3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等とい う。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、雇用環境や個人所得の改善が続くなど緩やかな回復基調で推移しました。一方、英国のEU離脱交渉の不確実性や米国通商政策の先行き不透明感などの懸念要素が継続し、景気の先行きは依然として不透明な状況が見込まれます。

 当社グループの主要事業の業績に影響を与える海外出国者数につきましては平成30年全体では18,954千人で前年比6.0%増と過去最高の数字となりました(日本政府観光局(JNTO)調べ)

海外からの訪日外客数についても前年比8.7%増で過去最高の31,191千人となりました(日本政府観光局(JNTO)調べ)。

 当社の主要業務である海外における日本人顧客向けの医療アシスタンスサービスにとって海外出国者数の増加は好環境であり、海外旅行保険の付帯サービス、事業法人向けアシスタンスサービス、留学生危機管理サービス、セキュリティ・アシスタンスサービスの提供は堅調に推移しました。

 また、外国人患者受入を実施する国際医療事業についても日本の高度医療に対する認知度の向上と外国人受入医療機関の増加を受けて着実に実績をあげております。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,869百万円(前期比11.8%増)と増収になりました。

 一方で、費用につきましては、カナダセンター開設に伴う初期投資とグループ全体に及ぶ人件費の上昇により増加し、当連結会計年度の売上原価は2,139百万円(前期比9.5%増)、販売費及び一般管理費が581百万円(前期比5.7%増)となり、営業利益は148百万円(前期比136.9%増)、経常利益は141百万円(前期比264.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は95百万円(前期比278.0%増)となりました。

 

セグメントの状況は次のとおりであります。

(医療アシスタンス事業)

(ⅰ)海外旅行保険の付帯サービス

 海外旅行保険の付帯サービスに関しましては、海外出国者数の増加という好環境のもとで売上が前年同期比で増加しております。

(ⅱ)事業法人向けアシスタンスサービス、留学生危機管理サービス、セキュリティ・アシスタンスサービス

 当社は医療アシスタンスサービスとセキュリティ・アシスタンスサービスの両サービスを企業に、留学生危機管理サービスを大学に提供しております。企業・大学は海外での危機管理対応のため、サービスの利用が増え、売上高は増加しました。

(ⅲ)救急救命アシスタンス事業

 救急救命アシスタンス事業は、三次元物理探査船運航への医療支援業務や官公庁受注業務を着実に実施することで売上は堅調に推移しました。

 また民間企業が海外の僻地で取り組む大規模建設工事現場にサイトクリニックを設置し、医師・救急救命士・看護師が常駐して現地医療体制を構築し、病人や怪我人の対応を行う事業(EAJプロジェクトアシスト)を新規に受注し、順調に運営しております。当事業に関して今後の拡大が期待されます。

(ⅳ)国際医療事業

 国際医療事業につきましては、国内医療機関とのネットワーク活動の強化、患者受入環境の好転と相まって患者受入数は増加しました。

 受入れ患者が一番多い中国のグループ会社において営業を強化するとともに、WeChat等SNSを利用した情報配信、広告宣伝活動に力を入れ、今後の更なる患者受入数増加を期待しています。

 また、日本国内では、海外からの訪日外客数の増加に伴い、日本国内で外国人に病気や怪我など不測の事態が起こった場合のスムーズな医療提供が大きな課題となりつつあります。官公庁・保険会社等と協力し、緊急対応型医療アシスタンスの拡大に向けてサービス内容の拡充と人材採用等の準備を実施してまいります。

 

 当セグメントの費用に関しましては、ビジネス拡大のための人材確保と設備投資により増加しました。また、昨今の人手不足による採用コスト増や世間の人件費上昇を考慮した昇給により人件費単価も増加しました。

 新たな費用発生要因であるカナダセンターの設置は海外センターを含めたグループ全体の受電業務について同一の高品質サービスを提供できるような仕組みである「シングルオペレーションプラットフォーム」を実現するため必要な措置であり、同時にこれにより高レベル人材の採用、北米地域における営業活動の強化も可能となります。

 これらの結果、医療アシスタンス事業の売上高は2,369百万円(前期比12.8%増)、セグメント利益は462百万円(前期比28.4%増)となりました。

 

(ライフアシスタンス事業)

 ライフアシスタンス事業につきましては既存事業については着実な遂行を実施し、新規サービスも順調に軌道にのり、売上高は堅調に推移しました。

 一方で増大する顧客対応業務に対応するため人員採用を進め人件費は増加しました。

 この結果、ライフアシスタンス事業の売上高は499百万円(前期比7.2%増)、セグメント利益は113百万円(前期比18.8%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 このような状況下、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ11百万円減少し、882百万円となりました。

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・インフローは、226百万円(前連結会計年度は151百万円のキャッシュ・インフロー)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益を139万円計上したこと、減価償却費を83百万円計上したことに加え、外国人患者受入れ等に関する前受金133百万円の増加、キャッシュレスサービス等を実施するための医療機関に対する立替金125百万円の増加によるものであります。

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・アウトフローは、85百万円(前連結会計年度は183百万円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出72百万円、定期預金の預入による支出20百万円、定期預金の払戻による収入13百万円によるものであります。

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・アウトフローは、145百万円(前連結会計年度は24百万円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。この主な要因は、短期借入金の返済による支出80百万円、長期借入金の返済による支出54百万円、配当金の支払による支出が12百万円あったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

(1) 生産実績

 当社グループはアシスタンス業務の提供を主たる事業として行っており、生産に該当する事項はありません。

 

(2) 受注実績

 当社グループの主たる事業であるアシスタンス業務の提供は、提供するサービスの性格上、受注の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成30年1月1日

至 平成30年12月31日)

前年同期比(%)

医療アシスタンス事業 (千円)

2,369,595

+12.8

ライフアシスタンス事業(千円)

499,690

+7.2

合計      (千円)

2,869,285

+11.8

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成29年1月1日

至 平成29年12月31日)

当連結会計年度

(自 平成30年1月1日

至 平成30年12月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

損害保険ジャパン日本興亜株式会社(注)3

1,204,495

46.9

1,359,419

47.4

American Express International Inc.

390,263

15.2

306,280

10.7

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.損害保険ジャパン日本興亜株式会社の企業集団に属するSompo America Insurance Services LLCへの販売高を集約して記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、売掛金等に対する貸倒引当金、及び資産・負債の報告数値ならびに財務諸表の開示内容に影響を与えるその他の事項について、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる判断や見積りを行っております。従って、実際の結果がこれらの見積り額と異なることがあり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与えることがあります。重要な会計方針については「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

 売上高は前年比11.8%増の2,869百万円になりました。

 医療アシスタンス事業において、海外旅行保険の付帯としてのサービス提供に関する売上は増加し、国際医療事業サービスにおける受入外国人患者数は増加し、また法人・大学の危機管理意識の高まりにより、事業法人向けアシスタンスサービス、留学生危機管理サービス、セキュリティ・アシスタンスサービスの提供数が増加し、ライフアシスタンス事業においては提携会社の営業拡大に貢献したため売上が増加しました。

 また、外国人患者受入を実施する国際医療事業についても日本の高度医療に対する認知度の向上と外国人受入医療機関の増加を受けて着実に実績をあげております。

 

(営業利益)

 売上原価はカナダセンター開設に伴う初期投資など、ビジネス拡大や業務量増加に対応するための人材・設備投資、昨今の人件費上昇により人件費単価の影響もあり2,139百万円(前年比9.5%増)となりました。

 また、販売費及び一般管理費はアシスタンスサービス体制強化のための投資及び人件費の上昇により581百万円(前年比5.7%増)となりました。

 以上の結果、営業利益は148百万円(前年比136.9%増)と伸長ました。なお、営業利益率は5.2%(前年比2.8%ポイント増)と大きく増加しました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 営業外収益は受取保険金等により6百万円となりました。

 営業外費用は円高の影響による為替差損9百万円と支払利息3百万円の計上等があり13百万円となりました。

 また、特筆すべき特別利益及び特別損失の計上はありません。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は95百万円と伸長し、当期純利益率は3.3%(前年比2.3%ポイント増)と大きく増加しました。

 

(財政状態)

 当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ168百万円増加し、2,288百万円となりました。主な増減要因としては、ビジネス拡大に伴う医療機関等への立替金125百万円の増加、売掛金64百万円の増加、有形固定資産23百万円の増加、無形固定資産39百万円の減少がありました。

 負債につきましては、前連結会計年度末に比べ98百万円増加し、1,467百万円となりました。主な増減要因としては、医療ツーリズムに伴う前受金133百万円の増加、未払法人税等49百万円の増加、短期借入金の返済80百万円、前受収益25百万円の増加がありました。

 純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ70百万円増加し820百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が95百万円発生し、為替換算調整勘定が16百万円減少し、前連結会計年度分の配当金の支払いのために資本剰余金が12百万円減少したことによるものであります。

 

 以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は34.9%(前期比0.4ポイント増)、自己資本利益率は12.5%(前期比9.0ポイント増)と向上しました。自己資本比率の低さについては医療機関に対して立替を実施するため、ビジネス拡大をするにつれて借入が増えるビジネスモデルとなっているためです。また、自己資本利益率を重要な経営指標とし、自己資本利益率を高くするために着実に利益を積み重ねていくよう努めます。

 なお、今後の見通しにつきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載のとおりであります。

 

また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 (資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループは医療機関に対して立替払いを実施するため、また事業規模の拡大と収益源の多様化を求めるために必要に応じて資金調達を実施いたします。投資のための資金調達は基本的には銀行からの固定金利での長期借入金によっております。また機動的な資金確保のため取引銀行9行と当座貸越契約を締結しております。

 当社は、財務基盤を強化するとともに、成長のための投資資金の確保を実現するため、投資計画と立替資金及びリスク対応の留保分を考慮したうえで保有すべき現預金水準を設定し、適正レンジで維持しております。