3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績等の概要

① 業績

 当社は、大部分の癌細胞の細胞周期(細胞分裂に至る過程)が正常細胞と異なることに着目したアプローチに基づき、抗癌剤の基礎研究および臨床開発、ならびにそのために必要な提携パートナーの獲得活動に取り組んでいます。

 当社の開発パイプライン中で最も先行している化合物CBP501は、非小細胞肺癌(扁平上皮癌を除く)および悪性胸膜中皮腫を対象とした臨床第2相試験を終了しました。この臨床試験のデータの詳細解析から、「癌微小環境」「癌免疫」「癌幹細胞」などに関わるCBP501の多様な作用がわかってきました。次相以降の開発にかかる提携パートナーの確保を目指した活動も積極的に展開しています。しかしながら、当事業年度中の提携パートナーの確保には至りませんでした。現在当社は、CBP501と細胞傷害性抗癌剤シスプラチン・免疫チェックポイント阻害抗体ニボルマブの併用による新たな臨床試験(フェーズ1b試験)を進めており、この経過および結果によって提携パートナー獲得の可能性を高める考えです。

 2つ目の候補化合物CBS9106については、提携パートナーである米国 Stemline社が、進行固形癌患者を対象とし主に安全性の評価を目的とした臨床第1相試験を進めています。

 さらに当社は、これら2つの候補化合物の後続パイプラインとなる新規候補化合物の探索・創出に向けて、当社独自の細胞表現型薬剤スクリーニング法による探索研究と、CBP501に関する新たな知見を基にした「次世代CBPプロジェクト」からの創出に取り組み、候補化合物CBP-A08を獲得しています。また、この一環として当社は、東京大学医学部附属病院、ファルマバレープロジェクト(一般財団法人ふじのくに医療城下町推進機構、静岡県立大学)、ならびに富士フイルム株式会社と、それぞれ共同研究を実施しています。

 以上の結果、当事業年度の事業収益はStemline社とのライセンス契約修正に伴う一時金および同契約に基づくテクニカルアドバイザリーフィーの合計115,550千円(前事業年度事業収益110,000千円)を計上いたしました。また、当事業年度の研究開発費は、例年水準の基礎研究費支出にCBP501臨床関連の支出が加わり前年度比20,602千円増加444,075千円となりました。販売費及び一般管理費は、前年度比21,430千円減少204,552千円となり、研究開発費と合わせた事業費用は、前年度比828千円減少し、648,627千円となりました。また、特別利益として受取補償金80,000千円を計上しました。

 この結果、営業損失は533,077千円(前事業年度営業損失539,456千円)、経常損失は534,958千円(前事業年度経常損失547,091千円)、当期純損失は456,208千円(前事業年度当期純損失532,087千円)となりました。

 なお、当社は医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。

 

② キャッシュ・フロー

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動によるキャッシュ・フローは、Stemline社とのライセンス契約修正に伴う一時金および同契約に基づくテクニカルアドバイザリーフィーを受領した一方で、日常的な研究費ならびに販売費及び一般管理費の支出に加えCBP501臨床試験費用ならびに次世代CBPプロジェクト関連の支出等により、383,671千円の減少(前事業年度429,434千円の減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動によるキャッシュ・フローの変動はありませんでした(前事業年度102千円の減少)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動によるキャッシュ・フローは、無担保転換社債型新株予約権付社債の発行ならびに新株予約権の発行お
よび行使による収入により、683,192千円の増加(前事業年度7,542千円の増加)となりました。
 これらに加え、外貨建預金について現金及び現金同等物に係る換算差額△2,123千円を計上した結果、当事業年度末の現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ297,397千円増加し、763,674千円となりました。

 

(2) 生産、受注および販売の実績

① 生産実績

 当社は研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしていません。

 

② 受注実績

 当社は受注生産を行っていませんので、受注実績の記載はしていません。

 

 

販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2018年7月 1日

至 2019年6月30日)

前年度比(%)

医薬品事業(千円)

115,550

105.0

合計(千円)

115,550

105.0

(注)1. 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。

相手先

前事業年度

(自 2017年7月 1日

至 2018年6月30日)

当事業年度

(自 2018年7月 1日

至 2019年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Stemline Therapeutics, Inc.

110,000

100.0

115,550

100.0

2. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。

 

① 重要な会計方針および見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この財務諸表の作成にあたりましては、決算日における資産および負債、会計期間における収益および費用について会計上の見積りを必要としています。この見積りに関しては、過去の実績、適切な仮定に基づいて合理的に計算していますが、実際の結果と相違する場合があります。

 

② 当事業年度の財政状態の分析

 当事業年度末の総資産は875,373千円となり、前年度比297,084千円の増加となりました。純資産の部においては、新株予約権の行使により資本金および資本準備金がそれぞれ342,585千円増加し、また当期純損失の計上により繰越利益剰余金が456,208千円減少し、資産の部においては、現金及び預金が297,397千円増加し、負債の部においては、未払金が56,461千円の増加となりました。

 

③ 当事業年度の経営成績の分析

 当事業年度においては、CBS9106にかかる提携契約に基づき事業収益115,550千円を計上しました当社の主要プロダクトであるCBP501についても同様に製薬企業等との提携獲得活動により収益確保に努めてきましたが、当事業年度内の契約締結には至りませんでした。また、研究開発費については、例年水準の基礎研究費支出にCBP501臨床試験関連の支出が加わり、前年度比20,602千円増加の444,075千円となりました。販売費及び一般管理費は、前年度比21,430千円減少の204,552千円となり、研究開発費と合わせた事業費用は、前年度比828千円減少し、648,627千円となりました。また、特別利益として受取補償金80,000千円を計上しました。

 この結果、営業損失は前年度比6,379千円損失減の533,077千円、経常損失は前年度比12,133千円損失減の534,958千円、当期純損失は前年度比75,879千円損失減の456,208千円となりました。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社は、研究開発型ベンチャーであり、将来は当社開発の抗癌剤の上市後において製品売上高の計上により利益を確保する計画ですが、それまでの先行投資期間においては抗癌剤の研究開発費負担等から損失を計上する予定です。なお、先行投資期間においては、主に提携製薬会社からの収入が損益改善に寄与する可能性があります。

 当社は現在、製薬企業等との提携を有していない複数の抗癌剤候補化合物について、提携獲得活動を積極的に進めています。その結果として新たに提携パートナーが確保された場合には、、契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の収入を受取る可能性があり、当面は開発の進捗状況および当該提携獲得活動の状況が当社の損益に大きな影響を与えます。

 

資本の財源および資金の流動性についての分析

 当社は、研究開発型ベンチャーであり、将来は当社開発の抗癌剤の上市後に製品販売による収入を計上する計画ですが、それまでの先行投資期間においては研究開発費の支出等から営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスを計上する計画です。

 先行投資期間における営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスについては、現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填する方針です。

 当事業年度の資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、CBP501臨床試験関連の支出等により、383,671千円の減少(前事業年度429,434千円の減少)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローの変動はありませんでした(前事業年度102千円の減少)。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、無担保転換社債型新株予約権付社債の発行ならびに新株予約権の発行お
よび行使による収入により683,192千円の増加(前事業年度7,542千円の増加)となりました。

 これらに加え、外貨建預金について現金及び現金同等物に係る換算差額△2,123千円を計上した結果、当事業年度末の現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ297,397千円増加し、763,674千円となりました。

 

⑥ 継続企業の前提に関する重要事象等を改善するための対応策について

 当社は、「2 事業等のリスク」に記載した、継続企業の前提に関する重要事象等の存在する当該状況を解消すべく、CBP501に関する戦略提携の成立を最重要課題として収益の獲得に努めます。

 また、上記「⑤ 資本の財源および資金の流動性についての分析」に記載のとおり、必要に応じて資金調達等を実施することも検討していきます。