当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、当社グループは当連結会計年度(2022年3月1日から2023年2月28日まで)より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値をIFRSに組み替えて比較分析を行っております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
当連結会計年度におきましては、徹底した新型コロナウイルス感染対策とニューノーマルにおける需要への対応をグループ一丸となって推進してまいりました。具体的には、当社創立50周年に当たる2025年に向けて策定した「Challenge 2025」を実現すべく、2020年9月に立ち上げたローソングループ大変革実行委員会のもと、事業環境の変化に合わせ、国内コンビニエンスストア事業では店舗改装や商品刷新を行うとともに、ローソングループ全体で持続的な成長に向けた中長期課題の解決、新たな収益機会の獲得及び働きがいの向上などに取り組みました。また、2022年度は実行の年として「地域密着×個客・個店主義」を戦略コンセプトに掲げ、北海道、近畿で先行してエリアカンパニー制を導入しました。エリアカンパニーにおきましては、本社とエリアのそれぞれの役割と裁量を見直し、より現場への権限・裁量を付与して迅速な意思決定、仮説・検証サイクルの高速化に取り組みました。
これらの結果、当期の連結業績は、営業収益1兆3億85百万円(前期比6.1%増)、税引前当期利益471億34百万円(同42.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益297億8百万円(同31.3%増)となりました。
また、2022年度内部統制システムの整備の基本方針に基づき、当社グループ全体の内部統制の充実と事業リスクへの対応にも注力してまいりました。今後ともより一層、内部統制の充実を図ってまいります。
セグメントの業績は次のとおりです。
(国内コンビニエンスストア事業)
当期におきましては、2022年3月のまん延防止等重点措置の解除以降、新型コロナウイルスの感染拡大の波を繰り返しながらも人流は総じて増加傾向となりました。
事業環境が大きく変化する中、お客さまの生活スタイルの変化に対応し、冷凍食品や日用品などの日常使いの商品を拡充するとともに、よりお客さまの需要にお応えできるよう、個々の店舗の特性・状況に見合った店舗改装を進めてまいりました。当期に2,985店舗の改装を完了した結果、2023年2月末日現在の改装店舗は前年度からの累計で7,290店舗となりました。店舗改装と併せて進めていた店内調理サービス「まちかど厨房」の導入は、2023年2月末日現在9,191店舗に拡大しました。加えて、2022年5月からローソン店舗への「無印良品」の本格導入を開始し、2023年2月末日現在の導入店舗数は前年度の先行導入店を含め9,621店舗となりました。
営業面では、創立50周年を迎える2025年に向けて、2022年6月から「新・マチのほっとステーション」を実現するためのプロジェクト「ハッピー・ローソン・プロジェクト!(ハピろー!)」を開始し、すべてのお客さまから支持されるローソンを目指し、「圧倒的な美味しさ」「人への優しさ」「地球(マチ)への優しさ」の3つの約束を実現するための施策を推進しております。
ローソンならではのおいしくかつ健康を意識した商品の魅力を一層強化することに加えて、店舗における心のこもった接客の徹底をしております。また、食品ロスやプラスチック使用量及びCO2排出量の削減といった地球環境に配慮した取り組みを継続しております。
[店舗運営の状況]
店舗運営につきましては、引き続き3つの徹底(①心のこもった接客、②マチのニーズに合った品揃えの徹底、③お店とマチをきれいにする)の強化に努めてまいりました。お客さまの生活と価値観の変化に対応する商品の品揃えを拡充し、お客さまのニーズにお応えして売上向上に努めるとともに、店舗オペレーションの効率化や廃棄ロス・水道光熱費の抑制など、加盟店利益の向上に向けた取り組みを継続しております。
[商品及びサービスの状況]
お客さまの日常生活をサポートする取り組みとして、店舗改装とともに取り組んできた品揃えの拡充により冷凍食品やカウンターファストフード、店内調理サービス「まちかど厨房」などの売上が伸長しました。冷凍食品は、素材や惣菜などのストックニーズに対応した商品や冷凍デザートなどの新機軸のメニュー、カウンターファストフードは「からあげクン」の新フレーバーや「ソースin」シリーズ、たんぱく質の摂取を訴求した「たんチキ」などが好調に推移しました。「まちかど厨房」は、「海鮮かき揚げ丼」などの定番商品のほか、2022年10月以降に発売した惣菜やセパレートタイプの弁当が好調に推移しました。
また、定番商品の品揃え強化や販促施策により、米飯はおにぎりや「これが弁当」シリーズ、日配食品は惣菜が好調に推移しました。加えて、「生カスタードシュークリーム」「濃密カヌレ」などのデザートの新商品が売上に寄与しました。導入拡大中の「無印良品」の商品は、化粧品や焼菓子などが好調に推移しました。
「Uber Eats(ウーバーイーツ)」を含む4社のフードデリバリーサービスの導入店舗数は2023年2月末日現在で46都道府県の3,558店舗となりました。なお、「Uber Eats」では、OTC医薬品の取り扱いを17都道府県の91店舗で実施しております。
<国内コンビニエンスストア事業の商品別チェーン全店売上高>
[店舗開発の状況]
出店につきましては、収益性を重視した店舗開発を継続しております。
当期における「ローソン」「ナチュラルローソン」「ローソンストア100」の国内の出店数は228店舗、閉店数は253店舗となり、2023年2月末日現在の国内総店舗数は14,631店舗となりました*1。
高齢化や健康意識の高まりなどに対応したコンビニエンスストアモデル構築への取り組みとして、調剤薬局、ドラッグストアチェーンとの提携により、一般用医薬品や調剤薬品を取り扱うとともに、通常のローソンよりも化粧品、日用品などの品揃えを増やしたヘルスケア強化型店舗を継続して展開しております。このヘルスケア強化型店舗も含めた一般用医薬品の取扱店舗数は、2023年2月末日現在で298店舗(うち、調剤薬局併設型店舗数は51店舗)となりました。また、介護拠点併設型店舗数は、2023年2月末日現在で20店舗となりました。さらに、病院内コンビニエンスストアとして、コンビニエンスストアの標準的な商品やサービスに加え、医療衛生・介護関連用品などの品揃えを強化した「ホスピタルローソン」の展開は、2023年2月末日現在で345店舗となりました。引き続き、これまで培った病院内コンビニエンスストアのノウハウを生かし、病院に関わるあらゆる人々の生活をサポートしてまいります。
美しく健康で快適なライフスタイルを身近でサポートするお店として、お客さまに支持されている「ナチュラルローソン」は、体に優しい素材を使った食品や環境に配慮した洗剤や化粧品などを厳選し、「ナチュラルローソン」にしかないこだわりと価値のある商品を取り揃えております。また、「ローソンストア100」は、鮮度にこだわった安心・安全で良質な野菜や果物と日常生活に密着した商品を取り揃え、「献立応援コンビニ」として、毎日の食生活を応援しており、単身者・主婦を中心に、お子さまからご高齢の方まで幅広いお客さまにご利用いただいております。2023年2月末日現在で「ナチュラルローソン」の店舗数は131店舗、「ローソンストア100」の店舗数は661店舗となりました。
*1 出店数、閉店数、国内総店舗数には、当社の運営する店舗のほか、持分法適用会社である株式会社ローソン高知、株式会社ローソン南九州、株式会社ローソン沖縄の運営する店舗を含めております。
<国内店舗数の推移>
<国内地域別店舗分布状況(2023年2月28日現在)>
(注)上記表には、当社の運営する店舗のほか、持分法適用会社である株式会社ローソン高知、株式会社ローソン南九州、株式会社ローソン沖縄の運営する店舗を含めております。
これらの結果、国内コンビニエンスストア事業の営業収益は6,978億81百万円(前期比5.5%増)、セグメント利益は476億11百万円(同43.5%増)となりました。
(成城石井事業)
株式会社成城石井は経営理念「食にこだわり、豊かな社会を創造する。」のもと、こだわりのある独自性の高い食品をお客さまに提供しております。路面、駅ビル、商業施設などに、多様な店舗フォーマットを展開し、高い商品開発力を生かしたオリジナル商品、自家製商品などで「成城石井」ブランドをお客さまにお届けしております。2023年2月末日現在の株式会社成城石井の直営店舗数は175店舗となりました。上期は前年同期のコロナ禍における巣ごもり需要の取り込みの反動により、路面大型店を中心に青果・精肉・鮮魚などの生鮮食品やグロサリー、菓子の売上が伸び悩みましたが、下期は各種施策の展開や広報活動の強化などにより、自社のセントラルキッチンで製造している自家製惣菜を中心に売上が堅調に推移しました。2022年7月には新たなセントラルキッチンの操業開始により製造能力が従前の約2倍となり、自家製商品の開発強化や自社製造比率の向上に取り組んでおります。なお、株式会社成城石井は、2022年9月9日に行った東京証券取引所への株式上場申請につきまして、株式市場の動向などを総合的に勘案した結果、2022年12月16日に上場申請を取り下げました。今後も、情報発信型製造小売業として、価値ある商品の持続的な開発や、魅力ある販促・広報活動を推進し、株式会社成城石井のブランド力の向上に努めてまいります。
これらの結果、成城石井事業の営業収益は1,101億46百万円(前期比0.5%増)、セグメント利益は127億98百万円(同0.4%減)となりました。
(エンタテインメント関連事業)
株式会社ローソンエンタテインメントにつきましては、チケット事業におきまして、3年ぶりの行動制限のない状況の中、コンサートなどの開催が活況となりました。このような状況下で需要を取り込むべく、各ジャンルで案件獲得に注力した結果、通期でチケットの取扱高はコロナ禍前の2019年度を上回る水準に回復しました。また、音楽・映像ソフトの専門店「HMV」などの店舗における物販事業も、前期比で伸長しました。一方、EC事業は巣ごもり需要の一巡により売上は減少しましたが、エンタメグッズ・コスメなど商材領域の拡大に取り組んでおります。なお、「HMV」を中心に、書籍・CD・DVDなどを販売する複合店「HMV&BOOKS」やレコード専門店「HMV record shop」を含め、2023年2月末日現在の店舗数は55店舗となりました。
シネコン事業を行うユナイテッド・シネマ株式会社につきましては、通期で動員客数が増加しました。会員へのクーポン配布をはじめとした集客施策やデジタル広告の販売などを強化したことにより売上が増加しました。2023年2月末日現在、全国44劇場、399スクリーンを展開しております。
これらの結果、エンタテインメント関連事業の営業収益は721億67百万円(前期比19.5%増)、セグメント利益は48億58百万円(同81.0%増)となりました。
(金融関連事業)
金融関連事業につきましては、株式会社ローソン銀行のATMネットワークやATMの基盤を活用した新しいサービスの拡充に努めてまいりました。2023年2月末日現在、全国のATM設置台数は13,519台、1日1台当たりのATM平均利用件数は52.6件、提携金融機関数は全国で384金融機関となりました。また「スマホATM(QR入出金)*2」の提携先は7社、「即時口座決済サービス*3」の提携先は23社(金融機関18行、サービス事業者5社)、海外送金専用カードの提携先は7社となりました。現金を入出金する従来の需要に加え、キャッシュレス決済サービスへのチャージ取引などがATM利用件数の増加に寄与しております。
株式会社ローソン銀行が発行するクレジットカード「ローソンPontaプラス」につきましては、各種キャンペーンの実施やローソン店頭での獲得を強化することにより、会員数の拡大に継続して取り組んでおります。
*2 スマートフォンのアプリを用いてATMでカードを使わずに入出金、カードローンの借入れ、返済ができるサービスです。
「スマホATM」は株式会社セブン銀行の登録商標です。
*3 ATMネットワークを活用して金融機関口座からスマートフォンなどの決済アプリにチャージできるサービスです。
これらの結果、金融関連事業の営業収益は344億86百万円(前期比2.6%増)、セグメント利益は38億48百万円(同30.4%増)となりました。
(海外事業)
海外事業につきましては、中国、タイ、インドネシア、フィリピン、米国ハワイ州におきまして、各地域の運営会社が「ローソン」店舗を展開しております。
中国につきましては、2023年2月末日現在の店舗数が5,620店舗と前期末比で1,060店舗の純増となりました。当社子会社による出店に加え、各都市における地場小売企業とのメガフランチャイズ契約による出店や、パートナー企業が本部機能を持ち指定エリアにおける運営開発全般を担うエリアライセンス契約による出店などを進め、出店エリアと店舗数の拡大を加速しており、2022年7月に店舗数は日系コンビニエンスストアとして初めて5,000店舗を超えました。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて2022年4月以降、中国全土で大規模な行動規制が実施され、上海市全域でのロックダウンにより華東地区では約半数の店舗が休業になるなどの影響を受けました。2022年6月のロックダウン解除後にはほぼ全店で営業を再開できたものの、その後も各地域で行動規制及び行動自粛が断続的に続きました。また2022年12月初旬にゼロコロナ政策が緩和された後は店舗従業員の陽性者が増加し、休業・時短営業を余儀なくされる店舗が発生するなど、一年を通して厳しい事業環境となりました。一方で感染のピークが過ぎた都市から順に人流も回復しており、休業・時短営業店舗数も減少し、日販も回復傾向となりました。今後も当社の強みである米飯、デザートなど高品質なオリジナル商品を提供し、中国におけるローソンブランドの価値を高めるとともに、デリバリー事業を強化するなど、収益拡大に取り組んでまいります。
中国以外の地域につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響からは回復傾向にあり、休業や時短営業を実施していた店舗もほぼ全店で通常営業を再開しております。店舗出店加速の体制も整いつつあり、今後もお客さまの暮らしを支える最も身近な店舗として営業し、更なる収益拡大に取り組んでまいります。
[海外地域別ローソンブランド店舗分布状況]
これらの結果、海外事業の営業収益は949億59百万円(前期比7.2%増)、セグメント損失は49億99百万円(前期はセグメント利益7億8百万円)となりました。
販売の実績は、次のとおりであります。
当社グループは、国内コンビニエンスストア事業を主な事業内容とし、成城石井事業、エンタテインメント関連事業、金融関連事業及び海外事業等を営んでおります。
下記販売の実績は、国内コンビニエンスストア事業に係るものであります。
a 商品別売上状況(直営店)
(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。
b 商品別売上状況(加盟店)
(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。
c 国内コンビニエンスストア事業 グループ全店売上高
(注) 1.上記金額には消費税等は含まれておりません。
2.グループ会社は、株式会社ローソン高知、株式会社ローソン南九州及び株式会社ローソン沖縄の運営する店舗の売上高を合計しております。
3.チケット等取扱高は、当社グループの運営する国内のコンビニエンスストア事業全て(当社及びグループ会社を含む)の取扱高を合計しております。
当連結会計年度末の資産の状況につきまして、流動資産は、前連結会計年度末と比べ319億60百万円増加し、6,798億39百万円となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権が302億43百万円増加したことによるものです。非流動資産は、前連結会計年度末と比べ656億82百万円増加し、1兆5,625億82百万円となりました。これは主に、使用権資産が547億73百万円増加、有形固定資産が95億77百万円増加したことによるものです。この結果、総資産は前連結会計年度末と比べ976億42百万円増加し、2兆2,424億21百万円となりました。
当連結会計年度末の負債の状況につきまして、流動負債は、前連結会計年度末と比べ1,051億77百万円増加し、9,052億79百万円となりました。これは主に、預り金が287億38百万円増加、その他の金融負債が266億18百万円増加、借入金が255億5百万円増加、営業債務及びその他の債務が181億96百万円増加したことによるものです。非流動負債は、前連結会計年度末と比べ256億98百万円減少し、1兆832億84百万円となりました。これは主に、借入金が799億84百万円減少、リース負債が542億73百万円増加したことによるものです。この結果、負債合計は前連結会計年度末と比べ794億78百万円増加し、1兆9,885億63百万円となりました。
当連結会計年度末の資本の状況につきまして、前連結会計年度末と比べ181億64百万円増加し、2,538億58百万円となりました。これは主に、利益剰余金が158億17百万円増加したことによるものです。この結果、自己資本比率は11.1%(前連結会計年度末は10.8%)となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ65億26百万円増加し、3,995億23百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に預り金の増減額、銀行業におけるコールマネーの純増減の増減影響などにより、前連結会計年度と比べ339億17百万円増加し、3,096億99百万円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資の売却、償還による収入の減少、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の減少、投資の取得による支出の減少、無形資産の取得の支出の増加などにより、前連結会計年度と比べ44億60百万円支出が減少し、△517億25百万円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入れによる収入の減少、借入金の返済による支出の減少、リース負債返済による支出の増加などにより、前連結会計年度と比べ209億21百万円支出が増加し、△2,525億48百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性は、新規出店、既存店舗の改装及び新規ビジネスの他、配当金の支払等に資金を充当しております。
運転資金と投資資金については営業キャッシュフローでの充当を基本とし、必要に応じて資金調達を実施しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、連結財務諸表の作成に用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 及び 4.重要な会計上の判断及び見積り」に記載しております。
(サステナビリティに関する考え方及び取り組み)
当社はグループ理念「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」に基づき、当社の事業活動を通じて持続可能な社会の実現を目指すため、2019年3月1日付でSDGs委員会を設置しました。同委員会を核に、すべての事業活動において社会課題の解決につながる取り組みを進めております。さらに、2021年3月1日に、CSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー:最高サステナビリティ責任者)に代表取締役社長が就任し、取り組みを一層強化しております。
具体的には、当社のバリューチェーンを含めた事業活動において環境・社会・経済に対する影響が大きい課題から優先すべき社会課題を「6つの重点課題」として整理して取り組みを進めております。
<6つの重点課題>
1.安全・安心と社会・環境に配慮した圧倒的な高付加価値商品・サービスの提供
2.商品や店舗を通じてすべての人の健康増進を支援
3.働きやすく、働きがいのある環境の提供
4.子どもの成長と女性・高齢者の活躍への支援
5.社会インフラの提供による地域社会との共生
6.脱炭素社会への持続可能な環境保全活動
環境への取り組みは、2019年に環境ビジョン「Lawson Blue Challenge 2050!~“青い地球”を維持するために!~」を策定し、①CO2排出量削減、②食品ロス削減、③プラスチック使用量削減(容器包装、レジ袋)の3つに関して重点的に取り組みを進めております。また、気候変動問題に対応するため、「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」に基づき、気候に関連するリスクと機会を分析し、当社の事業活動及び財務への影響に関する開示を進めております。
■環境面に関わる目標(KPI)
社会への取り組みは、人権尊重・ダイバーシティ(多様性)の推進・健康経営の推進・社会貢献活動などを推進しております。
・人権尊重
グループ理念「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」の実現に向け、2021年6月に制定した人権に関する最上位の基本方針「ローソングループ人権方針」のもと、サプライチェーン含め当社グループに関わる人々の人権尊重を重視しております。2022年5月には、国際社会において持続的な成長を実現するための世界的な取り組みである「国連グローバル・コンパクト」に署名しました。当社は国際連合「ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際規範を支持・尊重しながら、人権方針に基づき、事業活動のあらゆる場面において人権を尊重し、事業活動に関わるすべての人々と信頼関係を築き、人権尊重の取り組みを進めてまいります。
・ダイバーシティの推進
多様な価値観をもった社員が集い、全社員が最大限の力を発揮してさらに強いチェーンをつくっていくことを目指し、ダイバーシティ&インクルージョンを推進しております。社員の採用にあたっては、性別・国籍・年齢・学歴・出身などを問わず、一人ひとりの適性と意欲・能力を重視していることに加え、定期採用は2005年から男女比率50%を目標とし、2008年から外国籍社員の積極採用に継続して取り組んでおります。また、2030年度に女性管理職を30%にすることを目標とし、部長職を対象とした経営層による次世代リーダー育成において、女性幹部候補の育成にも取り組んでおります。
■女性の活躍状況に関するデータ
(注)執行役員人数は執行役員・理事執行役員の合計、役員人数は取締役・監査役の合計です。
・健康経営の推進
お客さまの健康生活全般をサポートする企業として、2013年に「健康宣言」を発信しました。社長が健康ステーション推進委員会委員長を務め、健康経営推進体制を整えて社内及びお客さまに向けた健康の取り組みや、健康経営を強化・牽引しております。
・社会貢献活動
マチ(地域社会)の一員として、「子どもたちの未来のために」というコンセプトのもと、さまざまな社会貢献活動に取り組んでおります。「ひとり親家庭支援奨学金制度」では、2017年度から2022年度まで、毎年奨学生400名に対して返還不要の奨学金を給付し、子どもたちの夢を応援しております。
なお、2022年に実施したサステナビリティに関する主な取り組みは、以下のとおりです。
・2022年11月に、持続可能な社会の実現に向けて、お客さま・マチと一緒に創るサステナブルな近未来型店舗「グリーンローソン」を東京都豊島区にオープンしました。「グリーンローソン」は、CO2排出量削減や食品ロス削減、プラスチック使用量削減などの環境負荷軽減や、アバターによる制約のない働き方の実現、DX活用で創出するお客さまとの温かいコミュニケーションなど、20を超えるサステナブルな施策を集約しております。これら施策を検証したうえで、それぞれの施策を全国の最適な店舗に導入していく予定です。
・2022年11月に、電気使用量及びCO2排出量削減を目指す実証実験店舗を神奈川県川崎市にオープンしました。店内約8割の冷蔵・冷凍ショーケースへのガラス及びアクリル扉設置や太陽光パネルの設置などにより、2013年度対比で電気使用量を40%、CO2排出量を55%削減することを目指します。今後は同様の店舗を他の地域にも出店し、2024年2月まで検証を行ったうえで、2024年3月以降の新店や既存店改装への標準化を目指します。
・食品ロス削減の取り組みにおいて、2022年度から販売許容日(時間)*4の切れた商品の有効活用として、クックパッドマート*5を活用した値引き販売(一部のデザート)や、急速冷凍機を活用した子ども食堂への寄贈(一部のファストフーズ)の実証実験を実施するなど新たな手法による食品ロス削減に挑戦しております。また、店舗への納品期限の切れたオリジナルのお菓子や加工食品などを定期的に一般社団法人全国フードバンク推進協議会や一般社団法人こども宅食応援団などに寄贈する取り組みを続けております。2022年度は約135万個(約126トン)*6を寄贈しました。
*4 ローソンとして販売できる日数(時間)の限度を定めたもので、メーカーの示す消費期限や賞味期限とは異なります。
*5 クックパッド株式会社が提供する生鮮食品ECプラットフォームです。
*6 取引先の協力を含む実績です。
・プラスチック使用量削減の取り組みとして、弁当・調理麺などの容器への紙容器の採用や、薄肉化、環境配慮素材の使用などに加え、2022年4月施行のプラスチック資源循環促進法に対応し、持ち手部分に穴を開けるなど軽量化したプラスチック製スプーンなどを導入しました。
・ダイバーシティの推進として、2022年8月から全国のローソン店舗で、レジ袋、カトラリー及びレンジでの温めの有無を指差しで確認できる「指差しシート」をレジカウンターに貼付し、聴覚に障がいのある方などがお買い物される際に簡易にコミュニケーションがとれる環境を整えました。全国の自治体やお客さまからのご要望に応じ、「指差しシート」のデータを一般公開しております。また、障がい者の活躍支援において、障がいのあるアーティストの絵を活用した取り組みとして、2022年8月発行のSDGsハンドブック(表紙)、11月開始のトイレ啓発ステッカー、12月の国際障がい者デーに合わせてポストカードやティッシュボックスの販売を行いました。
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりであります。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
また、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、百万円未満を切り捨てて記載しています。
前連結会計年度(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)
当連結会計年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
前連結会計年度(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
(会計方針の変更)
(収益認識に関する会計基準等の適用)
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し、約束した財又はサービスの支配が顧客に移転した時点で、当該財又はサービスと交換に受け取ると見込まれる金額で収益を認識することとしております。
これによる主な変更点は、以下のとおりです。
① 子会社の販売取引に係る収益認識
国内コンビニエンスストア事業に属する当社の子会社である株式会社SCIの商品販売取引について、従来、純額で収益を計上しておりましたが、顧客への販売取引における役割(本人又は代理人)を判断した結果、総額で収益と原価を計上する方法に変更しております。
② 顧客に支払われる対価に係る収益認識
従来、販売手数料、広告宣伝費等の販売費及び一般管理費として計上しておりました販売促進費用等の支払について、顧客に支払われる対価に該当する取引については収益から控除する方法に変更しております。
③ 顧客から収受するITシステムに係る収益認識
顧客から収受するITシステム利用料やデータ提供料等について、従来、販売費及び一般管理費から控除しておりましたが、顧客との契約に基づく取引については収益として計上する方法に変更しております。
④ 子会社が運営するポイントプログラムに係る収益認識
エンタテインメント関連事業に属する当社の子会社であるユナイテッド・シネマ株式会社が発行する自社ポイントプログラムについて、従来、顧客へのサービス提供時に総額を収益として計上しておりましたが、そのうちサービス提供時に付与したポイントは追加のサービスを将来購入できるオプションとして、別個の履行義務として認識する方法に変更しております。その結果、ポイントに対して配分された取引価格は、ポイント付与時点で契約負債として認識し、ポイントと交換されるサービス提供時に収益を計上する方法に変更しております。取引価格は独立販売価格の比率に基づき配分しております。また、本ポイントプログラムの会費収入について、従来、会費受領時に一括して収益計上していましたが、経過期間に応じて収益計上する方法に変更しております。
収益認識会計基準の適用については、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用しております。
この結果、従前の会計方針と比べて、当連結会計年度の連結貸借対照表は、売掛金は29,568百万円増加し、未収入金は同額減少し、買掛金は32,123百万円増加し、未払金は同額減少しております。当連結会計年度の連結損益計算書は、売上高及び営業収入は232,971百万円増加し、売上原価は264,400百万円増加し、販売費及び一般管理費は31,441百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益がそれぞれ12百万円増加しております。また、利益剰余金の当期首残高は723百万円減少しております。
連結貸借対照表に係る勘定科目振替はキャッシュ・フローを伴わない変動であることから、連結キャッシュ・フロー計算書はその影響を控除して作成しております。科目振替により、当連結会計年度の売掛金は26,359百万円増加し、未収入金は同額減少し、買掛金は29,430百万円増加し、未払金は同額減少しております。
なお、収益認識会計基準第89-2項に定める経過的な取扱いに従って、前連結会計年度について新たな表示方法により組替えを行っておりません。さらに、収益認識会計基準第89-3項に定める経過的な取扱いに従って、前連結会計年度に係る顧客との契約から生じる収益を分解した情報を記載しておりません。
(時価の算定に関する会計基準等の適用)
「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号 2019年7月4日。以下「時価算定会計基準」とい
う。)等を当連結会計年度の期首から適用し、時価算定会計基準第19項及び「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号 2019年7月4日)第44-2項に定める経過的な取扱いに従って、時価算定会計基準等が定める新たな会計方針を、将来にわたって適用することとしております。なお、連結財務諸表に与える影響はありません。
前連結会計年度(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「41.初度適用」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
(のれんの償却)
日本基準において、のれんはその効果の及ぶ期間を見積り、その期間で償却しておりましたが、IFRSでは、のれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが求められております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が4,491百万円減少しております。
(退職給付に係る費用)
日本基準において、数理計算上の差異は、発生時にその他の包括利益で認識し、従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数で償却しておりましたが、IFRSにおいては、数理計算上の差異等の確定給付制度の再測定をその他の包括利益で認識し、直ちに利益剰余金に振り替えることが求められております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が192百万円減少し、その他の包括利益が35百万円減少しております。
(リース)
日本基準において、借手のリースはファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類し、オペレーティング・リースについては通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行っておりました。IFRSでは借手のリースについて当該分類を行わず、短期リース及び原資産が少額であるリースを除くすべてのリースについて使用権資産及びリース負債を認識することが求められております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、使用権資産が941,539百万円増加しております。