契約(3,000百万円の資本的劣後ローンを含む)、500百万円の資本的劣後ローン契約を締結しております。なお、一部の財務制限条項に抵触しておりますが、取引金融機関から期限の利益喪失に関する請求を受けておりません。