3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、政府・日銀による各種政策を背景として、企業業績が堅調に推移するとともに、雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調が続いておりました。しかしながら、消費増税による影響から個人消費も低下する傾向の中、米中貿易摩擦、更には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大から、景気動向の先行きは非常に留意が必要な状況が続いております。

この間、当社の属する不動産業界におきましては、政府による住宅取得支援策や低金利の住宅ローンなどにより住宅取得環境は依然として良好である一方で、地価の上昇や用地取得競争の激化、建築費の高止まりなどの影響を受けております。更には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるサプライチェーンや工期の長期化、国内外含めた移動制限や経済縮小からの購買意欲の減退などが不動産市況に大きな影響を与えることが懸念されています。

このような事業環境の下、当社では経営計画に基づき、各目標数値達成に向けて取り組むとともに、財務基盤の強化、企業価値の継続的向上及び総合不動産会社としての地位の確立を目指し事業を推進してまいりました。

その結果、当事業年度におきましては、売上高267億3百万円前年同期比12.5%増)、営業利益17億80百万円前年同期比23.2%減)、経常利益6億24百万円前年同期比44.2%減)、当期純利益1億円前年同期比85.5%減)となりました。

また、当事業年度末における財政状態については、総資産409億81百万円前年同期比15.4%減)、負債369億69百万円前年同期比17.4%減)、純資産40億12百万円前年同期比9.9%増)となり、自己資本比率は9.8%となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

① 不動産ソリューション事業

売上高は239億89百万円前年同期比15.3%増)、セグメント利益22億52百万円前年同期比3.1%増)となりました。当事業セグメントは、期初に掲げた経営計画に基づき、積極的に販売用不動産の仕入及び販売活動を行いました。不動産価格が上昇基調にある中、販売用不動産の仕入に際しては、当社の目利き力やノウハウを最大限活用し、駅近物件等の希少性の高い物件の選定に注力しました。
  一方、販売面においては、当社の住居系にかかる不動産取引は比較的堅調に推移しておりましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大の中、外出自粛や訪日客の入国・行動制限、商談の一時休止等により販売時期の調整を余儀なくされました。特にホテル等の開発事業においては、売買先並びに投資家の様子見等により、売却時期が翌期にずれ込んだ物件も一部あったものの、その他物件の販売実績を積み重ねたことで前年同期との比較におきましては増収増益となりました。

② 不動産賃貸事業

売上高は18億円前年同期比19.1%減)、セグメント利益6億65百万円前年同期比29.5%減)となりました。当事業セグメントは、当社の安定的な収益基盤の指標となるセグメントであり、当社保有の収益不動産及び販売に至るまでの所有不動産からの賃貸収入を収益の柱としております。当事業年度におきましても引き続き高稼働率を維持しているものの、前事業年度において長期的な収益と引き合いの状況を考慮して販売用不動産を売却した結果、前年同期と比較して減収減益となりました。

今後においては、引き続き保有不動産の高稼働率を維持するとともに、所有不動産を積み増すことにより更なる基盤強化を図ってまいります。

 

③ その他事業

売上高は9億13百万円前年同期比31.5%増)、セグメント利益93百万円前年同期比215.0%増)となりました。主な内容としては、不動産コンサルティング事業における任意売却を中心とした不動産仲介並びに介護事業としての有料老人ホーム等の運営・管理、介護保険法に基づく介護予防支援、居宅介護支援事業を行っております。
  当事業セグメントの介護事業において、新たに開設した2施設が順調に推移したこと、その他の施設においても高い入居率を維持しましたことにより、前年同期と比較して増収増益となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して11億49百万円増加し、16億39百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、増加した資金は94億79百万円(前事業年度は19億99百万円の減少)となりました。主な増加要因は、「たな卸資産の減少額」96億61百万円であります。主な減少要因は、「法人税等の支払額」4億77百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、減少した資金は7億87百万円(前事業年度は2億82百万円の減少)となりました。主な減少要因は、「有形固定資産の取得による支出」(主として賃貸用不動産)9億66百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、減少した資金は75億42百万円(前事業年度は22億96百万円の増加)となりました。主な増加要因は、「長期借入れによる収入」75億3百万円であります。主な減少要因は、「長期借入金の返済による支出」126億6百万円及び「短期借入金の減少額」23億80百万円であります。

 

(3) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当社が営む事業では、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。

 

② 受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

不動産ソリューション事業

30,739,962

+82.9

6,094,016

+659.7

不動産賃貸事業(ファシリティマネジメント事業)

250,928

+130.9

486

△94.3

その他事業(不動産コンサルティング事業)

24,332

+25.9

合計

31,015,223

+83.1

6,094,502

+649.2

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

③ 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

不動産ソリューション事業

23,989,336

+15.3

不動産賃貸事業

1,800,442

△19.1

その他事業

913,928

+31.5

合計

26,703,707

+12.5

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

なお、前事業年度における特定目的会社LEGAL1及び当事業年度における株式会社日本入試センターについては、総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社日本入試センター

2,802,970

11.8

特定目的会社LEGAL1

5,917,347

22.2

 

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の分析

① 売上高の分析

当事業年度における売上高は、267億3百万円前年同期比12.5%増)の増収となりました。これは不動産ソリューション事業において新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大の中、売買先並びに投資家の様子見等により、特にホテル等の開発事業の売却時期が翌期にずれ込んだ物件が一部あったものの、その他物件の販売実績を積み重ねたことが主な要因であります。

以上の結果、事業セグメント別の売上高は、不動産ソリューション事業239億89百万円前年同期比15.3%増)、不動産賃貸事業18億円前年同期比19.1%減)、その他事業9億13百万円前年同期比31.5%増)となりました。

② 費用・利益の分析

当事業年度の売上原価は、不動産ソリューション事業における売上増加に伴う原価の増加などにより218億89百万円(前年同期比19.6%増)、売上総利益は48億13百万円前年同期比11.3%減)となりました。販売費及び一般管理費は、人件費の減少及び支払手数料の減少などにより30億33百万円前年同期比2.5%減)となりました。この結果、営業利益は17億80百万円前年同期比23.2%減)となりました。
  営業外収益は、保険解約返戻金及び受取補助金などにより71百万円前年同期比26.5%増)となりました。営業外費用は、支払利息等の通常の金融費用などにより12億28百万円前年同期比2.3%減)となりました。以上の結果、経常利益は6億24百万円前年同期比44.2%減)、解約違約金等を特別損失に計上したことにより、税効果会計適用後の法人税等負担額は95百万円前年同期比77.4%減)、当期純利益は1億円前年同期比85.5%減)となりました。

 

 

(2) 財政状態の分析

① 資産

当事業年度末における総資産は409億81百万円となり、前事業年度末に比べ74億34百万円減少しました。

流動資産は337億95百万円となり、前事業年度末に比べ58億50百万円減少しました。これは主として、不動産売却等による「販売用不動産」の75億47百万円減少、開発用不動産仕入の増加等による「仕掛販売用不動産」の4億94百万円増加及び「現金及び預金」の9億28百万円増加によるものであります。

固定資産は71億86百万円となり、前事業年度末に比べ15億84百万円減少しました。これは主として、新規購入や保有目的変更に伴う振替による「土地」の13億23百万円減少、「建物」の5億2百万円減少及び共同事業に係る調整等による「繰延税金資産」の1億83百万円増加並びに特定目的会社への「出資金」の1億円増加によるものであります。

② 負債

負債は369億69百万円となり、前事業年度末に比べ77億97百万円減少しました。

流動負債は208億39百万円となり、前事業年度末に比べ80億58百万円増加しました。これは主として、「長期借入金」からの振替による「1年内返済予定の長期借入金」の104億39百万円増加及び「短期借入金」の23億80百万円減少によるものであります。

固定負債は161億30百万円となり、前事業年度末に比べ158億55百万円減少しました。これは主として、「1年内返済予定の長期借入金」への振替等により「長期借入金」が155億42百万円減少したことによるものであります。

③ 純資産

純資産は40億12百万円となり、前事業年度末に比べ3億62百万円増加しました。これは主として、譲渡制限付株式報酬としての新株発行等による「資本金」1億38百万円、「資本剰余金」1億38百万円の増加及び「当期純利益」1億円を計上したためであります。自己資本比率は、前事業年度末の7.5%から9.8%と増加する結果となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当事業年度のキャッシュ・フロー状況及び増減要因につきましては、「(経営成績等の状況の概要) (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
  現金及び現金同等物は、前事業年度に比べ11億49百万円増加(前年同期比234.7%増)し16億39百万円となりました。
  営業活動によるキャッシュ・フローについては住居系不動産取引の堅調推移等による販売実績の積み重ねによりプラスとなりました。
  投資活動によるキャッシュ・フローについては安定的な収益基盤を確保するため賃貸用不動産を購入した結果マイナスとなりました。
  財務活動によるキャッシュ・フローは物件売却による短期借入金の減少及び長期借入金の返済を行った結果マイナスとなりました。
  今後も利益の蓄積と株主資本の充実及び徹底した在庫コントロールにより、更なる営業活動によるキャッシュ・フローの改善を図ってまいります。

② 資本の財源及び資金の流動性

当社の資金需要のうち主なものは販売用不動産の仕入、建築工事費、賃貸用不動産の取得及び運転資金であります。
  事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、上記の財源としては利益剰余金に加え、長期・短期の借入金を活用しております。なお、当事業年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は349億98百万円となっております。また現金及び現金同等物の残高は16億39百万円となっております。
  当社の主要な事業である不動産ソリューション事業において、いかに立地の良い土地を適正な価格で数多く仕入れられるかを最重要課題の一つとしており、プロジェクト資金の調達を機動的かつ安定的に行う必要があるとともに、資金調達手段の多様化を図る必要があると認識しております。
  また、その調達にあたりプロジェクト期間に応じた借入期間を設定するのが一般的であり、当社もプロジェクト期間に応じた借入れを行ってきましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い、手許流動性を高める必要から2020年6月に日本政策金融公庫、2020年7月に商工組合中央金庫から合計6億円の長期資金を調達しました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束状況を見極めつつ、無駄に借入残高が多くならないよう制御していく予定であります。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因

当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(5) 経営戦略の現状と見通し

今後のわが国経済は、消費増税による影響から個人消費も低下する傾向の中、米中貿易摩擦、更には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大から、景気動向の先行きは非常に厳しい状況が続くことが見込まれます。

この間、当社の属する不動産業界におきましては、政府による住宅取得支援策や低金利の住宅ローンなどにより住宅取得環境は依然として良好である一方で、地価の上昇や用地取得競争の激化、建築費の高止まりなどの影響を受けております。更には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるサプライチェーンや工期の長期化、国内外含めた移動制限や経済縮小からの購買意欲の減退などが不動産市況に大きな影響を与えることが見込まれます。

このような状況のもと、当社は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大の状況においても比較的市況が安定しており売却も堅調に推移している当社主力商品「LEGALAND」を含む住宅系収益不動産の開発並びに住宅系実需不動産の新規開発を推進してまいります。

また、安定的な収益であり、景気変動に対して価格の下方硬直性のある不動産賃貸事業の再強化は、経営の安全性と効率性を実現し、リスク軽減を図るためのポートフォリオ構築に不可欠であると考え、2021年7月期及び2022年7月期につきましては、収益物件の仕入に改めて注力し、所有不動産の積み増しを実施しながら保有不動産の高稼働運用を行い、トップラインの維持と利益率改善による経常利益の増益に努めてまいります。

ただし、2021年7月期につきましては、2019年7月期及び2020年7月期において長期的な収益と引き合いの状況を考慮して物件を売却したことによる賃貸収入減少の影響から、経常利益は前年同期比で減益となる見込みでありますが、当期純利益につきましては、特別損失の減少により前年同期比で増益となる見込みであります。

以上の結果、当社の2021年7月期の業績は、売上高266億43百万円(前年同期比0.2%減)、営業利益12億9百万円(前年同期比32.1%減)、経常利益2億90百万円(前年同期比53.5%減)、当期純利益1億41百万円(前年同期比40.9%増)を見込んでおります。

 

(6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、安定的かつ継続的な成長を重視し、財務活動等を含んだ企業の総合的な収益力を示す経常利益を指標とし、企業価値の継続的向上を目指してまいります。当事業年度の経常利益は業績目標11億52百万円に対して6億24百万円前年同期比44.2%減)となり、業績目標を下回りました。

また、財務基盤強化の観点から、自己資本比率も重要な経営指標として位置づけており、早期に10%以上に向上させていく方針です。当事業年度末の自己資本比率は目標の9.4%に対して9.8%(前年同期比2.3ポイント上昇)となり、目標を上回りました。収益の原資となる販売用不動産の取得については、厳選したうえでの取得に努めることで総資産の過度な増加を抑制するとともに、着実な利益確保により安定的に自己資本を高めてゆく所存であります。

各指標の推移は次のとおりであります。

 

第18期(実績)

第19期(実績)

第20期(実績)

第21期(計画)

経常利益 (千円)

861,659

1,118,803

624,339

290,431

自己資本比率 (%)

3.9

7.5

9.8

10.5

 

 

 

(7) 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

(8) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。財務諸表作成のための会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。この財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

なお、会計上の見積りを行ううえでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響については、「第5 経理の状況  1   財務諸表等  (1)財務諸表  注記事項(追加情報)」をご参照ください。

① 販売用不動産及び仕掛販売用不動産の評価

販売用不動産及び仕掛販売用不動産について、正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を正味売却価額まで減額し、当該減少額を評価損として計上しております。そのため、販売計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には評価損が必要となる可能性があります。

② 固定資産の減損処理

固定資産について、減損の兆候があり、かつ資産の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合は、回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。減損の兆候の判定及び回収可能性の見積りにおける重要な仮定は、不動産鑑定士による鑑定評価等及び将来キャッシュ・フローの見積りであります。当該資産又は資産グループが属する事業の経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損損失の発生する可能性があります。

③ 繰延税金資産

延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。