(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
①経営成績の状況及び分析
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の経営成績は、売上収益が2,142億46百万円(前期比25.0%増)、コア営業利益が135億39百万円(同151.2%増)、営業利益が116億86百万円(同432.2%増)、税引前当期利益が103億13百万円(同631.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は56億86百万円(同54億46百万円増加)と増収増益でした。特に、最終利益に向けて増益率が一段と高まる結果になりました。
売上収益では、新型コロナウイルス感染症対策の進展や行動制限の緩和が人流の戻りを促し、外出需要の回復や都市集客の復調が継続しました。7月以降の第七波、11月以降の第八波と新型コロナウイルス感染症が断続的に再拡大したものの、店舗売上は概ね一貫して前連結会計年度より大きく伸長しました。そして、年末年始は3年振りに行動制限もなく、初売りからセール売上が盛り上がり、その後の春物の立ち上げでセレモニー需要なども旺盛でした。また、EC販路においても、アプリの刷新と新規会員獲得キャンペーンによる客数の増加に加えて、継続したアプリの機能改善やOMO(Online Merges with Offline)活動の強化などを追い風に、一年間通じて前連結会計年度を上回るペースで堅調に推移しました。
加えて、2022年2月に㈱ナルミヤ・インターナショナル(以下、「ナルミヤ」という)が連結子会社としてグループに加わった増収効果も大きくなりました。具体的には、店舗販路ではナルミヤの店舗数が680店舗(2022年2月末時点)加わり、EC販路でもナルミヤのEC売上の連結で増収幅が一段と拡大しました。
利益面においては、中国のロックダウンに伴う商品納期遅延の影響、世界的なエネルギー価格の上昇や急速に進む円安による仕入価格の高騰がありましたが、ミドルアッパー業態の国内生産回帰に代表されるサプライチェーン戦略の再構築や、価値・価格バランスに応じた最適上代へ価格や素材・スペック等の見直しを行い、店舗とECの両販路でプロパーを重視した販売に徹しました。これらの戦略が功を奏したことから、売り方改善等で仕入原価の上昇圧力を吸収できました。結果として、売上総利益率は57.8%と前期差0.3ポイント改善しました。販売費及び一般管理費では、一時帰休に伴う雇用調整助成金収入の減少や社員への賞与といった報酬の増加、売上増加による家賃・賃借料の増加はありましたが、これら以上に前期までに実施した構造改革に伴う経費削減の効果が大きく寄与したことから、販管費率は51.5%と前期差2.9ポイントの大幅改善となりました。これらの結果、本業の稼ぐ力であるコア営業利益が想定以上の回復を遂げることとなり、全ての利益段階において前期より大きく増益を達成した原動力となりました。
セグメント別の状況は次のとおりです。
a. ブランド事業
ブランド事業においては、ブランドポートフォリオ戦略を機動的に修正し、ブランド事業セグメント全体最適の視点で成長性と収益性のバランスを図っています。
百貨店を中心に展開するミドルアッパーブランドは、差別化された付加価値の高い商品開発を行う一方で、生活様式の変化へ柔軟に対応して、ブランドらしさを残しながらカジュアル化へ修正することや定番商品の拡充及び進化へ取り組むことなどが求められています。また、今まで以上にお客様とのより強いつながりを構築するため、リモートによる受注イベントの開催といった、新たな接客機会を通じた関係構築へ積極的に取り組んでおります。このほか、最近の世界的な物価上昇や円安の為替動向に左右されないよう、国内生産への回帰も加速しております。
ショッピングセンターを中心に展開するミドルロワーブランドにおいては、近年プロパー販売月とセール月の境目がなくなりつつあるなか、春夏や秋冬といった従来の大きなシーズン括りに捉われず、仕入から販売期間が終わるまでの商品ライフサイクルを今まで以上に短く捉えてプロパー主体の販売に注力しております。そして、毎月毎月の店舗商品鮮度を高める企画の組み立てで、頻度高くご来店いただけるお客様にも常に新たな発見がある店舗を実現してまいります。
ライフスタイルブランドでは、「暮らしの今を、もっと素敵に!もっと楽しく!」をテーマに、暮らしに寄り添った衣・食・住を生活雑貨や服飾雑貨で提案し、引き続きお客様の支持拡大に努めています。また、ブランドのコンディションに応じて、店舗大型化や積極出店など成長を目指す子会社、抜本的な収益構造の改革に取り組む子会社、ローンチ後間もなく収益基盤を固める子会社など、それぞれ異なるミッションを追求しています。そして、事業規模の更なる拡充を図るべく、雑貨分野でEC売上の成長戦略を本格的に始動しております。
一方、投資グループにおいては、プラットフォームやシステムの導入によるシナジー効果の追求や収益構造の向上・確立をテーマに掲げております。開発・改革ブランドでは引き続き構造改革とそれに続く成長戦略の推進に取り組んでいます。また、M&Aブランドでは「靴」のバリューチェーンの大半を自社でカバーする神戸レザークロス㈱や、質の高い革小物で世代を跨って支持を得る㈱ヒロフを展開しております。特に、㈱ヒロフを核にしたラグジュアリー・レザーグッズグループの形成は、株式譲受等を通じて着実に進行しております。
こうしたなか、当連結会計年度では、特にアパレルブランドにおいて、店舗販路で3年ぶりに館休業や行動制限のない事業機会を活かせたこと、一部ブランドによるOMO活動の成功事例の横展開などでEC販路も好調を持続したこと、そしてナルミヤの連結加入による収益押上げ効果がフルに寄与しました。結果として、前期上半期末でのブランド終息等の減収影響打ち返しに続き、下半期には既存店舗でコロナ禍前の8割超までの売上回復を継続的に実現し、プロパー販売に拘りながら大幅な増収を実現できました。
この結果、ブランド事業の経営成績は、売上収益が1,847億5百万円(前期比28.4%増(うち外部収益は1,813億79百万円(同29.0%増))、コア営業利益(セグメント利益)が100億19百万円(同223.5%増)と増収増益になりました。
b. デジタル事業
デジタル事業においては、「B2Bソリューション」と「B2Cネオエコノミー」から成り立っており、デジタル技術を梃子にしたトランスフォーメーションの牽引役として、当社グループにおける重点投資の領域と位置付けております。
B2Bソリューションでは、ECの運営受託において、自社ブランドを中心に販売する直営ファッション通販サイト「ワールドオンラインストア(WOS)」などの運営を受託しており、ブランド事業の直営店舗とのシームレスなサービス提供に向けて総力をあげて取り組んでいます。今期からこの機能を㈱ファッション・コ・ラボへ事業移管し、他社通販サイトと併せて運営を同社へ集約しており、自社ブランドに対しても個々の特性に応じたサービスを提供すると同時に、WOSは他社ブランドの出店誘致等も通じてモールとしての魅力を高めてまいります。また、デジタルソリューションでは、自社の物流コスト抑制の取組みや基幹システムの更新に留まらず、他社から在庫コントロールシステムの導入やEC・物流業務の運用サービスを受託しております。基幹システムやBI(Business Intelligence)ソリューションの提供なども順次進める予定であり、メニューと顧客層の拡充による業容の拡大に注力しております。
B2Cネオエコノミーにおいては、「サーキュラー」というキーワードを中心に事業を展開しております。ラクサス・テクノロジーズ㈱ではブランドバッグに特化したサブスクリプション型レンタルサービスを営み、TVCMでの認知度拡大などを図りながらサーキュラーエコノミーの浸透を図ってきました。最近では、保有資産であるバッグの稼働率に着目してローンチしたバッグ試用販売「買えちゃうラクサス」に代表されるように、成長戦略の一環で事業サービスの拡充にも本腰をいれております。このほか、ユーズドセレクトショップ「RAGTAG」を運営する㈱ティンパンアレイは店舗とECの相互活用・補完による仕入・販売両面のOMO戦略で一段の成長を追求しているほか、オフプライスストア「& Bridge」では様々な立地への出店加速を行ってまいります。B2Cネオエコノミーでは、これまで様々なテーマで実験してきた事業の「選択と集中」を行い、サーキュラーエコノミーの更なる収益成長にフォーカスした事業展開を進めてまいります。
そして、当連結会計年度において、B2Bソリューションでは、システムデリバリーの実行と案件パイプラインの拡大を背景に、デジタルソリューション外販が着実に成長を果たしました。一方で、B2Cネオエコノミーでは、将来成長に向けた投資先行の段階であるものの、サーキュラー事業ではこうした投資のリターンが予想以上に早く出てきました。
この結果、デジタル事業の経営成績は、売上収益は300億51百万円(前期比15.4%増)(うち外部収益は118億56百万円(同8.9%増))、コア営業利益(セグメント利益)が8億83百万円(前年同期はコア営業損失(セグメント損失)13億48百万円)と増収増益になりました。
c. プラットフォーム事業
プラットフォーム事業においては、ワールドグループが培ってきた様々なノウハウと仕組みを活用したプラットフォームの外部企業へのオープン化を推進し、業界の枠組みを超えた新たな事業領域の拡大に取り組んでいます。
また、2022年4月1日に設立しました㈱ワールドプラットフォームサービスは、プラットフォーム事業の収益モデル構築に不可欠な事業マネジメント機能と外部企業(クライアント)へのマーケティング・コンサルティング機能を有しています。各プラットフォームのノウハウ・仕組みを横断的且つ最適に組み合わせて提案・提供できることから、クライアントにとってワンストップでニーズが充足されるメリットを期待できます。
生産プラットフォームの㈱ワールドプロダクションパートナーズは、自ら商社機能を発揮して直接貿易に取り組み、製造子会社群の生産性改善を指導・支援するほか、外販主体の専門商社である㈱イディオムや㈱ラ・モード等の工場で他社アパレルの商品開発及び製造(OEM・ODM事業)の受託も強化しております。
販売プラットフォームの㈱ワールドストアパートナーズでは、外販サービスを収益の柱にする試みを加速しました。商品在庫の最終的な換金に不可欠なアウトレット「NEXT DOOR」やファミリーセール等の催事を運営するほか、他業種小売業や海外ファッション企業の運営受託案件も拡大しております。特に、全国を網羅する支店体制などを強みとして、他社から受託する販売代行業務は本邦有数のスケールを誇るものと考えております。
こうしたアパレル起点の生産・販売プラットフォーム以外では、空間創造や什器・備品の製造販売(建装)、家具や雑貨の卸からコントラクトに至るライフスタイル領域も手掛けています。このライフスタイルプラットフォームの中核の一社が㈱アスプルンドで、今期より㈱ワールドスペースソリューションズの建装事業も承継しました。
当連結会計年度においては、コロナ禍を受けて断行した構造改革や将来の反転攻勢に向けた組織再編を背景に、生産及び販売のプラットフォームを中心に内販の大幅な減収を招きました。加えて、B2B外販の強化に向けた人材等のリソースシフトで経費負担が想定されていたところ、急激な円安方向での為替変動に起因して、上半期を中心に法人顧客への卸売り事業にて原価高騰などの打撃も受けることとなりました。
これらの結果、プラットフォーム事業の経営成績は、売上収益は770億30百万円(前期比0.9%減)(うち外部収益は209億14百万円(同6.3%増))、コア営業利益(セグメント利益)が1億17百万円(同90.1%減)と減収減益になりました。
d. 共通部門
事業セグメントに属さない共通部門においては、子会社からの配当や経営指導料等を収入として計上し、当社(ホールディングス)のコーポレートスタッフ等の費用を賄うことを基本的な収益構造としておりますが、子会社からの配当は予めセグメント利益から除いております。
共通部門は、「グループ企画本部※」、「グループ支援本部※」といったコーポレートスタッフに加えて、グループの商品鮮度向上とソフト開発を監修する「クリエイティブ・マネジメント・センター」、グループブランディングの構築を牽引する「IR・グループコミュニケーション室」などで成り立っています。ホールディングスは重点分野への集中投資という自らの役割を果たすため、子会社からホールディングスのスタッフ等の実費を上回る経営指導料等で回収することを原則としております。
共通部門においては、グループ各社の増収に伴い料率方式の経営指導料収入が増加しました。
この結果、共通部門の経営成績は、売上収益は75億99百万円(前期比12.9%増)(うち外部収益は97百万円(同45.9%減))、コア営業利益(セグメント利益)が24億82百万円(同2.8%増)と増収増益になりました。
※ 本書提出日現在、体制変更により同2部門を統合し、「グループ経営本部」としております。
<サステナビリティ(持続可能性)への取り組みについて>
当社グループは、『価値創造企業グループ』として長期的・持続的に価値を創造し提供し続けるためには、「持続可能な社会の実現」への貢献が不可欠であり、環境負荷及び社会活動に関する取り組みを企業経営における重要課題のひとつと位置づけております。
そこで、当社(ホールディングス)の経営がリードする形で、これまで目指してきた「ワールド・ファッション・エコシステム」の構築を一段と高次元なものに昇華させる事で、新たな成長機会の創出や社会が共感できる価値の創造を図るべく、ワールドグループならではのサスティナビリティ社会に向けた戦略指針の具体化に着手しました。
具体的には、ワールドグループのSDGs基本方針としてとりまとめ、TCFD提言への賛同表明とともに、2022年6月に脱炭素社会の実現に向けて当社グループ独自の「サスティナビリティプラン」を公表いたしました(https://corp.world.co.jp/csr/pdf/world_sustainabilityplan_2022.pdf)。また、環境省による「脱炭素化推進モデル事業」として、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出削減計画の策定・実行に取り組みました。
分散構造故に見える化が進んでいないファッション業界において、負荷の見える化を進めるとともに、ワールド・ファッション・エコシステムを通じて、ファッション産業の多様性と持続性の両立を目指し、産業全体の構造的課題の解消に積極的に取り組んでおります。
詳細は前記「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照ください。
②財政状態の状況及び分析
当社グループの財政状態の状況及びその要因につき、次のとおり分析しております。
(資産)
資産合計は2,514億21百万円と前連結会計年度末に比べて2億69百万円減少しました。
この主な要因は、棚卸資産が約27億円増加した一方で、店舗の退店により賃貸借契約数が減少したことで使用権資産が約18億円、ディベロッパーへ差し入れていた保証金の返還によりその他の金融資産(非流動)が約11億円それぞれ減少したことによるものです。
(負債)
負債は1,621億92百万円と前連結会計年度末に比べて51億96百万円減少しました。
この主な要因は、棚卸資産や販管費にかかる債務として仕入債務及びその他の債務が約34億円増加した一方で、使用権資産にかかるリース負債が約24億円、借入金の返済に伴って借入金が約49億円それぞれ減少したことによるものです。
(資本合計)
資本合計は892億29百万円と前連結会計年度末に比べて49億27百万円増加しました。
この主な要因は、当期利益を約64億円計上したことで、利益剰余金及び非支配持分が増加したことによるものです。一方、当社及びナルミヤにおいて、資本剰余金と非支配持分合わせて約15億円が配当金の支払いにより減少しました。なお、第1四半期連結会計期間において、欠損填補として約86億円を資本剰余金から利益剰余金へ振り替えました。
(在庫)
当社グループではブランド事業が売上収益の大半を占めておりますが、ブランド事業におけるアパレルブランドの事業特性から、売上債権と棚卸資産の合計から仕入債務を差し引いた運転資本のコントロール、とりわけ棚卸資産(在庫)の抑制を重視しております。
当連結会計年度末の運転資本は247億14百万円と前連結会計年度末に比べて約18億円の増加となりました。前連結会計年度から全体的に経済活動が回復していることから、売上債権、棚卸資産及び仕入債務の全ての項目において増加しましたが、特に当連結会計年度末の棚卸資産は260億97百万円と前連結会計年度末に比べて約27億円の増加となりました。これは、仕入コントロールにより、仕入数量としては減少しているものの、世界的なエネルギー価格の上昇に起因したコスト高や円安による仕入価格の高騰を背景に、仕入額が増加しております。なお、新規連結子会社による影響で運転資本は約7億円、棚卸資産も約7億円それぞれ増加しました。
(D/Eレシオ)
当社グループは、資本合計に対する有利子負債※の割合であるデット・エクイティ・レシオ(D/Eレシオ)を財務体質の健全化の指標としており、中期的にD/Eレシオ0.5倍を目指しております。
当連結会計年度の有利子負債は、借入金の返済が進み、前連結会計年度末に比べ約49億円減少しました。一方で、資本合計は約49億円増加しました。これは主に親会社の所有者に帰属する当期利益の計上に伴う利益剰余金の増加(約57億円)と配当金の支払に伴う資本剰余金の減少(約14億円)によるものです。その結果、当連結会計年度のD/Eレシオは前連結会計年度末の0.99倍から0.88倍と0.1ポイント改善しました。
当社グループでは、この財務健全性について、中長期的な目標値に未だ達してないと認識していますが、早期に収益力の回復を図ることで、目標値に向けて着実に改善できるよう努めてまいります。
※ 有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っている借入金を対象としております。
(ROA)
当社グループでは、売上収益に対する利益の割合だけではなく、資産(負債及び資本合計)に対する利益の割合も資産効率の観点で重視しており、総資産に対するコア営業利益の割合であるROA(コア営業利益ベース)を収益性の指標としております。
当連結会計年度においては棚卸資産が増加しましたが、退店に伴い店舗に関連する各資産項目において計上額が縮小したため、分母となる当連結会計年度末の総資産は2,514億21百万円と前連結会計年度末に比べて約3億円減少しました。
一方、分子のコア営業利益については、前連結会計年度から引き続き構造改革効果が継続したほか、プロパーを重視した戦略が下支えとなり、国内では感染拡大防止と社会活動の両立が定着し、客足が順調に回復したことで収益が拡大したことなどから135億39百万円となりました。
その結果、当連結会計年度末のROA(コア営業利益ベース)は5.4%(前期比3.2ポイント増)と改善しました。
③キャッシュ・フローの状況及び分析
当社グループの各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につき、次のとおり分析しております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
253億89百万円の収入(前期比80億67百万円 収入増)となりました。
この主な要因は、税引前当期利益を103億13百万円計上したことで収入が約89億円増加した一方、前連結会計年度に計上した事業構造改革引当金の増減額(△約12億円)が当連結計年度においては計上がなかったため、これがキャッシュ・フロー上で支出減少となったほか、法人所得税の支払として約23億円支出が増加したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
43億79百万円の支出(前期比23億44百万円 支出増)となりました。
この主な要因は、保有不動産の売却により有形固定資産の売却による収入として約8億円資金が流入した一方、㈱ストラスブルゴが発行する全株式の取得に伴い約28億円支出したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
217億71百万円の支出(前期比69億88百万円 支出増)となりました。
この主な要因は、借入金の返済に伴って資金が約51億円減少したほか、配当金として約15億円支出が増加したことによるものです。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より7億19百万円減少して、206億85百万円となりました。
④生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
ブランド事業 | 39 | 5.4 |
プラットフォーム事業 | 5,615 | 28.3 |
合計 | 5,655 | 28.1 |
(注) 上記金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
b. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
ブランド事業 | 81,225 | 33.4 |
デジタル事業 | 2,853 | 8.4 |
プラットフォーム事業 | 68,059 | 12.7 |
小計 | 152,136 | 22.8 |
IFRS調整(注)2 | 362 | 84.3 |
合計 | 152,498 | 22.9 |
(注)1 上記金額には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。
2 IFRS調整は、為替予約における調整金額を記載しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
販路別売上状況
セグメント | 区分 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
ブランド事業 |
| ミドルアッパー | 48,001 | 15.4 |
ミドルロワー | 94,854 | 51.7 | ||
国内アパレルブランド | 142,855 | 37.2 | ||
国内ライフスタイルブランド | 25,377 | 0.8 | ||
海外 | 1,305 | 35.1 | ||
| 開発・改革ブランド | 5,457 | 10.7 | |
| M&Aブランド | 6,385 | 17.5 | |
投資 | 11,842 | 14.3 | ||
小計 | 181,379 | 29.0 | ||
デジタル事業 | B2Bソリューション | 4,005 | △4.3 | |
B2Cネオエコノミー | 7,851 | 17.1 | ||
小計 | 11,856 | 8.9 | ||
プラット フォーム事業 | 生産プラットフォーム | 3,045 | 5.4 | |
販売プラットフォーム | 6,510 | 1.3 | ||
シェアードサービスプラットフォーム | 112 | 98.1 | ||
ライフスタイルプラットフォーム | 11,246 | 9.3 | ||
小計 | 20,914 | 6.3 | ||
共通部門 | 97 | △45.9 | ||
売上収益 | 214,246 | 25.0 |
なお、「受注実績」につきましては、該当事項はありません。
(参考)
当社グループのEC化率は以下のとおりであります。
EC化率 | 金額(百万円) | % | 前年同期差 | ||||
|
| 21.66 | 0.91 |
(注)EC化率とは商品の取扱高を分母にし、そのうちECの取扱高を分子にしたものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する分析・検討内容につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、当社は、前記「3 事業等のリスク」に記載のとおり、経済情勢の変化、消費者の嗜好の変化、在庫管理、出店・閉店、仕入価格その他費用の増加等様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場環境等に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、消費者や市場のニーズに適時適切に対応していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行って参ります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、前記「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループは金融機関からの借入金のほか、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュフロー及びリース債務の返済を差し引いた実質的なフリー・キャッシュ・フローを資金の源泉と考えております。当連結会計年度における資金使途について、主に非アパレル事業の拡充等を目的としたM&Aの推進やシステム投資に係るものであります。資金調達に係る借入金の残高については後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 20.借入金」に記載しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。