4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容は次のとおりであります。

(注)「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載している金額のうち、「(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容 ⑤ キャッシュ・フロー」は、消費税等を含んだ金額であります。

 

① 経営成績

(単位:百万円)

 

売上高

税引前当期利益

親会社の所有者に

帰属する当期利益

当連結会計年度

1,422,989

229,910

160,585

前連結会計年度

1,259,091

357,434

281,037

増減

163,898

△127,524

△120,452

増減率(%)

13.0

△35.7

△42.9

 

(年間平均海外相場、年間平均為替相場)

 

単位

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

(△は減少)

$/t

9,691

8,551

△1,140

$/TOZ

1,818.4

1,804.8

△13.6

ニッケル

$/lb

9.35

11.63

2.28

為替(TTM)

円/$

112.39

135.48

23.09

 

 当連結会計年度の世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、世界的なインフレーションと金融引き締め、中国における新型コロナウイルス感染症に対する厳格な防疫措置及び措置解除に伴う一時的な感染急拡大などにより、成長が減速しました。

 為替相場につきましては、日米の金融政策の相違による金利差拡大や日本の貿易赤字拡大などにより、急速に円

安が進行しました。その後、米国における利上げ幅の縮小及び日本における長期金利の変動許容幅拡大による金

利差縮小、欧米の銀行破綻による金融システム不安の高まりなどにより円高傾向となったものの、米国の利上げ継

続見込みなどから当連結会計年度末にかけて再び円安傾向となり、平均為替レートは前期と比べ大幅な円安となりました。

 主要非鉄金属価格につきましては、銅価格は、中国の経済活動の停滞による需要減少への懸念などにより下落

し、その後上昇に転じたものの、平均価格は前連結会計年度を下回りました。ニッケル価格は、前連結会計年度末にかけて上昇した後、景気回復に懸念が生じたことなどにより急落したものの、脱炭素化を背景に電気自動車の需要が堅調であったことなどから一時的に持ち直しました。その後供給増加の見込みなどにより下落傾向に転じたものの、平均価格は前連結会計年度を上回りました。金価格は、米国の相次ぐ政策金利引き上げなどにより下落した後、利上げ幅縮小などにより上昇したものの、平均価格は前連結会計年度を若干下回りました。

 材料事業の関連業界におきましては、電気自動車の需要が増加しており、車載用電池向け部材の需要は堅調に推

移しました。一方、景気減速などに伴い中国をはじめとした世界におけるスマートフォンの需要が減少したことな

どにより、電子部品向け部材の需要は縮小しました。

 このような状況のなか、当連結会計年度の連結売上高は、大幅な円安、ニッケル価格の上昇、車載用電池向け部材の販売が好調なことなどにより、前連結会計年度に比べ1,638億98百万円増加し、1兆4,229億89百万円となりました。

 連結税引前当期利益は、前連結会計年度に計上したシエラゴルダ銅鉱山の全保有持分の譲渡に伴う売却益及び同鉱山に係る持分法による投資利益が当連結会計年度はなかったことなどにより、前連結会計年度に比べ1,275億24百万円減少し、2,299億10百万円となりました。

 親会社の所有者に帰属する当期利益は、連結税引前当期利益が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ1,204億52百万円減少し、1,605億85百万円となりました。

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

(資源セグメント)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高

157,315

172,427

15,112

9.6

セグメント利益

208,548

76,443

△132,105

△63.3

 

 セグメント利益は、為替相場が大幅な円安となったものの、銅価格の下落、菱刈鉱山のサステイナブルな生

産体制への移行に伴う出荷金量の抑制、前連結会計年度に計上したシエラゴルダ銅鉱山に係る全保有持分の譲渡に伴う売却益及び同鉱山に係る持分法による投資利益が当連結会計年度はなかったことなどにより、前連結会計年度を下回りました。

 主要鉱山の概況は以下のとおりであります。

 菱刈鉱山は順調な操業を継続し、販売金量は計画通りの4.4tとなりました。

 モレンシー銅鉱山(米国)の生産量は、新型コロナウイルス感染症対策として実施していたミル(鉱石粉砕

装置)の操業度低下策の終了などにより前連結会計年度を上回り、400千tとなりました(うち非支配持分を除く当社持分は25.0%)。

 セロ・ベルデ銅鉱山(ペルー)の生産量は、給鉱品位の上昇や選鉱場の稼働率上昇などにより前連結会計年度を上回り、442千tとなりました(うち非支配持分を除く当社持分は16.8%)。

 

(製錬セグメント)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高

942,341

1,073,038

130,697

13.9

セグメント利益

114,753

117,866

3,113

2.7

 

(当社の主な製品別生産量)

製品

単位

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

(△は減少)

t

418,847

447,163

28,316

kg

16,662

17,869

1,207

電気ニッケル

t

52,450

52,817

367

フェロニッケル

t

12,330

10,143

△2,187

(注)生産量には、受委託分を含めて表示しております。

 

 セグメント利益は、銅価格が下落したものの、大幅な円安やニッケル価格の上昇などにより前連結会計年度を上回りました。

 電気銅の生産量及び販売量はともに前連結会計年度を上回りました。電気ニッケルの生産量及び販売量は原料不足などの影響を被りましたが、年度末にかけ増産を図ったことで前連結会計年度並みとなりました。フェロニッケルの生産量及び販売量は前連結会計年度を下回りました。

 Coral Bay Nickel Corporation(フィリピン)の生産量は前連結会計年度並みとなりました。Taganito HPAL Nickel Corporation(フィリピン)の生産量は、設備トラブルなどによる減産のあった前連結会計年度を上回りました。

 

(材料セグメント)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高

277,962

317,425

39,463

14.2

セグメント利益

27,625

17,323

△10,302

△37.3

 

 セグメント利益は、脱炭素化を背景に需要が堅調である車載用電池材料向け部材の販売が好調であったもの

の、中国をはじめとした世界におけるスマートフォンなどの需要減少に伴う電子部品向け部材の減販などの影

響により、前連結会計年度を下回りました。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因について

 主な要因として、資源・製錬セグメントは、非鉄金属価格及び為替レートの変動、材料セグメントは、市場動向の変化が挙げられます。詳細及び他の要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③ 財政状態

(単位:百万円)

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減

資産合計

2,268,756

2,707,899

439,143

負債合計

711,338

918,603

207,265

資本合計

1,557,418

1,789,296

231,878

 

 当連結会計年度末の資産合計は、棚卸資産、有形固定資産、持分法で会計処理されている投資及び非流動資産のその他の金融資産などがそれぞれ増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ増加しました。そのうち、持分法で会計処理されている投資は円安などにより増加したものであり、また、非流動資産のその他の金融資産は主に長期貸付金が増えたことで増加しました。

 負債合計は、営業債務及びその他の債務、流動負債及び非流動負債の社債及び借入金、繰延税金負債等が増加し

たことなどから、前連結会計年度末に比べ増加しました。

 資本合計は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により利益剰余金が増加し、その他の資本の構成要素の

うち在外営業活動体の換算差額が円安の影響により増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ増加しました。

 

④ 財務指標

 当連結会計年度は2022年度から2024年度までの3年間を対象とする「21中計」の初年度であります。21中計においては財務体質の健全性を示す指標として連結自己資本比率50%以上の維持、株主還元の指標として連結配当性向原則35%以上といたしました当連結会計年度の連結自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は、60.3%となり、連結配当性向は35.1%となりました

 

⑤ キャッシュ・フロー

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

159,489

120,382

△39,107

投資活動によるキャッシュ・フロー

9,796

△185,503

△195,299

財務活動によるキャッシュ・フロー

△129,618

49,336

178,954

換算差額

15,937

16,815

878

現金及び現金同等物の期首残高

158,373

213,977

55,604

現金及び現金同等物の期末残高

213,977

215,007

1,030

 

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、営業債権及びその他の債権が減少したものの、税引前当期利益が減少し、非鉄金属価格の上昇などの影響により棚卸資産が増加したことなどから、前連結会計年度に比べ収入が減少しました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入が増加したものの、前連結会計年度に計上したシエラゴルダ銅鉱山を譲渡したことによる連結の範囲の変更を伴う子会社持分等の売却による収入が当連結会計年度はなかったこと、有形固定資産の取得による支出や長期貸付けによる支出が増加したことなどから、前連結会計年度は収入だったものの当連結会計年度は支出となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額が増加したものの、短期借入金及び長期借入れによる収入が増加したことなどから、前連結会計年度は支出だったものの当連結会計年度は収入となりました。

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性

a)財務戦略の基本的な考え方

 当社グループでは、減耗する資源を取り扱っており、常に新たな資源権益獲得のための大型開発プロジェクト参画やM&Aに備える必要があります。また、新たな製錬所建設も含め、資源・製錬の開発プロジェクトは、投資を実行してから回収するまでに、比較的長期間を要します。従い一時的な大きなキャッシュ・アウトフローに耐えうる健全な財務体質を維持していくことが重要であり、当社はこのような考え方のもと、具体的には連結自己資本比率を50%超に保つことを財務戦略の基本としております。

 

b)資金調達と流動性マネジメント

 当社は事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金を確保することを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融のバランスを見極めつつ、その時々のマーケット状況での有利手段を追求しています。資源・製錬事業における海外大型プロジェクトでは、現地のカントリーリスクにさらされることも多く、政府系金融機関による各種支援メニューや複数の金融機関による協調型融資の活用、プロジェクトファイナンスの組成など、その都度最適な資金調達方法を検討しております。

 また、当社はそのような大型プロジェクトや材料事業における戦略的増強対応など将来の投資計画を含めた全体の資金需要に対応しつつ、経営の安定化の観点から一定の手元流動性を維持することも必要であると考えています。

 当社は、手元流動性の水準を考えるにあたり、流動性リスクとして連結売上高1.5ヶ月分と半年以内返済予定の借入金等の合計額を想定し、これに対し、現金・預金及び現金同等物(以下「手元現預金」)及びコマーシャル・ペーパー発行可能枠の未使用額を合わせた金額で賄うことで対応することとしています。また、金融市場の動向によりコマーシャル・ペーパーによる調達が一時的に困難になるリスクも想定し、発行に際してはコミットメントライン契約に基づく借入限度額の範囲内にとどめることを原則としています。

 さらに、手元現預金が中長期にわたり必要額に満たなくなると想定される場合には、社債の発行や金融機関からの借入金等を通じて、必要な現預金残高を確保することを考えております。

 なお、当社は、日本国内の市場において株式会社日本格付研究所(JCR)から「ダブルAマイナス」の長期発行体格付及び「J-ワンプラス」の国内CP格付を取得しており、資金調達にあたっては十分な信用力を保持しております。また、主要な国内金融機関と円貨及び外貨でのコミットメントライン契約を締結しており、金融・資本市場の流動性が逼迫した状況下でも、コミットメントラインを使用することによって十分な流動性を確保することができると考えております。

 

⑦ 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第

28号)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 及び 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績及び受注実績

 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また連結会社間の取引が複雑で、報告セグメントごとの生産実績及び受注実績を正確に把握することは困難なため、当社の主要な品目等についてのみ「(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容」において、各報告セグメントの業績に関連付けて記載しております。

 

② 販売実績

 当連結会計年度における販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

前連結会計年度比(%)

資源

172,427

9.6

製錬

1,073,038

13.9

材料

317,425

14.2

報告セグメント計

1,562,890

13.4

その他

10,211

3.7

調整額

△150,112

連結財務諸表計上額

1,422,989

13.0

 (注)1.セグメント間の販売実績は、各セグメントに含めて表示しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

パナソニックホールディングス㈱

193,909

15.4

245,706

17.3

住友電気工業㈱

130,739

10.4

132,700

9.3