3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による社会経済活動の制限は解消されず、依然として厳しい状況にあります。感染拡大防止策を講じつつ、社会経済活動レベルの段階的な引き上げにより、持ち直しの動きが続くことが期待されますが、引き続き、新型コロナウイルス感染症の動向や金融資本市場の変動等の影響に注視する必要があります。

当社の属する住宅業界では、内包する新設住宅着工戸数の長期的減少や建設関連人材の慢性的不足、建築コストの高騰等の課題に加え、2020年4月の緊急事態宣言発出に伴う住宅展示場の閉鎖や営業自粛、住宅設備等の供給への影響などにより一時的に需要が抑えられた局面があったものの、緊急事態宣言解除後の需要の反動増、生活様式の変化やライフスタイルの見直しの動き、住宅取得支援策の拡充などを背景に住宅取得需要は底堅く推移しました。

住宅市況に関しましては、家で過ごす時間が増加したことやテレワークの普及、首都圏を中心に分譲マンション価格が高止まりする中、戸建住宅は比較的割安に購入可能であり、住宅取得支援施策や住宅ローンの低金利水準の継続も相まって、当社が主要顧客と位置付けている一次取得者層の需要も堅調を維持しました。

このような状況のもと、当社は引き続き、自社設計・自社施工管理による高品質かつ低価格な住宅の供給をミッションに、横浜市、川崎市、東京城南地区において一次取得者層をターゲットとして活動エリアの深耕を図ってまいりました。当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響に留意しつつ、積極的な人財拡充と組織営業体制の推進が奏功し、分譲住宅事業、注文住宅事業ともに引渡棟数、各段階利益は創業来最高を更新いたしました。

これらの結果、当事業年度の売上高は10,765,263千円(前年同期比11.8%増)、営業利益は612,908千円(同85.0%増)、経常利益は577,575千円(同88.8%増)、当期純利益は379,602千円(同80.8%増)となりました。

また、2021年3月11日に通期業績予想(2020年6月11日公表)の上方修正を行っておりますが、修正後の予想に対し、高利益率物件の販売が期末にかけても順調に推移したことから各段階利益は予想値を大きく上回る結果となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(分譲住宅事業)

分譲住宅事業におきましては、緊急事態宣言に伴う営業活動の制約を受け、一時的に商談機会等の落ち込みや新型コロナウイルス感染拡大を懸念した住宅購入層の動きが一時的に停滞する状況もみられましたが、当社が手掛ける横浜・川崎・東京城南地区の新築小規模戸建て分譲住宅においては、住宅取得需要の反動増に加え、在宅時間の増加による戸建住宅需要の高まりも相まって、社会経済活動レベルの引き上げとともに安定的に推移しました。また、仕入れに関しては、地域密着の深耕営業を軸に良質な用地の適正価格での取得、住宅建設では、新規協力業者の継続的な開拓や工程管理の強化、人員配置の適正化を図ってまいりました。さらに販売においては、継続的な仕様・設備の見直しにより商品力の強化と良好な収益性の維持に取り組んでまいりました。

これらの結果、引渡棟数は220棟(前年同期比17棟の増加)、売上高は8,383,184千円(同8.6%増)、営業利益は958,606千円(同38.8%増)となりました。

 

(注文住宅事業)

注文住宅事業におきましては、都内における3階建て住宅が受注全体をけん引し、受注棟数128棟(前年同期比28棟増)と前年同期を上回る実績となりました。

好調な受注残を背景に引渡しは概ね計画通りに進捗し、人員増強を含めた営業体制の強化により、当事業年度においても、受注棟数は前年同期比28%増加と大きく伸長しました。

エリア別の受注状況では東京都内が全体の6割強を占めており、当事業の集客は主に不動産会社からの紹介が大きく寄与しています。更なる事業拡大に向けて、住宅展示場を活用した自社集客を含む顧客接点の多角化や社内サプライチェーンの更なる強化にも取り組んでまいりました。

これらの結果、引渡棟数は94棟(前年同期比24棟増)売上高は2,030,907千円(前年同期比18.3%増)、営業利益は55,306千円(同21.2%減)となりました。

 

(その他事業)

その他事業につきましては、京都エリアで主に中古物件(マンション)のリノベーションを行い、付加価値を高めた上で、一般顧客への販売を手掛けております。また、マンションのリノベーションの他、既存建物の小規模改修工事がその他事業に含まれております。

当事業年度は、リノベーションマンションの販売実績は8件となり、前事業年度の人員増強と地域の仲介会社との継続的な紐帯関係の構築の中で、着実に実績を積み上げております。引き続き、社会構造・ニーズの変化を捉えた商品企画の推進等により業容拡大を図ってまいります。また、前事業年度から新たな試みとして京都における自社施工、分離発注を開始しております。

これらの結果、売上高は351,171千円(前年同期比83.6%増)、営業利益は2,668千円(前年同期は営業損失22,326千円)となりました。

セグメントの名称

売上高(千円)

(前年同期比)

引渡棟数

(前年同期)

分譲住宅事業

[うち土地分譲]

8,383,184

(8.6%)

220

(203)

[292,946]

[14.9%]

[6]

[7]

注文住宅事業

2,030,907

(18.3%)

94

(70)

その他

351,171

(83.6%)

8

(5)

合計

10,765,263

(11.8%)

322

(278)

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.[ ]は、土地分譲に係る内数であります。

 

② 財政状態の状況

(資産の部)

当事業年度末における流動資産は6,274,979千円となり、前事業年度末に比べて1,390,530千円増加しました。これは主に、現金及び預金が821,282千円増加、仕掛販売用不動産が457,957千円増加したことによるものであります。

固定資産は303,215千円となり、前事業年度末に比べて2,914千円増加しました。

この結果、総資産は6,578,194千円となり、前事業年度末と比較して1,393,445千円増加しました。

 

(負債の部)

当事業年度末における流動負債は3,145,877千円となり、前事業年度末に比べて664,404千円増加しました。これは主に、短期借入金が402,000千円増加、1年内返済予定の長期借入金が120,204千円増加、未払法人税等が67,449千円増加したことによるものであります。

固定負債は610,664千円となり、前事業年度末に比べ429,522千円増加しました。これは主に、社債が80,000千円減少した一方で、長期借入金が512,925千円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は3,756,542千円となり、前事業年度末に比べて1,093,927千円増加しました。

 

(純資産の部)

当事業年度末における純資産合計は2,821,652千円となり、前事業年度末と比べて299,518千円増加しました。これは主に、当期純利益の計上379,602千円及び剰余金の配当79,987千円によるものであります。

この結果、自己資本比率は42.9%(前事業年度末は48.6%)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における「現金及び現金同等物」(以下「資金」という。)は、営業活動により34,284千円を使用、投資活動により16,310千円を使用、財務活動により871,877千円を獲得したことにより、前事業年度末に比べ821,282千円増加し、当事業年度末には2,061,923千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、34,284千円(前年同期は180,516千円の使用)となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上577,575千円、前受金の増加59,264千円による資金の増加があった一方で、たな卸資産の増加586,654千円、法人税等の支払148,766千円による資金の減少があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、16,310千円(前年同期は7,408千円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出6,742千円敷金及び保証金の差入による支出5,713千円、有形固定資産の取得による支出4,933千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は、871,877千円(前年同期は114,410千円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出3,088,000千円、長期借入金の返済による支出116,871千円、社債の償還による支出80,000千円、配当金の支払79,987千円があった一方で、短期借入れによる収入3,490,000千円、長期借入れによる収入750,000千円があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社が営む分譲住宅事業及び建築請負を主体とする注文住宅事業では生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。

 

b.受注実績

当事業年度における住宅事業のうち建築請負の受注状況は次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

注文住宅事業

2,537,936

26.7

2,526,018

30.8

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.上記以外のセグメントについては、提供するサービスの性格上、受注状況の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

分譲住宅事業(千円)

8,383,184

8.6%

注文住宅事業(千円)

2,030,907

18.3%

その他事業(千円)

351,171

83.6%

合計(千円)

10,765,263

11.8%

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.主たる販売先は不特定多数の一般消費者であり、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。

3.直近2事業年度の分譲住宅事業における地域別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。なお、地域別の分類は、物件の属する地域によって分類しております。

地域

前事業年度

当事業年度

売上高(千円)

割合(%)

売上高(千円)

割合(%)

東京都23区

1,441,874

18.7

1,568,851

18.7

神奈川県横浜市

3,953,038

51.2

3,937,839

47.0

神奈川県川崎市

2,326,891

30.1

2,876,494

34.3

合計

7,721,803

100.0

8,383,184

100.0

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この財務諸表の作成に当たり、重要な会計上の見積りにつきましては、十分検討して作成しております。会計上の見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的な基準により判断しておりますが、会計上の見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

なお、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

分譲住宅事業に関しては、厳選した用地仕入れ及び立地・価格・品質のベストバランスを追及した商品力の強化に加え、高利益率物件の販売が好調であったこと、並びに営業人員の戦力化が進んだことにより、売上高は8,383,184千円(前年同期比8.6%増)、営業利益は958,606千円(同38.8%増)となりました。

 

 注文住宅事業に関しては、自社集客を含む顧客接点の多角化や増員による営業体制強化に取り組んでおり、好調な受注残を背景に、引渡しは概ね計画通りに進捗したことから、8期連続の増収となりました。その結果、売上高は2,030,907千円(前年同期比18.3%増)、営業利益は55,306千円(21.2%減)となりました。

 

 その他事業に関しては、京都でのマンションのリノベーション事業では、地場不動産会社や大手不動産仲介会社との関係構築の中で、販売実績は8件となり着実に実績を積み上げております。その結果、売上高351,171千円(前年同期比83.6%)、営業利益2,668千円(前年同期は営業損失22,326千円となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因

当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、法的規制、自然災害等のリスクなどがあります。なお、各々の内容については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・資本の財源及び資金の流動性

当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。また、運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行と当座貸越契約を締結しております。

当社の運転資金需要のうち主なものは、事業用地等の取得に係るプロジェクト資金や、住宅建築に係る材料費及び外注費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

なお、当事業年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,803,049千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は2,061,923千円となっております。

当社は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、特に主要な事業である分譲住宅事業において、いかに立地の良い土地を適正な価格で数多く仕入れることができるかを最重要課題のひとつとしており、当社の属する不動産・住宅業界が特有なビジネス環境の変化に影響を受けやすいことを鑑みますと、事業用不動産等の取得に係るプロジェクト資金の調達を機動的かつ安定的に行う必要があると共に、事業環境変化のリスクに備えるため資金調達手段の多様化を図る必要があると認識しております。

分譲住宅会社はその調達に当たり、プロジェクトの期間に応じた短期借入での調達が一般的であり当社も短期を中心とした調達でしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、手許流動性を高める必要性から2020年4月に、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社日本政策金融公庫他合計4行から計750,000千円の長期資金を調達しております。

なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。