当連結会計年度における当社グループの財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容は次のとおりであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度(2019年6月1日~2020年5月31日)におけるわが国経済は、企業収益の改善を背景に、緩やかな回復基調で推移していたものの、消費税の増税に伴う個人消費の落ち込みなどにより、景気後退感が強まりました。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、あらゆる経済活動が抑制され、急速に減速いたしました。現在も世界的な感染拡大の終息の見通しが明確にたたないことから、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループの主たる事業領域である国内インターネット広告市場につきましては、堅調な伸びが続いており、2019年のインターネット広告費は2兆1,048億円(前年対比19.7%増)となり、テレビメディアの1兆8,612億円を上回りました(株式会社電通「2019年日本の広告費」)。
また、インバウンド市場においては、日韓関係の悪化を受け、韓国からの訪日客数が大幅に減少したものの、ラグビーワールドカップ2019日本大会開催による欧米豪等からの訪日客が増加したことに加え、東南アジアからの訪日客は好調を維持したことで、2019年の訪日外国人旅行者数は、前年対比2.2%増の3,188万人となりました(日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数」)。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響で訪日外国人の旅行キャンセルが相次いだことにより、2020年1月から5月までの訪日外国人旅行者数は、前年対比71.3%減の394万4千人となりました(日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数」)。世界的大流行の懸念に起因する経済活動の萎縮ムードにより、インバウンド業界だけではなく、世界的な経済リスクの懸念が生じております。
このような状況の中、当社グループは収益力の安定と拡大を最優先課題とし、「マーケティング事業における多言語・海外向けサービスの収益拡大」、「新たなビジネスモデルの創出」、そして、「人材採用・育成・組織体制の強化」に注力し、当社が持つ多言語マーケティングのノウハウと、海外法人とのネットワークを活用した付加価値の高いサービスを提供することで、幅広い需要を取り込むべく事業を推進してまいりました。
また、保有する投資有価証券について、簿価に比べて実質価値が著しく下落しているものについて評価した結果、減損処理による投資有価証券評価損を特別損失として計上いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,927,915千円(前年同期比2.6%増)、営業損失は10,912千円(前年同期は営業利益343千円)、経常損失は7,705千円(前年同期は経常利益25,820千円)、特別損益の部におきましては、特別損失として事務所移転費用及び、減損損失など36,589千円を計上しましたので、親会社株主に帰属する当期純損失48,075千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益22,523千円)となりました。
セグメント別の業績は、次の通りであります。
a. マーケティング事業
マーケティング事業は、SEO(検索エンジン最適化)、PPC(検索連動型広告)、ソーシャルメディア、スマートフォン広告などの企業のマーケティング活動を支援する各種サービスを日本語及び、多言語で国内外の企業に提供しております。
アジア圏における旺盛な日本旅行需要を背景に、成長分野である多言語(日本語以外の言語)プロモーション領域において、官公庁・自治体関連の入札案件への参加及び、セールスプロモーションの強化など、新規営業に注力してまいりました。
また、当社及び海外法人の経営資源(人・情報)を連携し、相互に有効活用したことで、付加価値の高いサービスを提供することができ、幅広い需要を取り込むことができました。
当連結会計年度においては、例年以上にクライアントの決算月である3月に売上及び利益が集中したため、第4四半期に売上及び利益が増加したものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、一部、インバウンド関連の広告出稿停止が発生しました。
以上の結果、当事業における売上高は1,909,825千円(前年同期比7.5%増)、セグメント利益は197,429千円(前年同期比24.5%増)となりました。
b. アセット事業
アセット事業は、当社グループの海外進出の経験により蓄積した知見を活かし、企業用のオフィスや海外出向者向けのコンドミニアムなどインフラ提供や海外不動産の販売及び仲介を行っております。
前連結会計年度においては、フィリピンの連結子会社が保有する販売用不動産の売却及び、顧客保有物件の転売が売上拡大に寄与しました。当連結会計年度においては、フィリピン国内の物件価格が値上がり基調であり、また、フィリピンペソが円高で推移していたため、物件の販売や転売にとって難しい状況下でのセールス活動が続き、その結果、前年対比で売上及び利益はマイナスで推移しました。
以上の結果、当事業における売上高は18,089千円(前年同期比82.5%減)、セグメント損失は35,731千円(前年同期はセグメント利益7,226千円)となりました。
生産、受注、販売及び仕入の実績は、次の通りであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 主な相手先別の販売実績及び販売実績に対する割合
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループの財政方針は、事業活動のための安定的な資金の確保を基本方針としております。
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて16.5%減少し、807,873千円となりました。これは、主に現金及び預金の減少によるものであります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度末に比べて4.0%増加し、282,866千円となりました。これは、主にその他(投資その他)の増加によるものであります。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて16.2%減少し、276,226千円となりました。これは、主に買掛金の減少によるものであります。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度末に比べて27.0%減少し、110,407千円となりました。これは、主に長期借入金の減少によるものであります。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて7.1%減少し、704,105千円となりました。これは、主に利益剰余金の減少によるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び流動性に係る情報
① 現金及び現金同等物
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は前連結会計年度末に比べて85,496千円減少し、523,130千円となりました。
② 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、獲得した資金は、6,865千円(前連結会計年度は54,438千円の獲得)となりました。これは主に、売上債権の減少77,141千円によるものであります
③ 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、使用した資金は、42,986千円(前連結会計年度は56,708千円の使用)となりました。これは主に、長期前払費用の取得による支出35,252千円によるものであります。
④ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、使用した資金は、46,462千円(前連結会計年度は167,649千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出46,039千円によるものであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは自己資金及び金融機関からの借入等を資本の財源としております。また、当社グループの資金の流動性については、事業規模に応じた資金の適正額を維持することとしており、当社は運転資金の流動的かつ安定的な調達を可能とするため、取引銀行1行と貸越極度額100,000千円の当座貸越契約を締結しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。