3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度(2019年4月1日~2020年3月31日)における国内の電子工業は、企業の生産性・安全性向上を背景としたパソコンやソリューションサービス等の国内需要の増加や、IoT(インターネットオブシングス)など新規成長産業関連の伸長がみられました。一方、米中通商問題の長期化などによる先行き不透明感から、幅広い業界において設備投資抑制の傾向が続き、電子部品全体では前期比で需要減少となりました。さらに年度終盤には新型コロナウイルス感染症の流行拡大による世界経済の停滞による影響が重なり、全体としては、総じて厳しい環境で推移しました。
 このような事業環境の下、当社は、新規成長産業と既存産業の両軸での売上拡大を目指し施策を進めました。当期は、全国各地のハードウェア関連の展示会への出展を強化し、新規ユーザーの獲得を推し進めるとともに、オンラインでは「インターネット広告(リスティング広告)」の最適化に取り組みました。こうした活動で、当事業年度は、4,684名(前年同期比116.3%)の新規ユーザー登録を獲得しました。
 サービス展開においては、受発注業務・製造工程の効率化により、多層基板製造と部品実装サービスの納期短縮を実現、さらに部品調達サービスAI見積(β版)をリリースし、ワンストップ・ソリューションの利用促進を図りました。また、5G(第五世代移動通信システム)の実用化に向け、通信量増大に伴う高放熱の要求にも対応したメタル放熱基板や高多層基板等、取り扱い商材のラインナップを拡大しました。さらに、IoTに特化したEMS(電子機器の一括受託生産)事業を開始、長年にわたり培ったファブレスの強みを生かし、国内外から最適な部材調達を可能とすることで、当社サービスの利用価値を高める施策を実施してまいりました。
 以上の結果、当事業年度の売上高は2,133,338千円(前年同期比1.3%増)となりました。
 利益面においては、事務所移転による一時的な賃料重複やシステム開発力強化のための人員補強などが影響し、販売費及び一般管理費は477,658千円(前年同期比9.0%増)、営業利益は247,106千円(前年同期比17.0%減)となりました。
 経常利益につきましては、東証一部への市場変更に伴う費用が発生したことにより232,023千円(前年同期比22.7%減)となりました。
 当期は、今後の売上成長を加速させるための投資フェーズと位置付け、スイス法人のシステム開発企業Swissmic SAとの資本業務提携により、受発注システム効率化に向けた共同開発を進めておりましたが、同社が世界経済減速の煽りを受け、開発継続困難な状況に陥る可能性が高まったことから、システム投資の96,048千円を減損損失として特別損失に計上いたしました。それにより、当期純利益は111,859千円(前年同期比52.6%減)となりました。

 

 当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。なお、2020年3月期においては、新型コロナウイルス感染症の拡大が当社の経常的な営業活動に与える影響は、軽微に留まっております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ170,906千円増加し、987,707千円となりました。キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における営業活動による資金の増加は227,008千円となりました。これは、税引前当期純利益168,904千円の計上、減価償却費の計上13,942千円、減損損失96,048千円の計上、保険解約損益△32,929千円の計上、市場変更費用19,660千円の計上、売上債権の減少60,638千円、たな卸資産の減少13,014千円、仕入債務の減少△14,634千円、法人税等の支払額△112,157千円等によります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における投資活動による資金の減少は14,777千円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出△10,586千円、無形固定資産の取得による支出△28,124千円、保険解約による収入32,929千円、保険積立金の積立による支出△10,663千円等によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における財務活動による資金の減少は41,323千円となりました。これは、市場変更費用の支出△19,660千円、配当金の支払△22,379千円等によります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は、生産活動を行っていないため、生産実績は記載しておりません。

 

b.商品仕入実績

 当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであり、当事業年度における仕入実績は次のとおりであります。

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

1,395,559

100.6

(注)1.金額は仕入価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.受注状況

 当社は受注から販売までの期間が短く、販売実績と近似するため記載を省略いたします。

 

d.販売実績

 当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであり、当事業年度における販売実績は次のとおりであります。

当事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

2,133,338

101.3

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.主要な仕入先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略いたします。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 なお、当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を省略しております。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっての会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりです。なお、この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

② 財政状態の分析

a.資産の部

 当事業年度末における総資産は1,444,632千円となり、前事業年度末と比較して66,397千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金170,906千円、ソフトウエア14,756千円、保険積立金10,663千円、繰延税金資産29,457千円が増加した一方、売掛金62,752千円、長期前払費用99,046千円が減少したこと等によります。

b.負債の部

 当事業年度末における負債合計は318,137千円となり、前事業年度末と比較して32,503千円の減少となりました。これは主に、未払金10,212千円が増加した一方、買掛金14,634千円、未払法人税等26,388千円が減少したこと等によります。

c.純資産の部

 当事業年度末における純資産合計は1,126,495千円となり、前事業年度末と比較して98,900千円増加となりました。これは、当期純利益111,859千円および剰余金の配当22,381千円等により利益剰余金が89,478千円、特定譲渡制限付株式の発行によりなどにより資本金が4,750千円、資本準備金が4,750千円増加したこと等によります。

 

 資金の運用は安全性の高い商品による運用方針としており、現状は現金及び預金が総資産の中心です。当期末時点の自己資本比率78.0%、また流動比率425.0%と、安全性の高い財務体質を目指しております。

 

③ 経営成績の分析

a.売上高

 当事業年度の売上高は、2,133,338千円と前事業年度と比べ26,383円(1.3%)の増収となりました。主な要因は、新規会員登録の獲得による会員数の増加及び既存顧客の顧客単価の増加と大口量産案件の受注などによるものです。

 詳細は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

b.売上原価

 当事業年度の売上原価は、1,408,573千円と前事業年度と比べ37,514千円(2.7%)の増加となりました。主な要因としては、国内外の仕入先多様化による仕入原価の適正化によるものです。

c.販売費及び一般管理費

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、477,658千円と前事業年度と比べ39,335千円(9.0%)の増加となりました。主な要因としては、広告宣伝費、本店移転に伴う支払家賃、株主優待費用の増加等によるものです。

d.営業外収益、営業外費用

 当事業年度の営業外収益は、4,795千円と前事業年度と比べ1,151千円(31.6%)の増加となりました。主な要因としては、協賛金収入や為替差益の増加等によるものであります。

 当事業年度の営業外費用は、19,878千円と前事業年度と比べ18,881千円(1892.8%)の増加となりました。主な要因としては、市場変更費用19,660千円の増加等によるものです。

e.特別損益

 当事業年度の特別損益は、63,119千円の損失と前事業年度と比べ100,480千円損失が増加となりました。主な要因としては、減損損失96,048千円の計上等によるものであります。

 

 これらの結果により、当事業年度の営業利益は247,106千円、経常利益は232,023千円、当期純利益は111,859千円となりました。

 

④ キャッシュ・フローの分析

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 当社の資本の財源および資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社の運転資金需要のうち主なものは、提携仕入先への仕入原価のほか、人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。なお、これらの資金需要に対しては、内部資金によりまかなっており、有利子負債による資金調達は行っておりません。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

⑥ 経営戦略の現状と見通し

 当社は、「開発環境をイノベーションする」という経営スローガンの下、電気・電子エンジニアの開発における課題を解決するサービスを提供しております。IoTや5Gといった市場が今後本格化していき、様々な業界の新規参入が見込まれております。当社が展開しているEコマース事業の形態は、新規参入の企業にとって利用しやすい形態であり、市場の成長と共に当社の事業も拡大していくものと見込んでおります。

 このような変動する市場環境に対して、市場のニーズを満たすサービスを継続的に運用出来るように、既存サービスの拡大も積極的に取り組んでいくことで、エンジニアが抱える課題を一つでも多く解決出来るように努めてまいります。

 

⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社が今後の事業を拡大し、継続的な成長を行うために、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題に対処していくことが必要であると認識しております。また、IoTによる市場拡大のニーズを取り込むためには、当社の、オーダーメイドの商材をインターネット上で直販出来る仕組の利便性向上が不可欠であり、今後も強化を行っていく方針であります。