(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は88,111,563千円となり、前連結会計年度末に比べ8,830,840千円増加いたしました。これは主に、中古分譲マンションへの投資を積極的に行った結果、販売用不動産が8,828,989千円増加したことによるものであります。固定資産は2,264,742千円となり、前連結会計年度末に比べ704,946千円増加いたしました。これは主に、投資有価証券が428,014千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は90,378,229千円となり、前連結会計年度末に比べ9,534,600千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は12,250,711千円となり、前連結会計年度末に比べ1,660,061千円増加いたしました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が696,188千円、未払法人税等が428,849千円、短期借入金が200,845千円増加したことによるものであります。固定負債は56,853,743千円となり、前連結会計年度末に比べ7,861,846千円増加いたしました。これは主に、長期借入金が8,010,291千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は69,104,454千円となり、前連結会計年度末に比べ9,521,907千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は21,273,774千円となり、前連結会計年度末に比べ12,692千円増加いたしました。これは主に、自己株式の取得3,258,296千円及び剰余金の配当687,535千円があるものの、親会社株主に帰属する当期純利益3,709,469千円によるものであります。
なお、2022年8月に自己株式3,550,044千円を消却したことに伴い資本剰余金等も減少しております。この自己株式の消却による純資産額の変動はありません。
この結果、自己資本比率は23.5%(前連結会計年度末は26.2%)となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度の経営成績は、売上高が48,211,850千円となり、前連結会計年度に比べ11,314,770千円(前年同期比30.7%増)の増加となりました。
営業費用については、売上原価が38,452,332千円となり、前連結会計年度に比べ9,006,007千円(同30.6%増)の増加、販売費及び一般管理費が3,661,221千円となり、前連結会計年度に比べ497,360千円(同15.7%増)の増加となりました。その結果、営業利益は6,098,297千円となり、前連結会計年度に比べ1,811,402千円(同42.3%増)の増加となりました。
営業外損益については、営業外収益が111,419千円となり、前連結会計年度に比べ14,988千円(同15.5%増)の増加、営業外費用が790,777千円となり、前連結会計年度に比べ95,452千円(同13.7%増)の増加となりました。その結果、経常利益は5,418,939千円となり、前連結会計年度に比べ1,730,937千円(同46.9%増)の増加となりました。
その結果、税金等調整前当期純利益は5,418,939千円となり、前連結会計年度に比べ1,884,275千円(同53.3%増)の増加となりました。
税金費用については、法人税、住民税及び事業税が1,721,675千円、法人税等調整額が△12,205千円の合計1,709,469千円となり、前連結会計年度に比べ576,847千円(同50.9%増)の増加となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3,709,469千円となり、前連結会計年度に比べ1,307,427千円(同54.4%増)の増加となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりであります。
(リノベマンション事業)
リノベマンション事業は、主として賃貸中の中古分譲マンション(左記を投資対象とするファンド等を含む)に対して投資を行い、ポートフォリオとして賃貸運用しながら、リノベーション等により不動産の価値を向上させて幅広い消費者層へ販売を行っております。
当連結会計年度は、積極的な物件購入を行い、保有物件数が増加したことから、賃貸売上は 3,995,830千円(同2.7%増)となりました。また、販売面においては、強い価格上昇局面の中、販売商品の商品力向上や供給量の増加に努めるとともに、リノベーションマンションへの底堅い需要の後押しを受け、1室あたりの利益に拘った販売戦略が奏功した結果、販売売上は 43,453,175千円(同35.3%増)、販売利益率は15.8%(同1.7ポイント増)と大幅に上昇いたしました。
この結果、売上高は47,449,005千円(同31.8%増)、営業利益は5,982,269千円(同40.7%増)となりました。なお、当連結会計年度の売上原価に含まれる販売用不動産評価損は、48,123千円となりました。
翌連結会計年度につきましては、多様化するニーズに応えるべく商品力の一層の向上へ努めるとともに、営業エリア深耕や子会社仲介機能拡充を行い、積極的な物件購入及び安定的な販売物件供給へ注力する計画であります。
(インベストメント事業)
インベストメント事業は、主として投資リターン獲得を目的に、不動産・事業会社・ファンド等(リノベマンション事業の投資対象となる不動産及びファンド等を除く)への投融資を行っております。
当連結会計年度は、新たに事業会社への出資を行っておりますが、売上高の計上はございません。一方、収益不動産への投資再開の検討に伴う人件費計上等により、営業損失は6,947千円(前連結会計年度は営業利益13,675千円)となりました。
翌連結会計年度につきましては、引続き収益不動産や成長企業等への投資機会を模索するとともに、投資先のバリューアップへ注力する計画であります。
(アドバイザリー事業)
アドバイザリー事業は、主として不動産の売買・賃貸仲介、賃貸・建物管理及び金融・不動産分野におけるコンサルティング等の「フィー(手数料)ビジネス」を行っております。
当連結会計年度は、当社グループが販売するリノベーションマンション物件の売買仲介業務が順調に推移したことに加え、投資家向けに行っている社外物件仲介に伴う手数料収入増加も寄与しました。
この結果、売上高は1,264,383千円(前年同期比3.9%増)、営業利益は 703,507千円(同19.0%増)となりました。
翌連結会計年度につきましては、引き続き、仲介業務の拡大、賃貸管理業務の収益性向上及び収益機会の多様化等に取組む計画であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、長期借入れによる収入32,286,490千円、税金等調整前当期純利益5,418,939千円等の資金増加要因があるものの、長期借入金の返済による支出23,580,011千円、販売用不動産の増加額8,828,989千円、自己株式の取得による支出3,258,296千円などの資金減少要因が生じたことから、前連結会計年度末に比べ1,760千円減少し、当連結会計年度末には3,110,459千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は4,593,392千円(前年同期比6.5%減)となりました。これは主に、販売用不動産の増加額8,828,989千円、法人税等の支払額1,457,552千円などの資金減少要因が、税金等調整前当期純利益5,418,939千円などの資金増加要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は309,860千円(前年同期比0.6%減)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出219,000千円、無形固定資産の取得による支出54,638千円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は4,901,492千円(前年同期比425.0%増)となりました。これは主に、長期借入れによる収入32,286,490千円、短期借入金の純増加額200,845千円などの資金増加要因が、長期借入金の返済による支出23,580,011千円、自己株式の取得による支出3,258,296千円、配当金の支払額687,535千円などの資金減少要因を上回ったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは、リノベマンション事業、インベストメント事業及びアドバイザリー事業を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
b. 受注実績
当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメント | 当連結会計年度 (自 2021年12月1日 至 2022年11月30日) | 前年同期比(%) |
リノベマンション事業(千円) | 47,449,005 | 31.8 |
インベストメント事業(千円) | - | - |
アドバイザリー事業(千円) | 762,845 | △12.4 |
合計(千円) | 48,211,850 | 30.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2020年12月1日 至 2021年11月30日) | 当連結会計年度 (自 2021年12月1日 至 2022年11月30日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
ベラトリクス合同会社 | 3,831,030 | 10.4 | - | - |
3.当連結会計年度において、販売実績に対する割合が10%を超える相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、リノベマンション事業へ経営資源を集中するとともに、積極的な物件購入・販売と財務基盤の強化を両立させ、堅実な成長の実現を目指してまいりました。その結果、当社グループ全体で売上高48,211,850千円(前年同期比30.7%増)、売上総利益9,759,518千円(同31.0%増)、営業利益6,098,297千円(同42.3%増)、経常利益5,418,939千円(同46.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,709,469千円(同54.4%増)と大幅な増収増益となり、2期連続で過去最高益を更新しました。
セグメント別の概況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要はリノベマンション事業を行うための事業用資産の仕入や運転資金等であり、効率的な資金の確保とともに適切な水準の流動性維持を目指しております。
資金需要に対しては、当社グループの内部資金及び金融機関からの借入れや社債発行により調達しております。資金の流動性確保に対しては、コミットメントライン契約及び当座貸越契約による銀行借入枠を設定しており、十分な流動性を確保しているものと考えております。
当連結会計年度末における有利子負債は65,334,905千円となりました。前連結会計年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響に留意しながら、適切なレバレッジ・コントロールにより自己資本比率の向上に努めてまいります。
④ 経営上の目標の達成状況
当連結会計年度における自己資本当期純利益率(ROE)は17.5%と前年同期比5.7ポイント上昇しました。一方で、自己資本比率は23.5%と同2.7ポイント低下しておりますが、積極的な物件購入に加え、大規模な自己株式取得(3,258,296千円)の実施によるものであり、やむを得ないものであると判断しております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、一部に将来の合理的な見積りが求められているものもあります。これらの見積りについては、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
なお、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、以下のとおりであります。
(販売用不動産の評価)
販売用不動産の評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。
繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が取り崩され税金費用が計上される可能性があります。