当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
[表1]前年同期比 (単位:百万円)
( )内は商品取扱高に対する割合です。
当社グループは、「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。Be unique. Be equal.」という企業理念のもと、日本最大級のファッションECサイト「ZOZOTOWN」の運営、及びファッションメディア「WEAR」の運営を中心に事業活動を行っております。
当連結会計年度における当社グループは、ZOZOTOWNにおいてはユニークユーザー数拡大及びコンバージョンレート(ユニークユーザーの購買率)向上のために、ユーザーとブランド双方にとって魅力的なサイト作りに注力してまいりました。具体的には、引き続き多様化するユーザーニーズに対応できるよう積極的に幅広いジャンルの新規ブランドの出店を進めたことや、2019年5月、同9月、及び同11月にセールイベント「ZOZOWEEK」の実施をいたしました。また、第2四半期連結会計期間以降、既存会員の活性化を目的に、会員毎の購買履歴等の情報をもとにパーソナライズされた値引・ポイント施策を継続して実施してまいりました。
2019年12月17日より、ヤフー㈱が運営するオンラインショッピングモール「PayPayモール」へZOZOTOWNを出店いたしました。ZOZOTOWNに出店している約9割のショップがPayPayモールでも販売をしており、売上も好調です。出店翌日から2020年3月31日にかけては、ZOZOTOWN PayPayモール店利用でPayPayボーナスを最大30%還元するという大規模なポイント還元キャンペーンを実施いたしました。他ECモールへZOZOTOWNが出店することは初の試みですが、従来のZOZOTOWNユーザーとは属性の異なる幅広いユーザーとの接点を増やすことで、新たな顧客層の拡大を目指してまいりました。
MSP(マルチサイズプラットフォーム)事業については、2019年9月6日からZOZOTOWN上にて受注予約を開始いたしました。当連結会計年度においては、秋冬商品を中心に販売を行ってまいりました。体型計測デバイスとしては、2020年2月27日より足型の3Dデータ化を行い靴選びに必要な複数部位の計測を可能とする「ZOZOMAT」の配布を開始いたしました。本施策により、ZOZOTOWNでの靴カテゴリーの商品取扱高拡大を目指すとともに、ユーザーにとって快適で便利な靴選びを可能とする新しい購買体験を提供できると期待しております。
BtoB事業においては、第3四半期連結会計期間より、ZOZOTOWNの出店ブランドを対象にZOZOTOWNと自社ECの在庫一元化を図ることで機会損失の最小化を目指す、フルフィルメント支援に特化したサービス「Fulfillment by ZOZO」を開始いたしました。
また、2019年10月24日~10月28日の5日間で、当社が大会タイトルスポンサーとして、日本初となるPGA TOUR トーナメント「ZOZO CHAMPIONSHIP」を開催いたしました。悪天候によるトラブルにも見舞われましたが、世界トップクラスの選手の素晴らしいプレーと日本中のゴルフファンの熱い歓声に支えられ、初年度大会はタイガー・ウッズ選手の優勝と共に大盛況のうちに幕を閉じました。なお、同大会タイトルスポンサーは来期以降も継続予定であり、引き続き新たな顧客層に対して当社の認知拡大を図っていく所存です。
なお、当社グループはZホールディングス㈱による当社株式に対する公開買付けにより、Zホールディングス㈱の連結子会社となり、以後連携を強めてまいりました。今後も親会社との連携深化を促進し、シナジー効果を最大化できるよう、最大限の取り組みを推進してまいります。
これらの結果、当連結会計年度における商品取扱高は345,085百万円(前年同期比6.6%増)、売上高は125,517百万円(同6.0%増)、差引売上総利益は113,721百万円(同8.3%増)となりました。商品取扱高については、第2四半期連結会計期間まで期初計画並の成長率で順調に推移しておりましたが、第3四半期連結会計期間は、消費増税後の節約志向の高まりに伴う消費低迷に加え、大型台風の上陸をはじめとした天候不順、そして記録的な暖冬の影響により、高単価の季節性商品の販売が低調に推移いたしました。市況悪化の影響を鑑み、効率性の観点から積極的なプライスプロモーションを抑制しておりましたが、第4四半期連結会計期間においても記録的な暖冬が続いたことから、継続してプロモーションの抑制を行っておりました。また、前第4四半期連結会計期間において有料会員サービス「ZOZOARIGATO」による大規模な当社負担の値引施策を行っていたことも影響し、当連結会計年度の商品取扱高成長率は期初計画対比で低い水準に留まりました。なお、商品取扱高は商品販売価格から同有料会員サービス及びその他当社負担値引施策に起因する値引額を控除する前の金額を以て表示しております。一方で、売上高については、いずれの場合も当該値引控除後の金額となっております。
販売費及び一般管理費は85,832百万円(前年同期比8.2%増)、商品取扱高に対する割合は24.9%と前年同期と比較して0.4ポイント低下しております。前年同期比で販管費率が低下している主な理由は以下の通りです。
・上昇(悪化)要因
① ポイント施策の増加に伴い、ポイント関連費(対商品取扱高)が0.5ポイント上昇。
② 商品単価下落に伴う比率増加、物流拠点増加に伴う拠点間移動に係る費用の増加及びアルバイト時給増加により、物流関連費(対商品取扱高比)が0.3ポイント上昇。
③ 物流拠点増加に伴い、賃借料(対商品取扱高比)が0.3ポイント上昇。
・低下(改善)要因
① PGA TOUR トーナメント「ZOZO CHAMPIONSHIP」スポンサー費用等が発生した一方で、ZOZOSUITの配布枚数減少により広告宣伝費(対商品取扱高)が0.5ポイント低下。
② 前期において発生していた高額のスポット費用(センサー方式の旧型ZOZOSUITに関連した清算費用・マーカー方式の新型ZOZOSUITの改良研究に起因した成功報酬費用)が当期においてはないことから、その他費用(対商品取扱高)が0.1ポイント低下。
③ 前期に行った賞与支給方針の変更に伴う影響が収まったことにより、社員人件費(対商品取扱高)が0.1ポイント低下。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は27,888百万円(前年同期比8.7%増)、営業利益率は対商品取扱高対比8.1%と前年同期と比較して0.2ポイント上昇しております。また、経常利益は27,644百万円(同7.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は18,804百万円(同17.6%増)となりました。
なお、当連結会計年度において、コロナウィルス感染症による影響は軽微であり特筆すべき事象はありません。
[表2]期初計画比
(単位:百万円)
2019年4月25日に開示いたしました期初計画に対しては、商品取扱高は6.0%、売上高は7.7%下回りました。第3四半期連結会計期間以降、消費増税後の反動や記録的な暖冬等による市況悪化の影響を強く受けたことが主な要因です。商品取扱高及び売上高の期初計画未達に伴い、営業利益は同計画比で12.8%、経常利益は同計画比で13.6%、親会社株主に帰属する当期純利益は同計画比で16.4%それぞれ下回りました。
なお、当社グループはEC事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しておりますが、単一セグメント内の各事業区分の業績を以下のとおり示しております。
各事業別の業績は、以下のとおりです。
[表3]事業別前年同期比
① ZOZOTOWN事業
ZOZOTOWN事業は、「受託ショップ」「買取ショップ」「ZOZOUSED」の3つの事業形態で構成されております。「受託ショップ」は各ブランドの商品を受託在庫として預かり、受託販売を行っております。「買取ショップ」は各ブランドからファッション商材を仕入れ、自社在庫を持ちながら販売を行っております。「ZOZOUSED」は主に個人ユーザー等から中古ファッション商材を買取り、販売を行っております。
当社では、ZOZOTOWN事業を持続的に成長させていくためには「購入者数の拡大」及び「ファッション消費におけるZOZOTOWN利用率上昇」が重要なファクターであると認識しております。そのために、ユーザーとブランド双方にとって魅力的なサイト作りに取り組んでおります。
なお、ZOZOTOWN事業に係る主なKPIの推移は以下のとおりです。
(ショップ数等)
[表4]ショップ数、ブランド数の推移
(注) 1 四半期会計期間末日時点の数値を使用しております。
2 プライベートブランド「ZOZO」及び「マルチサイズ」は含んでおりません。
当連結会計年度に新規出店したショップ数は184ショップ(純増92ショップ)となり、期初計画に対して順調に推移しました。なお、第4四半期連結会計期間に新規出店したショップ数は、15ショップ(純減8ショップ)となりました。主な新規出店ショップは、BEAMSが展開するオンライン限定ブランド「BeAMS DOT」、老舗国産シューズブランド「ASAHI SHOES」です。なお、前四半期比で出店ショップ数が微減しておりますが、これはブランドの終了、統合または売上不振による退店が主な要因となっております。
(年間購入者数)
[表5]年間購入者数の推移
(注) 1 集計期間は会計期間末日以前の直近1年間としております。
2 年間購入者数は過去1年以内に1回以上購入したアクティブ会員数とゲスト購入者数の合計です。
3 アクティブ会員数は過去1年以内に1回以上購入した会員数になります。
4 「PayPayモール」の購入者は含んでおりません。
第4四半期連結会計期間において、アクティブ会員数及びゲスト会員数が前四半期比でそれぞれ増加したことから、年間購入者数は前四半期比で増加いたしました。アクティブ会員数については、既存会員の活性化を目的に、会員毎の購買履歴等の情報をもとにパーソナライズされた値引・ポイント施策を適宜実施したことにより、増加となりました。
(年間購入金額及び年間購入点数)
[表6]年間購入金額、年間購入点数の推移
(注) 1 集計期間は会計期間末日以前の直近1年間としております。
2 アクティブ会員1人当たりの指標となっております。
3「PayPayモール」の購入者は含んでおりません。
4 円単位となっております。
第4四半期連結会計期間において全体の年間購入金額が前年同期比で増加しておりますが、これは新規会員の獲得ペースが鈍化した結果、会員全体に占める既存会員の構成比が上昇したことが理由です。既存会員の年間購入金額が前年同期比及び前四半期比で減少している要因は、会員歴の浅い既存アクティブ会員の構成割合が上昇したことによるもの(会員歴の長さに応じて年間購入金額が高くなる傾向)です。
(平均商品単価等)
[表7]平均商品単価、平均出荷単価、出荷件数の推移
(注) 1 四半期会計期間の数値を使用しております。
2 円単位となっております。
3「PayPayモール」は含んでおりません。
平均商品単価につきましては、前年同期比で減少いたしました。タイムセールやZOZOWEEK等のセールイベントを積極的に行ったことにより、セール商材の売れ行きが好調であった一方で、暖冬等の影響を受けプロパー消費の伸び悩みもありセール比率が上昇したことが主な要因です。加えて、前第4四半期連結会計期間に前述した「ZOZOARIGATO」による大規模な当社負担の値引施策を行っていたため、同有料会員においては値引による恩恵を享受できることから、通常よりも高価格帯の商品を購入する傾向が見られていたことも影響しております。同様に平均出荷単価についても前年同期比で減少しております。
ZOZOTOWN事業(受託ショップ、買取ショップ及びZOZOUSED)の実績は以下のとおりです。
a. 受託ショップ
当連結会計年度の商品取扱高は308,888百万円(前年同期比4.7%増)、商品取扱高に占める割合は89.4%(前年同期実績91.1%)となりました。売上高(受託販売手数料)は87,312百万円(前年同期比5.6%増)となりました。2020年3月末現在、受託ショップは1,332ショップ(2019年12月末1,340ショップ)を運営しております。
b. 買取ショップ
当連結会計年度の商品取扱高は204百万円(前年同期比36.4%増)、商品取扱高に占める割合は0.1%(前年同期実績0.0%)となりました。売上高は200百万円(前年同期比34.4%増)となりました。2020年3月末現在、買取ショップでは5ショップ(2019年12月末5ショップ)を運営しております。
c. ZOZOUSED
当連結会計年度の商品取扱高は15,753百万円(前年同期比7.2%減)、商品取扱高に占める割合は4.6%(前年同期実績5.2%)となりました。売上高は15,004百万円(前年同期比8.4%減)となりました。
② PayPayモール
ヤフー㈱が運営するオンラインショッピングモール「PayPayモール」へZOZOTOWNを出店しております。当連結会計年度の商品取扱高は6,199百万円、商品取扱高に占める割合は1.8%となりました。売上高は1,774百万円となりました。
③ PB事業
PB事業では、ユーザー個人の体型に合わせた当社の自社企画アパレル商品を販売する事業を行っております。当連結会計年度の商品取扱高は1,255百万円(前年同期比54.6%減)、商品取扱高に占める割合は0.4%(前年同期実績0.9%)となりました。売上高は1,245百万円(前年同期比54.6%減)となりました。
④ MSP事業
MSP事業では、当社がPB事業で培った多サイズ展開のノウハウ・販売力、及びZOZOTOWN出店ショップの企画力を融合させることで、ユーザーが求める当該ショップ商品の一部についてマルチサイズ展開を行い、ZOZOTOWN上で販売を行う事業を行っております。ユーザーからは身長・体重情報を入力頂くことで、推奨サイズの商品提供が可能となります。当連結会計年度の商品取扱高は752百万円、商品取扱高に占める割合は0.2%となりました。売上高は749百万円となりました。
⑤ BtoB事業
BtoB事業では、ブランドの自社ECサイトの構築及び運営を受託しております。当連結会計年度の商品取扱高は12,032百万円(前年同期比33.5%増)、商品取扱高に占める割合は3.5%(前年同期実績2.8%)となりました。売上高(受託販売手数料)は2,365百万円(前年同期比15.0%増)となりました。2020年3月末現在、受託サイト数は50サイト(2019年12月末47サイト)となっております。
⑥ 広告事業
広告事業は、ZOZOTOWN及びWEARのユーザーリーチ基盤を活用し、取引先ブランドや広告代理業者に広告枠を提供し、広告収入を得る事業形態となります。当連結会計年度の売上高は2,716百万円(前年同期比90.4%増)となりました。WEARについては、今後は広告による収益化は縮小し、ユーザーの拡大及びコンテンツの拡充に注力してまいります。WEARの2020年3月末時点のアプリダウンロード数は1,400万ダウンロードを超えており、月間利用者数ともに堅調に推移しております。
⑦ その他
その他には、ZOZOTOWN事業に付随した事業の売上(送料収入、決済手数料収入、有料会員収入等)、連結子会社のその他売上高などが計上されております。当連結会計年度のその他売上高は14,148百万円(前年同期比9.0%増)となりました。
(単位:百万円)
(総資産)
総資産については、前連結会計年度末に比べ15,224百万円増加(前連結会計年度末比19.3%増)し、94,186百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べ12,525百万円増加(同21.6%増)し、70,429百万円となりました。主な増減要因としては、現金及び預金の増加12,042百万円、売掛金の増加4,142百万円、商品及び製品の減少2,869百万円、原材料及び貯蔵品の減少1,246百万円などによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ2,699百万円増加(同12.8%増)し、23,756百万円となりました。主な増減要因としては、建設仮勘定の増加2,770百万円、投資有価証券の減少1,820百万円などによるものであります。
(負債)
負債については、前連結会計年度末に比べ3,347百万円増加(前連結会計年度末比5.9%増)し、59,651百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べ3,881百万円増加(同7.4%増)し、56,126百万円となりました。主な増減要因としては、買掛金の減少1,633百万円、受託販売預り金の増加2,688百万円、未払金の増加815百万円、未払消費税等の増加1,830百万円などによるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ534百万円減少(同13.2%減)し、3,525百万円となりました。主な増減要因としては、事業整理損失引当金の減少812百万円、資産除去債務の増加469百万円などによるものであります。
(純資産)
純資産については、前連結会計年度末に比べ11,877百万円増加(前連結会計年度末比52.4%増)し、34,534百万円となりました。主な増減要因としては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加18,804百万円増加、剰余金の配当による減少6,716百万円などによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末から12,042百万円増加し、33,602百万円となりました。
当社グループは、自己資金及び金融機関からの借入等を資本の財源としております。また、当社グループの資金の流動性については、事業規模に応じた資金の適正額を維持することとしており、当社は運転資金の機動的かつ安定的な調達を可能とするため、取引銀行1行と貸越極度額20,000百万円の当座貸越契約を締結しております。
また、取引銀行2行と総額12,000百万円のシンジケートローン契約を締結しております。
当連結会計年度末における借入実行残高は、22,000百万円となっております。
各キャッシュ・フローの状況とその要因は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は24,789百万円となりました。主な増加要因としては、税金等調整前当期純利益26,113百万円の計上などによるものであります。一方、主な減少要因としては売上債権の増加額4,143百万円、法人税等の支払額7,727百万円があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は5,987百万円となりました。これは有形固定資産の取得による支出4,976百万円の計上に加え、敷金及び保証金の差入による支出798百万円があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は6,771百万円となりました。これは配当金の支払額6,711百万円などがあったことなどによるものであります。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
① 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、親会社株主に帰属する当期純損益額が変動する可能性があります。
② 退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に設定しています。割引率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウィルス感染症の拡大が深刻化し、国内消費活動の停滞がアパレル消費全体にも影響を及ぼす懸念がある一方で、外出自粛によりアパレル消費がECへ集中するポジティブな動きもあり、本報告書提出日現在において当社グループの業績にマイナスの影響は生じておりません。収束時期が不透明なため今後の動向について予断は難しいものの、新規顧客の獲得状況は現状良好であり、新型コロナウィルス感染症を契機としたデジタルシフトは今後アパレル消費のEC化率向上を促進させるものと考えられます。
そのため、新型コロナウィルス感染症により当社グループの翌連結会計年度以後の業績に与える影響は軽微、もしくはマイナスの影響は生じないものと仮定し、当連結会計年度の会計上の見積りを行っております。