3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、当初、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調で推移していたものの、2020年4月以降、新型コロナウイルス感染症の急激な拡大に伴う緊急事態宣言により経済活動が著しく抑制されたことにより、厳しい状況に陥りました。緊急事態宣言の解除後は社会経済活動のレベルが段階的に引き上げられ、徐々に持ち直しの動きがみられておりますが、今後も国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動などの影響を注視する必要があります。

 

このような状況のもと、当社は今期の成長戦略の重点項目である「企業価値の向上」「事業基盤の確立」「ソリューション・ビジネスの拡大」「エンドユーザー取引の拡大」「AIビジネスの立上げ」「ニアショア開発の立上げ」の6点を全社一丸となり推進してまいりました。

事業活動において、当社の強みの最大化による売上拡大、生産性向上による利益率向上、売上高の50%超を占めるエンドユーザーとの直接取引による高い収益性と継続案件の確保を目指すとともに、業績拡大の重要な要素となる開発技術者の確保においては、引き続きパートナー企業との協力・協業体制を強化するほか、東京をはじめニアショア開発拠点である長崎での採用の強化にも取り組み、2020年4月には前期比23名増の52名の新卒者を迎え入れました。

緊急事態宣言以降は顧客からの要請によりシステム開発や導入が一時延期となるケースが発生いたしましたが、テレワークの対象者を拡大し、可能な限り開発や保守を継続いたしました。

 

この結果、当事業年度における当社の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

(資産)

当事業年度末における総資産は2,997,551千円となり、前事業年度末と比較して309,170千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が231,563千円増加、投資有価証券が83,620千円増加、仕掛品が16,013千円増加し、一方で、売掛金が15,729千円減少、前払費用が13,482千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債合計は765,743千円となり、前事業年度末と比較して50,873千円の増加となりました。これは主に、未払消費税等が59,247千円増加、賞与引当金が23,960千円増加し、一方で、買掛金が44,993千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は2,231,808千円となり、前事業年度末と比較して258,296千円の増加となりました。これは主に、当期純利益の計上等により利益剰余金が233,455千円増加、その他有価証券評価差額金が22,983千円増加したことによるものであります。

 

b.経営成績

事業のサービスラインである「業務系システム開発」は、当社の最大の強みである金融系システム開発において、高い金融系業務知識を持った技術者の育成と、新たな金融系案件の獲得、既存顧客との取引拡大に努めましたが、一部の案件で一時的な待機や延期が発生し、前期を下回る売上となりました。

「基盤構築」は、感染拡大の状況にあっても比較的安定して開発を継続できたことから、前期と同水準の売上となりました。

「組込系開発」は、将来性のある医療機器、自動車関連分野を中心に取り組みましたが、感染拡大により製造業向け案件の受注が減少し、前期を下回る売上となりました。

「ソリューション・商品等売上」は、独自のソリューションやサービスの提供による他社との差別化を高く評価していただき、前期を大きく上回る売上となりました。

当社のソリューションは、5G時代の到来でいっそう重要性を増す情報セキュリティ対策をサポートする「情報セキュリティソリューション」、RPA等の活用により働き方改革と人手不足を解決に導く「業務効率化ソリューション」、様々な業種でDXの実現をアシストする「AIソリューション」の3つの製品群を取り揃えております。中でも、NW Security Police、WinActor、Concurにおいては、ソフトウェア開発の強みを活かして様々な独自のサービスや連携機能を提供してまいりました。

また、営業スタッフ等のトークをAIで分析し弱点を数値で見える化するSpeak Analyzer(2020年4月提供開始)、経費精算クラウドConcur Expense導入に必要なノウハウやテンプレートをパッケージ化しスピーディな本番稼働を可能としたSpeed Expense Assist(Speed EA、2020年4月提供開始)、請求書管理クラウドConcur Invoiceへのデータ登録をAIで自動化するInvoice Process Automation(Invoice PA、2020年10月提供開始)はいずれも当社独自のサービスであり、発表後、すでに多くの引き合いをいただいております。

 

以上の結果、当事業年度における売上高は5,364,010千円(前年同期比2.8%減)、売上総利益においては、1,280,864千円(前年同期比1.5%減)となりました。

本社の移転及び長崎開発センター開設に伴う一時的な費用や、営業力強化のための人員増強、新卒採用の増加、優秀な技術者確保のための人件費等、先行投資費用が増加しましたが、経費削減の努力を重ねた結果、販売費及び一般管理費は787,936千円(前年同期比0.6%減)にとどまりました。これにより、営業利益は492,927千円(前年同期比3.0%減)、営業外損益を加えた経常利益は514,263千円(前年同期比1.8%増)、当期純利益は347,981千円(前年同期比0.1%増)となりました。

 

なお、当社は情報サービス事業並びにこれらの付帯業務の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

当事業年度における事業のサービスライン別の売上高を示すと、次のとおりであります。

 

事業のサービスライン

売上高(千円)

構成比(%)

前年同期比(%)

業務系システム開発

4,225,740

78.8

97.0

基盤構築

542,053

10.1

103.9

組込系開発

293,164

5.5

76.0

ソリューション・商品等売上

303,051

5.6

118.5

合 計

5,364,010

100.0

97.2

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて231,562千円増加し、1,659,931千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの変動要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、431,812千円となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上額505,275千円、未払消費税等の増加額61,317千円、賞与引当金の増加額23,960千円、減価償却費の計上額23,615千円、売上債権の減少額15,729千円等によるキャッシュ・フローの増加と、法人税等の支払額149,242千円、仕入債務の減少額44,993千円、たな卸資産の増加額17,056千円等によるキャッシュ・フローの減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、87,573千円となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出50,493千円、有形固定資産の取得による支出20,002千円等によるキャッシュ・フローの減少によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、112,676千円となりました。これは主に、配当金の支払額114,414千円等によるキャッシュ・フローの減少によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社は、情報サービス事業並びにこれらの付帯業務の単一セグメントのため、生産、受注及び販売の実績については、サービスライン別に示しております。

 

a.生産実績

当社が提供するサービスには、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載を省略しております。

 

b.商品等仕入実績

当事業年度の商品仕入実績は、次のとおりであります。なお、当社は単一セグメントであるため、売上高区分のうち商品等売上高に係る商品等仕入高を記載しております。

区 分

当事業年度

(自 2019年10月1日

至 2020年9月30日)

前年同期比(%)

商品等仕入高

(千円)

81,501

117.9

合 計

(千円)

81,501

117.9

(注)1.金額は仕入価格で表示しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.受注実績

当事業年度の受注実績を事業のサービスライン別に示すと、次のとおりであります。

事業のサービスライン

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

業務系システム開発

4,080,678

93.0

710,818

83.1

基盤構築

556,907

101.2

118,029

114.4

組込系開発

248,105

64.5

49,205

52.2

ソリューション・商品等売上

366,728

145.0

125,487

203.0

合 計

5,252,419

94.2

1,003,539

90.0

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

d.販売実績

当事業年度の販売実績を事業のサービスライン別に示すと、次のとおりであります。

事業のサービスライン

当事業年度

(自 2019年10月1日

至 2020年9月30日)

前年同期比(%)

業務系システム開発

(千円)

4,225,740

97.0

基盤構築

(千円)

542,053

103.9

組込系開発

(千円)

293,164

76.0

ソリューション・商品等売上

(千円)

303,051

118.5

合 計

(千円)

5,364,010

97.2

 

(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2018年10月1日

至 2019年9月30日)

当事業年度

(自 2019年10月1日

至 2020年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

明治安田システム・テクノロジー株式会社

582,515

10.6

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当事業年度の明治安田システム・テクノロジー株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりましては、財政状態及び経営成績に影響を与える会計上の見積りを行う必要があります。当社はこの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

なお、会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルス感染症による重要な影響はないものとして見積りを行っております。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

イ.財政状態及び経営成績等の状況

当事業年度の財政状態及び経営成績等の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。

 

ロ.キャッシュ・フローの状況

当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.売上高、売上原価及び売上総利益

当事業年度における売上高は5,364,010千円となり、前事業年度比153,647千円減少いたしました。売上総利益は前事業年度比19,580千円減少し、1,280,864千円となりました。

 

ロ.販売費及び一般管理費並びに営業利益

本社の移転及び長崎開発センター開設に伴う一時的な費用や、営業力強化のための人員増強、新卒採用の増加、優秀な技術者確保のための人件費等、先行投資費用が増加しましたが、経費削減の努力を重ねた結果、当事業年度における販売費及び一般管理費は前事業年度比4,479千円減少し、787,936千円となりました。

この結果、営業利益は前事業年度比15,101千円減少し、492,927千円となりました。

 

ハ.営業外損益及び経常利益

当事業年度の営業外収益は助成金収入等により21,509千円となり、前事業年度比20,212千円増加いたしました。

当事業年度の営業外費用は173千円となり、前事業年度比4,133千円減少いたしました。

この結果、経常利益は前事業年度比9,245千円増加し、514,263千円となりました。

 

ニ.法人税等及び当期純利益

当事業年度における法人税等合計は、前事業年度比14千円増加し、157,293千円となりました。

以上の結果、当事業年度における当期純利益は前事業年度比243千円増加し、347,981千円となりました。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

当社の主な資金需要は、労務費、外注費、経費並びに販売費及び一般管理費等の運転資金と中長期的な成長を実現するための先行投資に大別されます。

運転資金につきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金に充当することにより対応する方針であり、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動活動から得られるキャッシュ・フローの水準等を勘案し、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。

また、成長を支える先行投資部分につきましては、自己資金や借入金だけでなく、多額の資金が必要となる場合には、財務健全性に配慮しつつ、長期的に安定した資金を得るため、証券市場から資金調達を行うことも選択肢としております。こうした観点から、中期経営計画を実現するため、2020年12月11日に①M&A及び資本・業務提携、②人材の獲得及び教育研修、③研究開発への投資資金の調達を目的として、第三者割当により第5回新株予約権を発行しております。