3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

 当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う活動の制約を受けたものの、ワクチン接種の進展や各種政策の効果等により経済活動の正常化に向けた動きが見受けられます。一方で、ウクライナ情勢を起因とする不安定な国際情勢による資源価格の高騰や急速な円安の進行等により企業を取り巻く環境は依然として先行き不透明な状況が継続しております。

 このような経済環境の中、当社では「Matching, Change your business」をミッションに掲げ、世界の雇用インフラを進化させるという目標のもと、人材クラウドマッチングサービスであるPORTERSを提供してきました。当事業年度において、セールス面では、デジタルマーケティングの活用やポーターズマガジンの発行によって市場における潜在顧客へのアプローチに努めるとともに、営業部門の人員増強等により新規顧客の獲得を積極的に行いました。さらに、PORTERSの開発面では、通勤マッチング機能等の新機能の追加や、利便性向上のためのPORTERSの既存機能の改修及び効率的な業務遂行のためのパフォーマンスの改善を行いました。これらの活動の結果、新規顧客のID獲得は良好に推移し、ID数の伸長にも寄与いたしました。さらに、当社顧客である人材紹介会社や労働者派遣会社において、業務効率化のためにIT投資を積極的に行うという姿勢は継続したことから、PORTERSは堅調に成長し続け、2022年12月末時点で有料ユーザーID数は11,067IDとなりました。この結果、当事業年度の経営成績は、売上高1,290,137千円(前年同期比17.2%増)、営業利益338,365千円(前年同期比52.2%増)、経常利益326,813千円(前年同期比42.0%増)、当期純利益222,644千円(前年同期比45.9%増)となりました。

 なお、当社はHR-Tech事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ298,455千円増加し、1,105,721千円となりました。

 流動資産は前事業年度末に比べ258,011千円増加し、982,623千円となりました。これは主に、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う公募増資及び営業活動が好調に推移したことによる現金及び預金254,095千円の増加によるものであります。

 固定資産は前事業年度末に比べ40,444千円増加し、123,097千円となりました。これは主に、子会社が行った増資の引受に伴う関係会社株式15,229千円の増加によるものです。

 

(負債)

 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ1,833千円増加し、334,164千円となりました。

 流動負債は前事業年度末に比べ43,533千円増加し、334,164千円となりました。これは主に、課税所得の増加に伴う未払法人税等10,988千円の増加並びに有料ID数の増加に伴う契約負債(前事業年度は前受金)29,840千円の増加によるものであります。

 固定負債は前事業年度末に比べ41,700千円減少しました。これは1年内返済予定の長期借入金への振替に伴う長期借入金41,700千円の減少によるものです。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は771,556千円となり、前事業年度末に比べ296,622千円増加いたしました。これは主に、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う公募増資により、資本金が36,110千円、資本準備金が36,110千円増加、当期純利益の計上222,644千円による利益剰余金の増加があったことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末と比較し254,095千円増加し、937,040千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において、営業活動の結果獲得した資金は285,661千円(前年同期は193,107千円の獲得)となりました。これは、主に税引前当期純利益326,813千円(前年同期は230,116千円)の計上によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において、投資活動の結果使用した資金は41,777千円(前年同期は14,850千円の使用)となりました。これは、主に無形固定資産の取得による支出18,525千円(前年同期はゼロ)、関係会社株式の取得による支出15,229千円(前年同期は12,211千円の使用)によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において、財務活動の結果獲得した資金は9,906千円(前年同期は49,992千円の使用)となりました。これは、株式の発行による収入70,784千円(前年同期はゼロ)、長期借入金の返済による支出49,992千円(前年同期は49,992千円)によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載はしておりません。

 

b.受注実績

 当社の行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c.販売実績

 当社の販売実績は次の通りであります。なお、HR-Tech事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

HR-Tech事業

1,290,137

117.2

 (注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%を超える相手先がいないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 なお、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、重要な会計上の見積りを要する項目はないと判断しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 財政状態

 財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に含めて記載しております。

 

b 経営成績

(売上高)

 当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ189,508千円増加し、1,290,137千円(前期比17.2%増)となりました。これは主に、マーケティング活動及び営業活動を積極的に実施したことによる新規顧客の獲得によりID数が増加したこと等により、当事業年度末のID数が11,067ID(前期比+1,130ID)となったことが要因です。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は266,908千円(前期比2.6%増)となりました。これは主にシステムの安定稼働のためにサーバー費用が増加したことによります。この結果、売上総利益は1,023,228千円(前期比21.8%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は684,863千円(前期比10.8%増)となりました。主な要因としては、製品の認知度向上のためにマーケティング投資を積極的に行ったことによるものです。この結果、営業利益は338,365千円(前期比52.2%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 当事業年度の営業外収益は2,906千円(前期比65.0%減)、営業外費用は14,458千円(前期比2,454.5%増)となりました。営業外収益が減少した主な要因は、為替差益が7,115千円減少したことによるものであり、営業外費用が増加した主な要因は、上場関連費用が12,644千円発生したことによるものです。この結果、当事業年度の経常利益は326,813千円(前期比42.0%増)となりました。

 

(当期純利益)

 当事業年度は特別利益及び特別損失を計上しておりません。また、当事業年度における法人税等合計は、前事業年度に比べ26,702千円増加し104,169千円となりました。この結果、当期純利益は222,644千円(前期比45.9%増)となりました。

 

c キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

d 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」をご参照ください。

 当該指標の推移については以下の通りであります。

単位:千円

 

2018年12月期

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

売上高

863,187

1,013,117

1,022,352

1,100,629

1,290,137

営業利益

52,252

147,597

150,621

222,373

338,365

ID数

(※1)

計画数(※2)

10,581

9,751

10,232

実績数

9,083

9,186

9,051

9,937

11,067

差異数(※3)

△1,530

186

835

※1:期末時点の「PORTERS」の有料稼働ID数となります。

※2:2018年12月期及び2019年12月期については、計画数を設定していないため記載しておりません。

※3:2020年12月期は、新型コロナウイルス感染症の影響により顧客の事業環境が悪化した結果、既存顧客のID数の減少等が生じたため計画数を下回っております。2021年12月期及び2022年12月期は、顧客の事業環境が回復傾向であったことに加え、積極的なマーケティング活動への投資により新規顧客の獲得が順調に進んだため計画数を上回っております。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

 当社の資金需要が生じるものとしては、人件費、外注費、広告宣伝費、地代家賃等の運転資金のほか、事業拡大に伴う採用活動のための採用費であります。財政状態や資金使途を勘案しながら、必要な資金は営業活動により得られたキャッシュ・フロー、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。