3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

[経営成績等の状況の概要]

(1)経営成績の状況

 当連結会計年度(2019年7月1日~2020年6月30日)における経営環境は、米中貿易摩擦や大型台風、消費税増税などの影響から、先行きへの懸念が出始めていたところに、2020年に入り、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大(パンデミック)が発生し、経済への大きな打撃が避けられない状況となりました。

 一方、当社が属する情報サービス産業においては、これまで、DX(Digital Transformation : デジタル変革)の実現を加速するAI(Artificial Intelligence:人工知能)、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、RPA(Robotic Process Automation:ソフトウェアロボットによる業務の自動化・効率化)等、新分野の本格的な展開に伴って国内企業のIT投資の拡大局面が続き、当社グループにとってもビジネス参入機会の増加と事業領域の拡大に繋がっておりました。

 また、情報漏洩等のサイバーセキュリティ事故が相次いでいることから、情報システム全体の「セキュリティ対策強化」に対する機運が高まっていることや、我が国全体の課題となっている「働き方改革」には引き続き高い関心が寄せられており、これらに対して有効なソリューションを有する当社グループの追い風になっておりました。

 

 このような環境の下、当社グループでは、中期経営計画として次の「5つの事業戦略」を掲げ、積極的な取り組みを継続しております。

 

  ・リノベーション(既存事業の改革による事業基盤の強化・安定化)

  ・イノベーション(自社商品を軸とした新しい価値創造)

  ・競合から協業へ(協業による事業拡大)

  ・開発からサービスへ(サービス視点での事業拡大)

  ・人材調達・人材育成(採って育てる)

 

 2020年6月期は、今中期経営計画の2年目として、「事業基盤の安定化」と「成長要素の強化」の2軸の事業方針を継続し、2021年6月期までの中期経営目標として掲げているトリプル10(*)の達成に向けて経営施策を進めてまいりましたが、2021年6月期の目標である営業利益率10%については1年前倒しの2020年6月期に達成することができました。

(*)トリプル10

・2017年6月期売上100億円(達成済み)

・2019年6月期営業利益10億円(達成済み)

・2021年6月期営業利益率10%(2020年6月期に達成済み)

 

 こうした取組みの中で、「リノベーション」については、業種を問わない底堅い情報化投資に加え、自動車関連業界の設備投資の増加、更には消費税増税に伴う軽減税率対応への駆け込み需要などが重なり、大幅な伸びを示しました。

 「イノベーション」については、独自技術による自社商品であるWebセキュリティソリューション「WebARGUS:ウェブアルゴス」(*1)およびExcel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos:ゾブロス」(*2)の従来から進めている商品力拡充と販売強化の効果により、着実な伸びを示しました。

 また、コロナ禍の影響は少なからずありましたが、全般的な利益の改善傾向が継続したため、営業利益率は1.1ポイント上昇し、10.0%となりました。

 

 以上の結果、当連結会計年度における業績は、売上高13,495,896千円(前期比9.2%増)、営業利益1,352,372千円(同23.5%増)、経常利益1,357,890千円(同22.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は978,680千円(同32.6%増)となりました。

 

セグメント別の業績は以下のとおりであります。

 なお、以下の事業別売上高、セグメント利益(営業利益)及びセグメント損失(営業損失)は、セグメント間の内部取引相殺前の数値であります。

 

①ソフトウェア開発事業

 ビジネスソリューション事業分野(業務システム開発、運用サポート)は、既存顧客を中心とした受注が引き続き順調に推移しました。業務システム開発ではコロナ禍により一部の一括請負案件の検収が翌期に延びた金融系業務システム開発と、前年度に大型の受注案件があった流通系業務システム開発が伸び悩みましたが、公共系、製造業向けシステム開発を中心に利益率の高い案件へのシフトが進んだことと、ニアショア効果が発揮し出したことから、全体として利益面が改善しました。運用サポートでは既存顧客との取引拡大が進むとともに、新規顧客開拓が功を奏し、大幅な伸びを示してビジネスソリューション事業の伸びをリードしました。

 エンベデッドソリューション事業分野(組込みシステム開発、組込みシステム検証)は、次の戦略的な取り組みが功を奏し、力強い伸びを示しました。組込みシステム開発では車載関連、IoT関連への領域拡大を順調に進めることができ、売上・利益共に大幅な伸びを示しました。また、組込みシステム検証では車載関連へのシフトを進めたことにより、売上・利益共に着実にアップしました。

 自社商品事業分野は、これまでの商品戦略と販売戦略の成果により、通期では前年を上回りましたが、コロナ禍の影響で3月から5月の商談がほぼストップし、厳しい事態となりました。係る状況において、サイバーセキュリティビジネスについては、WebARGUSが販売以来最大の大規模ユーザーでの稼働を開始しました。また、外部サイバーセキュリティ専門会社 (シンガポールのセキュアエイジ社やフィンランドのSSH Communications Security社)との協業を進めるなど、WebARGUSを核としたトータルセキュリティサービスのラインナップ拡充に努め、商品力を強化しました。業務効率化ビジネスについては、子会社であるDITマーケティングサービス株式会社(2019年7月1日付けで東洋インフォネット株式会社より商号変更)と一体となったxoBlosの販売体制を構築したことにより、コロナ禍の中でも順調な伸びを示すことができました。また、RPAやERP等の各種システムが持つ特定の情報にxoBlosを介して別の視点のデータを加え、データの価値を高めるxoBlosプラスワン構想の推進に努め、商品力を強化しました。

 

 これらの結果、ソフトウェア開発事業の売上高は12,760,112千円(前期比9.3%増)、セグメント利益は1,271,057千円(同22.0%増)となりました。

 

②システム販売事業

 カシオ計算機株式会社製中小企業向け業務・経営支援システム「楽一」を主力とする販売ビジネスにおいて、消費税増税に伴う軽減税率対応やWindows7サポート終了対応などによるシステムの入替え、改修関連の販売が大きく伸びた事により、売上高、及びセグメント利益を伸ばす事が出来ました。

 

これらの結果、システム販売事業の売上高は756,395千円(前期比10.9%増)、セグメント利益は84,230千円(同58.2%増)となりました。

 

(2)財政状態の状況

①流動資産

前連結会計年度末に比べ656,569千円増加し、4,590,069千円となりました。これは、主に現金及び預金が558,966千円、仕掛金が91,172千円それぞれ増加したことによるものです。

 

②固定資産

前連結会計年度末に比べ52,140千円増加し、774,025千円となりました。これは、主にソフトウエアが12,455千円、繰延税金資産が57,218千円がそれぞれ増加し、有形固定資産が11,694千円、投資有価証券が6,729千円それぞれ減少したことによるものです。

 

③流動負債

前連結会計年度末に比べ33,191千円増加し、1,634,901千円となりました。これは、主に買掛金が24,220千円、未払法人税等が133,985千円及び未払消費税等が62,209千円それぞれ増加し、未払金が105,305千円及び未払費用が56,468千円それぞれ減少したことによるものです。

 

④固定負債

前連結会計年度末に比べ37,049千円減少し、68,916千円となりました。これは、主に長期未払金が63,089千円減少し、株式給付引当金が37,160千円増加したことによるものです。

 

⑤純資産

前連結会計年度末に比べ712,568千円増加し、3,660,276千円となりました。これは、主に利益剰余金が702,178千円、その他有価証券評価差額金が10,616千円それぞれ増加したことによるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ558,756千円増加し、2,393,468千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上(1,335,160千円)、棚卸資産の増額による支出(82,511千円)、未払金及び未払費用の増額による支出(111,814千円)、長期未払金の減額による支出(63,089千円)、法人税等の支払額による支出(301,319千円)などにより927,525千円の収入(前連結会計年度は693,823千円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出(50,657千円)、無形固定資産の取得による支出(19,525千円)などにより80,734千円の支出(前連結会計年度は70,412千円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額による支出(275,811千円)、リース債務の返済による支出(11,996千円)などにより287,930千円の支出(前連結会計年度は415,791千円の支出)となりました。

 

(4)生産、受注及び販売の実額

 ①生産実績

 当社グループの事業には生産に該当する事項がないため、記載を省略しております

 

  ②受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェア開発事業

12,946,740

108.4

2,526,303

108.8

システム販売事業

714,035

100.0

63,357

71.7

合計

13,660,775

107.9

2,589,661

107.5

 (注)上記金額は、実際受注額であり、消費税等は含まれておりません。

 

  ③販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年7月1日

至 2020年6月30日)

前年同期比(%)

ソフトウェア開発事業(千円)

12,756,896

109.2

システム販売事業(千円)

739,000

108.9

合計(千円)

13,495,896

109.2

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

[経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析]

 

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、財政状態及び経営成績に影響を与える会計上の見積りを行う必要があります。当社グループはこの見積りを行うに当たり、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針につきましては、「第5経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定における新型コロナウイルスの感染拡大による影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。

 

(2)経営成績の分析

①売上高、売上原価(売上総利益)

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ1,140,122千円増加し、13,495,896千円となりました。また、売上総利益は、前連結会計年度に比べ373,489千円増加し、3,323,406千円となりました。

これは主に事業ポートフォリオの見直しにより高利益案件に戦略的にシフトしたこと、運用サポートが新規顧客開拓により伸長したこと及び車載開発の需要等が好調だったことによるものであります。

 

②販売費及び一般管理費(営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ116,269千円増加し、1,971,034千円となりました。これは販売強化のための人件費の増加が主な要因であります。

この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ257,219千円増加し、1,352,372千円となりました。

 

③営業外損益(経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は受取手数料、保険解約返戻金等の計上により9,335千円となり、営業外費用は支払利息、為替差損等の計上により3,817千円となりました。この結果、当連結会計年度における経常利益は1,357,980千円となりました。

 

④特別損益(税金等調整前当期純利益)

当連結会計年度において、投資有価証券評価損22,729千円の計上により、税金等調整前当期純利益は1,335,160千円となりました。

 

⑤親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度における税金費用は、法人税、住民税及び事業税に税効果会計適用に伴う法人税等調整額を併せ356,480千円となりました。

以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ240,717千円増加し、978,680千円となりました。

 

(3)財政状態の分析

当連結会計年度の財政状態の状況につきましては、[経営成績等の状況の概要](2)財政状態の状況に記載のとおりであります。

なお、従業員に対して自社の株式を給付するインセンティブプラン「株式給付信託(J-ESOP)」の導入による将来の支出に備えるための株式給付引当金を計上しましたが、利益剰余金の増加により純資産の額は増加し、自己資本比率は68.2%まで増加いたしました。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、[経営成績等の状況の概要](3)キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。

なお、当社は営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、運転資金は手元資金でまかなえると考えおります。

また、投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、取引先との関係強化による投資有価証券の取得、基幹システム強化による無形固定資産の取得による支出がありましたが、手元資金でまかなえるものでした。

当座借越契約は継続しておりますので、急な運転資金増加にも対応できると考えておりますが、大幅な人員の増加、設備投資等が必要になった際には、改めて借入実行等を適宜判断してまいります。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2016年6月期

2017年6月期

2018年6月期

2019年6月期

2020年6月期

自己資本比率(%)

60.7

65.0

64.2

63.3

68.2

時価ベースの

自己資本比率(%)

504.7

418.6

412.3

587.3

403.9

キャッシュ・フロー対

有利子負債比率(年)

0.2

0.2

0.0

0.0

0.0

インタレスト・

カバレッジ・レシオ(倍)

214.5

169.0

1,880.2

1,793.1

1,627.6

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

 

(5)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、事業の発展を通じて企業価値の継続的向上を目指しており、売上高成長率、営業利益率、経常利益率、および1株当たりの当期純利益を重要な経営指標と位置付け、その向上に努めてまいります。

2020年6月期の達成状況は、これら全ての経営指標において計画を上回りました。また、ROE(自己資本利益率)については、20%を大きく超過して達成することが出来ました。

 

これは、ソフトウェア開発事業が順調に売上と利益を伸ばすことが出来たことによるものですが、同事業分野のうち、ビジネスソリューション事業では、業務システム開発において利益率の高い案件へのシフトが進んだこと、ニアショア効果が出てきたこと、運用サポートが大幅な伸びを示したこと、また、エンベデッドソリューション事業では、車載関連システム開発・検証業務が大きく伸びたこと、IoT関連領域への取引拡大が進んだことが大きな要因です。

 

指標(2020年6月期)

 

計画

実績

計画比

売上高

 

13,030百万円

13,495百万円

465百万円増(3.6%増)

営業利益

営業利益率

1,180百万円

9.06%

1,352百万円

10.02%

172百万円増(14.6%増)

0.96%増

経常利益

経常利益率

1,177百万円

9.03%

1,357百万円

10.06%

180百万円増(15.3%増)

1.03%増

1株当たり当期純利益

 

51.81円

64.18円

12.37円増(23.9%増)

ROE(自己資本利益率)

 

 

29.6%

-

 

(6)経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の環境につきましては、「第2[事業の状況]2[事業等のリスク]」に記載のとおり、市場環境の変化や当社事業におけるリスク等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響をあたえることが考えられます。

なお、2021年6月期におきましては、特に新型コロナウィルスの感染拡大による業績への影響があると考えますので、以下に追記いたします。

①新型コロナウィルス感染拡大の影響について

2021年6月期におきましては、新型コロナウィルスの感染拡大によって当社業績が影響を受ける可能性があります。これは感染収束までにかかる期間にもよりますが、コロナ禍によって業績が悪化した顧客においてIT予算が削減されることが予想されます。一方で、3密回避を前提とした様々な生活様式のオンライン化(テレワーク・医療・買い物・教育・娯楽等)が急速に進展しつつありますので、それらを支えるIT化・デジタル化のニーズは今後も高まるものと予想されます。また、当社の強みである幅広い顧客基盤においては、医療・製薬、通信、公共分野などコロナ禍の影響が比較的小さい業種の顧客も多く、また、企業のテレワークなど大きな環境変化が起因して運用サポート領域での需要が高まっていることから、こうした顧客や領域での取引拡大に努めてマイナス影響を補うことで、コロナ禍の影響を最小限に留めるように取り組んでまいります。

 

(7)経営戦略の現状と見通し

当社の経営戦略につきましては、「第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」に記載のとおり、中期経営計画で掲げる「5つの事業戦略」に基づいており、「事業基盤」と「成長要素」の2軸で進めております。この2軸については、これまでの「事業基盤の拡充」と「成長要素の整備」からそれぞれ一歩進め、「事業基盤の安定化」と「成長要素の強化」として経営の安定と成長に力を入れてまいります。

また、当社の中期経営目標でありますトリプル10の達成に向けた状況につきましては、2017年6月期の売上100億円、ならびに2019年6月期の営業利益10億円は既に達成済でしたが、このたび2021年6月期の目標でありました営業利益率10%につきましても1年前倒しで達成いたしました。これは「事業基盤の安定化」が順調に進んだこと、「成長要素の強化」が予定通り進んだことによるものでありますが、2021年6月期も引き続き、利益率を重視した経営に取り組んで参ります。

なお、新型コロナウィルスの感染収束時期がいまだ見通せないことから、当社業績への影響は不透明ではありますが、プラス要素とマイナス要素が相殺されるという想定のもと、2021年6月期の業績予想を開示させて頂いております。今後の業績への影響は十分注視しながら、修正が必要な場合には速やかに開示してまいります。