3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況の概要は、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.当連結会計年度の経営成績の分析」に記載しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析」に記載しております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループにおける生産実績については鉄鋼事業の粗鋼生産量を、また受注実績についてはエンジニアリング事業の受注実績・受注残高を記載しております。

鉄鋼事業は、特定顧客からの受注については反復循環的に生産しているため、受注実績の記載を省略しております。エンジニアリング事業は、請負工事を中心としているため、生産実績を金額あるいは数量で示すことはしておりません。商社事業は、受注生産形態をとらない製品が多いため、生産実績・受注実績を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績は、以下のとおりであります。

 

セグメントの名称

粗鋼生産量(千トン)

前期比(%)

鉄鋼事業

(うちJFEスチール㈱)

23,965

(22,758)

△14.7

(△14.8)

 

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績は、以下のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注実績(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

エンジニアリング事業

501,110

21.3

549,061

4.4

 

 

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績は、以下のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売実績(百万円)

前期比(%)

鉄鋼事業

2,255,216

△15.9

エンジニアリング事業

485,750

△5.2

商社事業

932,510

△14.0

3,673,477

 

調整額

△446,192

合計

3,227,285

△13.5

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合については、各販売先への当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

2 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

d.その他

生産実績および販売実績の前期比での変動要因、ならびに販売価格の状況については、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に記載しているため省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しております。

重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」、重要な見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積りおよび仮定」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当連結会計年度の経営成績の分析

JFEグループは、企業理念である「常に世界最高の技術をもって社会に貢献する」ことを通じて、企業としての持続的な成長を図り、株主の皆様をはじめすべてのステークホルダーにとっての企業価値の向上に努めてまいりました。

当連結会計年度の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響を受け、特に年度前半において経済活動が著しく停滞しました。年度後半に入ると、国内経済は輸出や個人消費で持ち直しの動きが見られ、海外においても中国ではいち早く景気が回復し、米国や他のアジア諸国でも、持ち直しあるいは下げ止まりの動きが見られました。

このような状況のもと、JFEグループでは、特に鉄鋼事業において、緊急対策として1,000億円規模のコスト削減や設備投資の絞り込み、およびキャッシュ・フロー改善へ向けた取り組みを進めるとともに、国内製鉄所・製造所の製造実力の強靭化とDX推進による生産性の向上等を着実に実行してまいりました。
 事業利益および親会社の所有者に帰属する当期利益は、下期は鋼材の販売先である自動車産業等の生産水準が回復したこともあり黒字となりましたが、上期の落ち込みの影響が大きく、通期では赤字となりました。

当連結会計年度のセグメント別の業績は、以下のとおりです。

鉄鋼事業は、年度前半において鉄鋼需要が大幅に減少したことを受けて、高炉2基の一時休止等の緊急対策を実施しました。これにより、当連結会計年度の連結粗鋼生産量は2,396万トンと前連結会計年度に比べ大幅に減少しました。売上収益については、販売数量の大幅な減少を受け、2兆2,552億円前連結会計年度に比べ4,261億円(15.9%)の減収となりました。損益については、生産最適化によるコストミニマム操業の徹底と、データサイエンス技術を駆使した迅速な高炉再稼働により需要の持ち直しを捕捉したこと、および、輸出市況好転による販売価格の改善等により、下期は黒字に転じましたが、上期における収益悪化の影響が大きく、セグメント利益は654億円の損失となり、前連結会計年度に比べ567億円の大幅な悪化となりました。

エンジニアリング事業は、企業買収による増収効果はありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による工事遅延等により売上収益は4,857億円となり、前連結会計年度に比べ265億円(5.2%)の減収となりました。損益については、売上収益の減少の影響はありましたが、コスト削減等による利益確保に努めた結果、セグメント利益は240億円となり、前連結会計年度に比べ9億円(4.1%)の増益となりました。

商社事業は、下期に需要が回復基調に転じたことや年度終盤には米国をはじめ世界的な市況上昇がみられたことから、上期に対し収益は大きく好転しました。しかしながら、上期における鋼材需要の大幅な落ち込みの影響が大きく、年間の売上収益は9,325億円前連結会計年度に比べ1,516億円(14.0%)の減収となりました。セグメント利益は200億円となり、前連結会計年度に比べ70億円(25.6%)の減益となりました。

なお、持分法適用会社のジャパン マリンユナイテッド㈱では、新造船市況の回復遅れによる受注船価の低迷や、新型コロナウイルス感染症の拡大による商談の停滞が生じたことから、同社の当連結会計年度の損益は赤字となりました。これを受けて、持分法投資損失41億円を計上しております。

以上の結果、当社単体業績等と合わせ、当連結会計年度における連結での売上収益は3兆2,272億円となり、前連結会計年度に比べ5,025億円(13.5%)の減収となりました。事業損失は129億円となり、前連結会計年度に比べ507億円の悪化となりました。税引前損失は49億円、親会社の所有者に帰属する当期損失は218億円となり、前連結会計年度に比べそれぞれ2,085億円1,759億円の改善となりました。

 

 

b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動によるキャッシュ・フローが2,472億円の収入であったのに対し、投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産、無形資産及び投資不動産の取得による支出を中心として1,642億円の支出であったことから、これらを合計したフリー・キャッシュ・フローは830億円の収入となりました。

また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出を中心として300億円の支出となりました。

この結果、当連結会計年度末の有利子負債残高は前連結会計年度末に比べ82億円減少し、1兆8,061億円となり、現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ557億円増加し、1,424億円となりました。

なお、有利子負債は、社債、借入金及びリース負債であります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりです。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の仕入、製造費用、受注建設工事の費用支払および販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資資金需要の主なものは、鉄鋼事業における製造基盤整備を目的とした設備投資です。

運転資金は、主に金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパーの発行などにより調達しております。投資資金は、自己資金を基本としておりますが、自己資金を上回る資金需要については、金融機関からの長期借入金や社債の発行などで調達しております。

当社グループでは、複数の金融機関との間でコミットメントラインを設定することにより、十分な資金の流動性を確保しております。

 

 

c.目標とする指標の達成状況

JFEグループは、第6次中期経営計画(2018~2020年度)において以下の指標を掲げ、最先端技術による成長戦略の推進や、国内における製造実力の強化、海外事業の推進と収益拡大および持続的な成長を支える企業体質の強化等に取り組んでまいりました。しかしながら、計画策定時に想定していなかった、米中貿易摩擦の激化や新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による事業環境の急激な変化のために、特に鉄鋼事業の業績が低迷し、前連結会計年度に続き当期利益が赤字となるなど、目標として掲げた主要な財務・収益目標を達成することはできませんでした。
 一方で、第6次中期経営計画期間中には、上述の諸施策を着実に実行したことに加えて、今後の持続的成長の基盤確立のため、「鉄鋼事業における構造改革の意思決定」「CO削減目標の発表」「DXの積極的な推進」等を着実に進めてきており、これらの取り組みに基づいて、2021年度から2024年度までを対象とした第7次中期経営計画を策定しています。(第7次中期経営計画については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。)

 

■第6次中期経営計画

 

目標(3ヵ年平均)

実績

2018年度)

2019年度)

2020年度)

当社連結

事業利益

2,900億円/

2,320億円

378億円

△129億円

親会社の所有者に帰属する

当期利益

2,000億円/

1,635億円

△1,977億円

△218億円

Debt/EBITDA倍率

3倍程度

3.6倍

6.7倍

8.1倍

事業会社

連結

セグメント利益

 

 

 

 

鉄鋼事業

2,200億円/

1,613億円

△87億円

△654億円

エンジニアリング事業

300億円/

201億円

231億円

240億円

商社事業

350億円/

357億円

270億円

200億円

 

   (注)IFRSの適用に伴い、中期経営計画の財務・収益指標とその数値の読み替えを実施しております。

 

 

目標

実績

2018年度)

2019年度)

2020年度)

株主還元方針(配当性向)

30%程度

33.5%

―(※1)

―(※2)

 

(注)※1 1株当たり年間20円の配当を実施しておりますが、前連結会計年度の親会社所有者に帰属する当期利益が赤字のため「-」で表記しております。

※2 1株当たり年間10円の配当を2021年6月25日開催の定時株主総会で決議しておりますが、当連結会計年度の親会社所有者に帰属する当期利益が赤字のため「-」で表記しております。

 

なお、当連結会計年度の分析につきましては、「② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.当連結会計年度の経営成績の分析」に記載しております。