3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が長期化し、各国において新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が進んでいますが新規の感染者数が再拡大するなど、引き続き先行きが不透明な状況が続いています。我が国においてもワクチンの2回接種が完了した割合が75%を超えたものの、新規感染者数は増減を繰り返し、社会活動への制限を余儀なくされています。製薬業界においては、新型コロナウイルス感染症に対する複数のワクチンやさらには、重症患者のみならず軽症患者に至るまでの複数の治療薬が特例承認されました。

一方、再生医療分野では、2021年を通じて7品目の再生医療等製品が承認され、過去最多の承認数となりました。また、2021年11月には京都大学iPS細胞研究所と国立がん研究センター東病院による、iPS細胞から分化誘導したNK細胞を卵巣がん患者に投与する臨床試験開始の発表がありました。このようにiPS細胞を含めた再生医療の研究開発が進んでいます。

このような状況のもと、当社グループは体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野において研究開発を推進いたしました。

体性幹細胞再生医薬品分野においては、脳梗塞急性期及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療薬の承認取得に向け、それぞれ治験を実施しております。2021年2月には、体性幹細胞再生医薬品の製造販売承認の取得後、速やかな販売活動を開始するため、SPLine株式会社と医薬品販売に関する取引基本契約を締結いたしました。2021年8月には、脳梗塞急性期及びARDSの治療薬に関わる日本国内での独占的開発・販売ライセンス契約を締結しているアサシス社と、商用化に向けた包括的な協業拡大に関する契約を締結しました。両疾患に対する治療薬の商用製造に関するライセンス権等を取得すると共に、今後アサシス社へのさらなる戦略的投資を可能にする新株予約権引き受けの決定をいたしました。

iPSC再生医薬品分野においては、遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のナチュラルキラー細胞(eNK細胞)を用いた次世代がん免疫に関する研究を進めています。また、遺伝子編集技術を用いた免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞、UDCを用いた新たな治療薬の研究、細胞置換を必要とする疾患に対する治療法の研究を進めております。

また、2021年1月、米国Saisei Ventures LLCを通じ、有望なベンチャー企業への投資活動を開始しました。

なお、当社は2021年9月、今後のパイプライン開発及び設備投資等の資金需要に対応するとともに、調達コスト の抑制及び海外投資家層の拡大並びに流動性の向上を図るため、海外募集による新株式を発行し、手取金額合計約 68億円を調達いたしました。

 

以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ800百万円増加し、23,971百万円となりました。

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ6百万円増加し、15,326百万円となりました。

当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ794百万円増加し、8,645百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度における売上収益は41百万円(前期比49.6%増)、営業損失は5,384百万円(前期は4,183百万円の営業損失)、税引前当期損失は4,462百万円(前期は5,378百万円の税引前当期損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失は4,910百万円(前期は5,512百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金と言います。)は、前連結会計年度末と比べて1,202百万円増加し、15,126百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により使用した資金は5,089百万円(前期は3,945百万円の資金の使用)となりました。これは主に、税引前当期損失4,462百万円、金融収益1,728百万円及び金融費用802百万円の計上等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は736百万円(前期は1,216百万円の資金の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出293百万円及び投資有価証券の取得による支出433百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により獲得した資金は6,988百万円(前期は803百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、Saiseiファンドにおける外部投資家からの払込による収入351百万円及び新株の発行による収入6,762百万円等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当社は、医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

医薬品事業

41

49.6

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

大日本住友製薬株式会社

27

100.0

27

66.9

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

② 財政状態の分析

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ800百万円増加し、23,971百万円となりました。

流動資産は1,422百万円増加し、16,429百万円となりました。主な要因は、新株の発行による収入等による現金及び現金同等物の増加1,202百万円であります。非流動資産は622百万円減少し、7,543百万円となりました。主な要因は、保有株式の公正価値の下落等によるその他の金融資産の減少772百万円であります。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ6百万円増加し、15,326百万円となりました。

流動負債は3,356百万円増加し、6,042百万円となりました。主な要因は、ユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の流動負債への振替等による社債及び借入金の増加4,735百万円であります。非流動負債は3,350百万円減少し、9,284百万円となりました。主な要因は、同じくユーロ円建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の流動負債への振替等による社債及び借入金の減少4,233百万円であります。

当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ794百万円増加し、8,645百万円となりました。主な要因は、新株の発行による収入、減資等による資本金の増加1,188百万円、資本剰余金の増加1,326百万円及びその他の包括利益(△)の計上等によるその他の資本の構成要素の減少1,246百万円であります。

 

③ 経営成績の分析

(売上収益)

 当連結会計年度の売上収益は41百万円(前連結会計年度比49.6%増)となりました。当社が認識している売上収益は、主に実施許諾契約等に基づく契約一時金及びマイルストン収入に関するものであります。当連結会計年度より連結子会社としているSasei Ventures LLCにおいて売上収益が計上されているため、前連結会計年度と比較して売上収益が増加しております。

(研究開発費、販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度においては、前連結会計年度に引き続き、既存パイプラインの研究開発が進捗し、また、HLCM051の商用化に向けた生産体制の構築を進めております。その結果、研究開発費は3,700百万円(前連結会計年度比23.9%増)、販売費及び一般管理費は1,722百万円(前連結会計年度比39.0%増)となりました。

(営業損失)

 当連結会計年度においては、売上収益を41百万円計上した一方、研究開発費3,700百万円、販売費及び一般管理費1,722百万円、その他の収益2百万円、その他の費用5百万円を計上した結果、営業損失は5,384百万円(前連結会計年度は4,183百万円の営業損失)となりました。

(当期損失)

 当連結会計年度においては、転換社債型新株予約権付社債の新株予約権相当額を当期末時点の公正価値で評価したことに伴い発生した評価益1,620百万円、Saiseiファンドにおける外部投資家持分への損益振替額96百万円が発生したこと等により、1,728百万円を金融収益に計上いたしました。また、社債利息542百万円(うち502百万円は償却原価法による計上)、借入金及びリース負債に係る支払利息40百万円、及び新株予約権の評価損209百万円が発生したこと等により、802百万円を金融費用に計上いたしました。さらに、持分法による投資損失3百万円、法人所得税費用を450百万円計上した結果、当期損失は4,911百万円(前連結会計年度は5,513百万円の当期損失)となりました。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは事業活動の維持・拡大に必要な資金を安定的に確保するとともに、資金需要に応じた資金調達を行うことを基本的な方針としております。当連結会計年度においては、主に既存パイプラインを進捗させるための研究開発活動に伴う営業活動によるキャッシュ・フローは5,089百万円の支出となりました。また、連結子会社であるSaisei Bioventures, L.P.における投資有価証券の取得等により、投資活動によるキャッシュ・フローは736百万円の支出となりました。一方、海外募集による新株式の発行等により、財務活動によるキャッシュ・フローは、6,988百万円の収入となりました。これらが資金の主な動きとなり、その結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、15,126百万円となりました。キャッシュ・フローの状況については「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。