3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、米中貿易問題や中国景気への懸念から世界的に経済の減速感、先行き不透明感が続く状況の中、新型コロナウイルスが発生、世界的な流行へと拡大し、世界経済はリーマンショックを超える大幅な落ち込みとなり、国内においても、新型コロナウイルスの感染拡大防止が最重要事項となり、企業収益悪化、個人消費及びインバウンド消費低迷などあらゆる面で景気後退局面へ突入いたしました。これに対し、日銀は2020年3月の金融政策決定会合を前倒して、企業金融支援のための措置やETF・J-REIT買入の増額などを決定し、また、2020年4月には経済の下支えのため、国債の買い入れ上限をなくし、積極的に購入する方針を決定する追加緩和策をとるなど、政策を総動員する状況となっております。

不動産業界のうちマンション業界におきましては、首都圏の2019年度(2019年4月~2020年3月)のマンション供給戸数は前年度比22.0%減の28,563戸と1992年以来の3万戸割れとなりました。ただし、都区部のそれは、15.0%減の13,131戸となっており、首都圏エリア内においては、減少率が一番小さい状況となっております。供給面に対し販売価格の面においては、首都圏エリアの平均価格は2.2%上昇の6,055万円、㎡単価も3.0%上昇の90.1万円と平均価格は3年連続、㎡単価は8年連続のアップという結果になったものの、都区部は平均価格1.1%増の7,400万円、㎡単価は0.9%減の115.1万円と高止まっている状況となっております(㈱不動産経済研究所調べ)。

資産運用を目的とする投資用不動産につきましては、アセットクラスによって明暗が出始めているものの、住居である投資用ワンルームマンションなどは引き続き、低金利の恩恵や景気の先行き不透明な中での実物投資としての投資商品認知度の拡大、賃料の堅調さなどを背景に好調を維持しており、これに必要な投資用ローンの攻勢も変わらない状況となっております。特に賃料は、株式会社東京カンテイが集計を開始して以来、初めて首都圏の分譲マンション賃料が㎡単価3,000円を突破し、その中でも都区部の伸びが著しい状況となっております。

このような経済環境の下、当社は引き続き、立地を厳選した事業活動を継続しており、開発物件の立地優位性、堅調な賃料、投資商品としての認知度拡大などから販売価格が伸長しつつも順調に販売量を維持することができました。加えて、前事業年度からの事業方針(“足踏みダイエット”及び“登頂ダイエット”)に沿った事業活動により、全社員のコスト意識改革に成功し、これにDX(デジタル・トランスフォーメーション)プロジェクトも貢献し、売上高を伸ばしながらも、販管費削減を実現することができました。

この結果、売上高は22,674,834千円と前事業年度と比べ1,140,480千円(5.3%)の増収、営業利益は1,903,682千円と前事業年度と比べ172,879千円(10.0%)の増益、経常利益は1,545,015千円と前事業年度と比べ159,194千円(11.5%)の増益、当期純利益は954,637千円と前事業年度と比べ82,617千円(9.5%)の増益となりました。

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(不動産開発販売事業)

不動産開発販売事業は、業界全体として用地価格の高騰などの影響により新築供給数は減少傾向にあるものの、当社においては仕入れ情報力と開発力を最大限に活かし、より立地にこだわった用地及び完成物件の仕入れを行い、18物件の開発用地及び完成物件を取得し、自社開発物件13物件が竣工いたしました。資産運用型投資用マンションの販売においては、当社の開発物件の立地優位性、堅調な賃料、投資商品としての認知度拡大などから想定よりも販売価格が伸長できており、販売量も順調に維持してまいりました。また、電子契約の導入やIT重説の社会実験への参画、オンライン商談の開始など、販売活動におけるDXを強く推進し、加えて全社員のコスト意識改革などが成功したことにより、販管費の削減が実現し、利益の最大化を図ることができました。さらに、自社ブランド中心の買取再販を強化したことにより、販売収益、ストック収益の拡大を図ることができ、これが財務体質の強化と市況変動リスクへの耐性強化に大きく貢献している状況にあります。そして、都市型アパートについては、早々に年間想定販売棟数の引渡しが完了し、今後の事業拡大に向けた仕入れに取組んでおります。

これらの結果、投資用マンションブランド「クレイシア」シリーズ等は441戸、居住用コンパクトマンションブランド「ヴァースクレイシア」シリーズは77戸、都市型アパートブランド「ソルナクレイシア」シリーズは7棟、その他で133戸を販売し、売上高21,975,037千円(前事業年度比5.3%増)、営業利益1,694,510千円(前事業年度比8.5%増)となりました。

 

(プロパティマネジメント事業)

プロパティマネジメント事業は、自社開発物件販売後の確実な管理契約の獲得と早期賃貸付けによる賃貸関連コストの圧縮、自社管理物件の買取再販強化による管理戸数の維持などに取組み、当事業年度末の賃貸管理戸数は2,936戸、建物管理戸数は3,379戸(82棟、80組合)となりました。

これらの結果、売上高は699,797千円(前事業年度比3.8%増)、営業利益209,171千円(前事業年度比24.1%増)となりました。

 

 

当事業年度末における財政状態は、次のとおりであります。

   (資産)

当事業年度末における流動資産は24,111,828千円となり、前事業年度末に比べ1,722,919千円増加いたしました。これは主に物件が竣工したことにより仕掛販売用不動産が1,262,125千円減少した一方、物件の竣工に加え、完成物件の購入を行ったことにより販売用不動産が2,229,200千円、物件開発のための資金及び機動的な用地獲得のための資金を調達、確保し、加えて販売による回収資金を確実に積み上げたことにより現金及び預金が863,231千円それぞれ増加したことによるものであります。固定資産は613,151千円となり、前事業年度末に比べ167,521千円増加いたしました。これは主に「SBI AI&Blockchainファンド」等への出資により投資有価証券が125,577千円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は24,724,979千円となり、前事業年度末に比べ1,890,441千円増加いたしました。

 

   (負債)

当事業年度末における流動負債は10,798,359千円となり、前事業年度末に比べ2,098,664千円増加いたしました。これは主に自社開発物件を順調に引渡したことによる建築費の支払により買掛金が119,694千円、社債の償還が進んだことにより1年内返済予定の社債が115,000千円それぞれ減少した一方、物件開発のための資金及び機動的な用地獲得のための資金の調達を借入にて実施したことにより短期借入金が2,143,591千円増加したことによるものであります。固定負債は7,866,168千円となり前事業年度末に比べ1,104,006千円減少いたしました。これは主に物件開発のための資金及び機動的な用地獲得のための資金を社債の発行にて実施したことにより社債が385,000千円増加した一方、自社開発物件を順調に引渡したことによる借入金の返済により長期借入金が1,499,198千円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は18,664,528千円となり、前事業年度末と比べ994,657千円増加いたしました。

 

   (純資産)

当事業年度末における純資産は6,060,451千円となり、前事業年度末に比べ895,783千円増加いたしました。これは主に配当を148,689千円実施した一方、当期純利益954,637千円を計上したことにより繰越利益剰余金が791,308千円増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は24.5%(前事業年度末22.6%)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物は4,700,299千円と前事業年度末と比べ863,231千円(22.5%)の増加となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に利息や法人税等の支払があったものの、たな卸資産の増加幅を抑えたことにより、販売による資金回収がこの増加幅を上回り、当事業年度は160,101千円の収入となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは「SBI AI&Blockchainファンド」等への出資に伴う支出により△175,845千円と、前事業年度と比べ支出が67,553千円増加いたしました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出があるものの、これを上回る短期借入金の純増減額及び長期借入れによる収入があったことにより878,975千円の収入となりましたが、営業活動によるキャッシュ・フローの支出を財務活動によるキャッシュ・フローで補っていた前事業年度と比べ、当事業年度は営業活動によるキャッシュ・フローが収入に転じているため、財務活動によるキャッシュ・フローが前事業年度ほど必要ではなかったため、収入が3,350,623千円減少いたしました。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

該当事項はありません。

 

b. 受注実績

該当事項はありません。

 

c. 販売実績

販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売戸数
(戸)

 

金額
(千円)

 

前年同期比
(%)

前年同期比
(%)

不動産開発販売事業

651

88.0

21,975,037

105.3

プロパティマネジメント事業

699,797

103.8

合計

651

88.0

22,674,834

105.3

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.不動産開発販売事業において都市型アパート7棟を販売しておりますが、上記「販売戸数(戸)」には含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するために重要となる当社の会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としており、経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社の資産の多くを占める販売用不動産及び仕掛販売用不動産の評価が当社の財務諸表に重要な影響を及ぼす事項となりますが、この評価は、対象不動産ごとの賃料の実勢、長期金利の動向、路線価の変動及び個別発生事象等に依っており、必要に応じて鑑定レポートを取るなど、より客観的に評価できるよう努めておりますが、これらの要素が予期せぬ変動をした場合には、事業年度末時点の評価と異なる結果となる場合があります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の当事業年度の経営成績等は、期初において金融環境の悪化を懸念したことから、既存事業において”足踏みダイエット”という事業方針を立て、無理な成長をせず、コストとバランスシートのダイエットに集中するということに注力いたしましたが、結果として、想定していたほどの金融環境の悪化は起きず、東京23区の堅調な賃料と低金利の恩恵を受け、販売価格を伸長しつつも、投資商品としての認知度拡大と当社営業部門の強化による販売量維持により、前事業年度より5%増収する結果となりました。また、ダイエットという方針にのっとり、売上高を拡大しつつも販管費を削減することに成功し、当社が注視している営業利益と経常利益の拡大もともに10%超拡大することに成功いたしました。これに貢献した大きな施策の一つにDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進があり、これによって業務の効率化(約1,800時間の工数削減)、コストの削減(約0.2億円)のみならず、社員のコスト意識改革を図ることができ、全社的改善につなげられたと考えております。

今後は、新型コロナウイルスの感染拡大により不透明な経済環境が続くと想定されるものの、不確実性があるからこその実物資産としての安定収益として、当社の取り扱う商品の需要は高まることが想定され、購入需要に影響を及ぼす長期金利も低位安定が想定されることから、この側面においては追い風の面があると考えております。しかしながら、購入者のマインドに影響する景況感や購入する際に利用する投資用ローンに影響する金融環境などは、新型コロナウイルスの影響により先行きが定まらない状況であると考えております。このような外部環境に対し、当社では引き続き成長を見据えつつも、現状においては、組織や働き方といったヒト、資産性の高い物件といったモノ、十分な資金水準と資金調達力といったカネ、DXによるダイエット及び情報活用力といった情報など、各経営資源を強化していくことが重要であると考えており、2020年3月期は、DXの推進を中心にこの土台となる部分を構築できた事業年度であると判断しております。

 

当社の資本の財源及び資金の流動性については、バランスシートのダイエットという方針のもと、自己資本比率とDERを注視指標としておき、自社ブランドを中心とした中古物件の買取再販による販売在庫の調整や他社開発物件の仕入、内部留保による資本の増強やクラウドファンディングによる資金の確保などにより財務体質の改善と資金の流動性確保に努めてまいりました。不確実性が増している昨今においては、資金の流動性が重要であると考え、高い資金水準の維持と有利子負債による資金調達のバランスを考慮した財務戦略をとっております。今後につきましても、扱う物件数が増加していることや物件の竣工に偏重があることなどから、資金の流動性をより確保することが必要であるため、適切な資金計画のもと、いつでも販売可能な中古物件の確保とそこから得られるストック収益の確保、金融機関からの機動的な運転資金の確保に向けた取引金融機関数の増加や主要取引銀行とのコミットメントラインの維持・新設などを行うことを考えております。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、上記と同様の内容となるため、記載を省略しております。