3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大に加え、変異株の感染者数も増加した

   ことなどから、断続的に緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置が発令され、東京オリンピックも原則無観客

   での開催となる等、社会活動・経済活動の制限が継続しました。感染力の強いデルタ株の感染が欧米や東南アジ

   ア諸国など世界的に急拡大しており、わが国においても緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置の発令中にも

   かかわらず、新規感染者数は過去最多を更新しました。ワクチン接種が開始されるなど一部好転の兆しも見えて

   きているものの、依然として先行きは不安定な状況が続いております。

歯科医療業界におきましては、2021年9月に「デジタル庁」も創設され、政策としてもデジタル化、デジタルトランスフォーメーションへの取り組みが推進されております。また厚生労働省が推進する、マイナンバーカードを健康保険証として使用できる等の「オンライン資格確認等システム」事業が、2021年10月20日の運用開始に伴い進んでいます。

そのような中、当社は事業理念に沿った対面型の営業サポートを継続しつつ、2021年10月20日の運用開始に向けての「オンライン資格確認等システム」、クラウド予約システムを中心とした「スマホ予約」の販促活動に取り組んでまいりました。またクラウドを活用した新機能ソフトと既存の歯科電子カルテ統合システムを結合させたシステム「It's Hi Dental World」の商品開発に取り組んでおります。

当社は2020年12月25日をもちましてJASDAQ(スタンダード)に上場いたしました。上場による社会的信用や知名度の向上により、販売面では、新規の「オンライン資格確認等システム」に係る売上が順調に推移しました。また、その相乗効果により、当社の主力商品であります歯科電子カルテ統合システム「Hi Dental Spirit XR10-i」の販売も堅調となりました。

この結果、当事業年度の売上高は2,369,643千円(前年同期比24.1%増)、営業利益は601,601千円(前年同期比56.6%増)、経常利益は571,210千円(前年同期比43.5%増)、当期純利益は375,566千円(前年同期比53.0%増)となりました。

 なお、当社は、「歯科医院向けシステム事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。

 

②財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における資産合計は4,018,165千円となり、前事業年度末より933,562千円増加いたしました。

 a. 流動資産

流動資産は2,635,664千円と前事業年度末より435,833千円増加いたしました。主な内訳は、売掛金の増加216,080千円、商品の増加105,021千円、利益獲得を主要因とする現金及び預金の増加118,191千円であります。

 b. 固定資産

固定資産は1,382,500千円と前事業年度末より497,729千円増加いたしました。主な内訳は、本社向かいの建替え予定の倉庫の減損損失を主として建物が12,337千円減少したものの、ソフトウェアが54,674千円、社債購入に伴う投資有価証券が450,420千円増加であります。

 

(負債)

当事業年度末における負債合計は515,123千円となり、前事業年度末より76,424千円増加いたしました。

 a. 流動負債

流動負債は469,529千円と前事業年度末より70,983千円増加いたしました。主な内訳は、未払消費税等が12,448千円減少したものの、未払金が50,223千円、買掛金が32,601千円増加したことであります。

 

 b. 固定負債 

固定負債は45,594千円と前事業年度末より5,440千円増加いたしました。退職給付引当金の増加5,440千円によります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は3,503,041千円となり、前事業年度末より857,138千円増加いたしました。主な内訳は、公募増資及び第三者割当増資に伴い資本金及び資本準備金がそれぞれ275,080千円増加したこと、利益の獲得による増加と配当金の支払による減少の結果として利益剰余金が306,686千円増加したことによります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は1,849,858千円となり、前事業年度末より118,191千円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得られた資金は247,995千円(前年同期は430,091千円の収入)となりました。これは主として法人税等の納付による171,375千円、売上債権の増加による216,080千円の支出等があったものの、税引前当期純利益の獲得による539,551千円の計上、減価償却費35,464千円の計上、減損損失31,659千円の計上、仕入債務の増加32,601千円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によって支払った資金は574,520千円(前年同期は27,509千円の支出)となりました。これは主として有価証券の償還による250,000千円の収入があったものの、有形固定資産の取得による支出50,300千円、無形固定資産の取得による支出69,967千円、投資有価証券の取得による支出701,832千円があったことによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により得られた資金は444,716千円(前年同期は41,000千円の支出)となりました。これは主として配当金68,880千円の支出があったものの、株式の発行による収入550,160千円があったことによります。

 

④生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

  当社で行う事業は、提供する商品の性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しておりま

  す。

 

b. 受注実績

当事業年度におけるシステム売上高に関する受注実績は、次のとおりであります。なお他の収益形態は、その性格上、受注実績の記載になじまないため記載を省略しております。なお、当社は「歯科医院向けシステム事業」の単一セグメントであるため、地域ブロック別に記載しております。

地域ブロック別

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

九州ブロック

500,978

117.4

15,708

111.0

中国ブロック

469,811

99.2

9,402

37.7

関西ブロック

409,568

112.2

18,410

131.3

四国ブロック

276,781

140.5

4,940

36.8

関東ブロック

60,126

133.8

合計

1,717,265

113.9

48,462

72.8

 

(注) 1.地域ブロック間取引はありません。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.前年同期比における「-」は、当事業年度の受注残高がないことを意味しております。

4.受注残高における「-」は、受注残高がないことを意味しております。

 

c. 販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

なお、当社は「歯科医院向けシステム事業」の単一セグメントであるため、収益形態別及び地域ブロック別に記載しております。

収益形態

販売高(千円)

前年同期比(%)

システム売上高

1,735,336

113.3

オンライン資格確認売上高

439,160

プログラム改定売上高

87,390

28.6

自動精算機等売上高

43,280

394.1

機器修理売上高

8,816

88.0

その他

55,660

108.5

合計

2,369,643

124.1

 

  (注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.前年同期比における「―」は、前事業年度の販売高がないことを意味しております。

 

地域ブロック別

販売高(千円)

前年同期比(%)

九州ブロック

679,724

125.1

中国ブロック

660,276

116.0

関西ブロック

565,607

119.6

四国ブロック

383,098

143.5

関東ブロック

80,936

139.9

合計

2,369,643

124.1

 

  (注) 1.地域ブロック間取引はありません。

  2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、販売実績の総販売

実績に対する割合が10%以上の販売先がないため、省略しております。

 

 

また、ブロックごとの当社のシェアは次のとおりであります。

2021年9月30日現在 単位:件)

地域ブロック別

オンライン請求

歯科医院数

電子媒体請求

歯科医院数

小計

当社顧客数

当社シェア(%)

九州ブロック

(注)1

1,477

4,949

6,426

920

14.3

中国ブロック

(注)2

790

2,658

3,448

873

25.3

関西ブロック

(注)3

1,723

5,884

7,607

737

9.7

四国ブロック

(注)4

257

1,164

1,421

524

36.9

関東ブロック

(注)5

2,883

10,567

13,450

77

0.6

 

(社会保険診療報酬支払基金 「レセプト請求別の請求状況」令和3年度8月診療分より)

(注) 1.九州ブロックは、福岡県、大分県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県、沖縄県で構成されております。

2.中国ブロックは、岡山県、広島県、山口県、鳥取県、島根県で構成されております。

3.関西ブロックは、大阪府、兵庫県で構成されております。

4.四国ブロックは、香川県、愛媛県、高知県で構成されております。

5.関東ブロックは、東京都、神奈川県で構成されております。

6.上記データは社会保険診療報酬支払基金による「レセプト請求別の請求状況」から、2021年11月11日時点

    で公表されている2021年9月30日現在における公表数値と、同じく2021年9月30日現在における当社の顧

    客数を対応させて記載しております。

7.上表の「オンライン請求歯科医院数」とは、オンラインによるレセプト請求を行っている歯科医院数

です。「電子媒体請求歯科医院数」とは、電子媒体(例えばCDロム等)を提出することでレセプト請求を

行っている歯科医院数です。各ブロックで記載しているこれらの数値は、(注)1から(注)5までで

記載している当社の営業拠点が所在する都府県の歯科医院数を合計しております。

8.ブロックごとの「オンライン請求歯科医院数」と「電子媒体請求歯科医院数」の合計を分母として、

ブロックごとの当社の顧客数の合計を分子として当社シェアを算定しております。

9.シェアの算定に当たって使用する当社の顧客数は、各営業拠点が管轄する顧客数であります。そのため、

実際の顧客の所在地と異なっている場合があります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績の分析

当社が目標とする経営指標は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」に記載のとおりであります。

当事業年度の売上高営業利益率は25.4%(前事業年度20.1%)と前年より上昇となりました。これは主として売上総利益の増加283,946千円が販売費及び一般管理費の増加66,545千円を大幅に上回ったことに起因します。今後も継続的に全社的な生産性向上に向けて、事業活動全般に対して必要な施策を行い、より収益性の高い企業を目指して取り組んでまいります。

当事業年度末における顧客数は3,142件(前事業年度末から8件増加)となっております。当期は新型コロナウイルス感染症等による影響で閉院・廃院等による引退が重なったことにより75件が減少しましたが、新規顧客として83件を獲得することで、全体的な顧客数を堅持できたものと評価しております。

(売上高)

当事業年度の売上高は、2,369,643千円(前年同期比24.1%増)と増収となりました。

厚生労働省が推進する、マイナンバーカードを健康保険証として使用できる等のオンライン資格確認等システムに係る売上が439,160千円、システム売上については、その相乗効果により、販売システム数は596件(前期は521件)と増加しました。この結果、システム売上高は1,735,336千円(前年同期比13.3%増)となりました。

プログラム改定売上については、臨時的な改定が複数回発生したものの、2年に一度の医療保険制度の改正の谷間の年ということもあり、全体として87,390千円(前年同期比71.4%減)となりました。

 

(売上総利益)

当事業年度の売上原価は、クラウド予約システム構築の資産計上に係る減価償却費の増加したものの、売上高が堅調に推移したことから、結果として当事業年度の売上総利益は283,946千円増加し1,783,795千円(前年同期比18.9%増)となりました。

(営業利益)

当事業年度の販売費及び一般管理費は、社員数が増えたことによる給与の増加および営業サポート部門に対する業績賞与の増加により人件費全体としては48,835千円の増加となったものの、売上高が堅調に推移したことから、営業利益は601,601千円(前年同期比56.6%増)となりました。

(経常利益)

当事業年度の営業外費用に株式交付費が9,379千円、株式公開費用27,183千円計上されたものの、営業外収益に有価証券利息が5,330千円計上したこともあり、経常利益は571,210千円(前年同期比43.5%増)となりました。

(当期純利益)

当事業年度の当期純利益は、減損損失の計上31,659千円、法人税等の計上162,051千円、法人税等調整額1,932千円の計上により375,566千円(前年同期比53.0%増)となりました。

 

b. 財政状態の分析

当事業年度の財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュフローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フローの分析

当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性について

当社の運転資金等については、主に自己資金により充当しております。当事業年度末の現金及び現金同等物は1,849,858千円となり、将来に対して十分な財源及び流動性を確保しております。

今後の資本的支出としては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりで、その調達源については、新規上場に伴う公募増資による調達資金を予定しております。

 

③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたり、当事業年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要があります。これらの見積りについて、当社は当事業年度末時点において過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的な仮定等に基づき算定しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性の影響から、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。

当社が財務諸表の作成にあたり採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。