3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループ(当社及び連結子会社)の業績、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の分析

 当連結会計年度の我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞が続いており、新たな変異株による感染拡大、資源価格の上昇や円安といった要因により経済活動の先行きは不透明な状況となっております。

 当社グループにおいても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、社内外への感染防止と全従業員の安全確保を最優先に掲げ、テレワークをはじめ柔軟な働き方に対応した業務環境の整備等を継続して行っております。このため、現時点において新型コロナウイルス感染症による事業活動、業績及び会計上の見積り等への重大な影響はないと考えております。

 また、当社グループの主要な市場であるSaaS型グループウェアの市場規模は2020年度から年平均9.2%と堅調に成長しており、2025年には3,280億円となることが見込まれております。さらに、Backlogの主要な市場であるSaaS型プロジェクト管理ツールの市場規模は2020年度から年平均18.2%の成長が推定されております。(株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2021年版」(2021年8月)より)

 このような環境において、当社グループは「チームのコラボレーションを促進し、働くを楽しくするツールを提供する」という方針の下、プロジェクト管理ツール「Backlog」、ビジュアルコラボレーションツール「Cacoo」、ビジネスチャットツール「Typetalk」、組織の情報セキュリティ・ガバナンスを高めるツール「Nulab Pass」を提供してまいりました。

 以上の結果、当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高2,328,264千円(前年同期比20.1%増)、営業利益167,355千円(前年同期は6,772千円の営業損失)、経常利益164,007千円(前年同期は8,522千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は197,884千円(前年同期は25,532千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 なお、当社グループはクラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産総額は1,618,567千円となり、前連結会計年度末に比べ286,890千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が248,825千円、繰延税金資産が53,445千円増加したことによるものです。

(負債)

 当連結会計年度末における負債総額は1,227,318千円となり、前連結会計年度末に比べ78,300千円増加いたしました。これは主に長期借入金が44,938千円、1年内返済予定の長期借入金が50,120千円減少したものの、Backlogの利用増加により前受収益が152,853千円増加したことによるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は391,248千円となり、前連結会計年度末に比べ208,590千円増加いたしました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、利益剰余金が197,884千円増加したことが主な要因です。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ248,825千円増加し、1,127,801千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益164,007千円、減価償却費100,907千円、Backlogの利用増加による前受収益の増加額152,853千円等があり、全体として401,015千円の獲得(前連結会計年度は242,032千円の獲得)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、主にパソコン等の工具、器具及び備品等の有形固定資産の取得による支出13,805千円、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定による無形固定資産の取得による支出65,924千円があり、全体として74,346千円の使用(前連結会計年度は80,907千円の使用)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出95,058千円等があり、全体として95,270千円の使用(前連結会計年度は119,656千円の使用)となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をサービス別に示すと、次のとおりであります。

 

 

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

Backlog

2,188,530

120.2

Cacoo

113,591

110.1

Typetalk

16,705

111.5

Nulab Pass

9,437

合計

2,328,264

120.1

 (注)1.当社グループはクラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。上記ではサービス別の販売実績を記載しております。

2.総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先が存在しないため、主な相手先別の販売実績等の記載は省略しております。

3.Nulab Passは前連結会計年度中に販売が開始されたものであるため、前年同期比(%)の記載はしておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 また、当社グループはクラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

 

(売上高)

 当社グループの主要サービスは、料金を顧客の使用期間及び使用容量、ユーザー数等に応じて定期定額契約(サブスクリプション)として課金することで、継続的な収益を獲得することができるものであるため、ARR、有料契約数及び解約率を指標として重視しております。

 

 当連結会計年度における売上高は、有料契約数が18,541件(Backlog13,132件、Cacoo5,171件、Typetalk180件、Nulab Pass58件)に増加した結果、2,328,264千円(前年同期比20.1%増)となりました。サービス別の売上高につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ④ 生産、受注及び販売の実績」に記載しております。

 

(売上原価及び売上総利益)

 当連結会計年度における売上原価は、911,968千円(前年同期比7.4%増)となりましたが、売上原価率は前連結会計年度の43.8%から4.6ポイント改善し、39.2%となりました。これは、全社的な育児休業の取得促進による労務費の抑制やサーバー費用の増加が限定的だったことによる通信費の抑制等にともない、売上高の伸びに比して売上原価が増加しなかったためであります。

 この結果、売上総利益は1,416,296千円(前年同期比30.0%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費並びに営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,248,940千円(前年同期比13.9%増)となりました。これは、テレビCM等の大型のマーケティング施策を行わず広告宣伝費の増加が抑制された一方、新規採用等により人件費が増加したこと等によるものであります。

 この結果、営業利益は167,355千円(前年同期は6,772千円の営業損失)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

 当連結会計年度における営業外収益は1,787千円となりました。これは主に、補助金収入によるものであります。また、営業外費用は5,136千円となりました。これは主に、支払利息及び為替差損によるものであります。

 この結果、経常利益は164,007千円(前年同期は8,522千円の経常損失)となりました。

 

(特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度においては特別利益、特別損失ともに発生しておらず、税金等調整前当期純利益は164,007千円(前年同期は21,388千円の税金等調整前当期純損失)となりました。また法人税、住民税及び事業税を21,223千円、法人税等調整額を△55,101千円計上したことにより親会社株主に帰属する当期純利益は197,884千円(前年同期は25,532千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

 なお、当社グループの財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析は「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③ 経営戦略の現状と見通し

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

④ 経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1. 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。そのため、当社グループを取り巻く事業環境の変化を把握しつつ、ユーザーのニーズを的確に反映できるようサービス開発を進めるとともに人員の拡充に取り組む方針であります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの主な運転資金需要は人件費、広告宣伝費、通信費等によるものであります。これらにつきましては、自己資金や新規上場時の公募増資により調達した資金を充当し、状況に応じて金融機関からの借入等の対応を検討する方針です。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,127,801千円となっており、資金の流動性を確保しております。