3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が続いており、企業収益の大幅な減少が続いている状況にあります。政府の各種政策による効果を背景に、緩やかな回復の兆しも見られましたが、2021年1月に再び緊急事態宣言が発出されるなど、依然として先行きは不透明な状況にあります。

当社が属するインターネット広告市場においては、2020年のインターネット広告費は2兆2,290億円(前年比5.9%増)とその他の媒体が新型コロナウイルス感染症の影響を受け、前年比で減少している中で成長を続けており、運用型広告に関してはインターネット広告媒体費全体の8割超えの1兆4,558億円となりました(株式会社電通「2020年 日本の広告費」)。また、当社が注力してまいりましたインターネットを活用した求人広告市場につきましては、2020年度平均の有効求人倍率は1.10倍、2021年3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.10倍となり、前年同期比でそれぞれ0.45ポイント、0.29ポイント下降(厚生労働省「一般職業紹介状況(2021年3月分及び2020年度分)について」)、2021年3月の求人メディア全体の求人広告件数は88万6千件となり、直近では徐々に回復傾向にはあるものの、前年同期比で40.3%減少となりました。

このような事業環境の下、当社は、運用型求人広告プラットフォーム『HR Ads Platform』の構築、『pinpoint及びその他運用型広告』に関しては「データの優位性」、「運用ノウハウ」および「求人原稿数」の3点に注目して更なる伸長を目指しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、各サービスともに前年比で低調な結果となりました。2020年10月に運用型求人広告プラットフォーム『HR Ads Platform』をリリースし、順次、連携求人メディアの拡大を行ってまいりました。一方で『ガクバアルバイト』に関しては、慎重に検討した結果、「掲載型広告」から「運用型広告」への転換と集中を図るため、2021年4月末をもってサービスを終了することとなりました。

その結果、『らくらく連絡網』の2021年3月末時点の会員数は695万人(前年同期比0.5%増)、アプリ会員数は238万人(前年同期比12.3%増)、有効団体数は39万団体(前年同期比0.1%増)、『ガクバアルバイト』の当事業年度における新規登録者数は7万人(前年同四半期比56.8%減)、『らくらくアルバイト』の2021年3月末時点の会員数は178万人(前年同期比5.9%増)、『ジョブオレ』の2021年3月末時点の求人原稿数は72千件(前年同期比157.8%増)となっております。

以上の結果、当事業年度の売上高は1,439,034千円(前年同期比22.0%減)、営業損失は295,204千円(前年同期は26,681千円の営業利益)、経常損失は274,063千円(前年同期は26,328千円の経常利益)となりました。

また、2021年5月14日に発表しました「2021年3月期通期業績予想と実績値の差異、固定資産の減損損失及び繰延税金資産の取崩しに関するお知らせ」のとおり、減損損失297,471千円及び法人税等調整額57,153千円を計上いたしましたので当期純損失は630,978千円(前年同期は937千円の当期純利益)となりました。

なお、当社は、インターネットメディア関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は前事業年度末に比べ281,481千円減少し、421,012千円(前年同期比40.1%減)となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により使用した資金は249,866千円(前年同期は190,502千円獲得)となりました。これは主に、税引前当期純損失571,534千円、売上債権の増加額74,880千円、仕入債務の減少額12,849千円及び未払消費税等の減少額12,129千円があったものの、減価償却費121,456千円、減損損失297,471千円があったこと等によるものです。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は39,588千円(前年同期比70.9%減)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入100,008千円があったものの、無形固定資産の取得による支出139,072千円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により獲得した資金は7,973千円(前年同期は13,207千円使用)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入7,973千円があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当社の主たる事業は、インターネットを利用したサービスの提供であり、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b. 受注実績

受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c. 販売実績

当事業年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。

なお、当社は単一セグメントでありセグメント情報を記載していないため、サービス別に記載しております。

 

サービスの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

らくらく連絡網

102,419

△9.1

ガクバアルバイト

60,716

△67.5

らくらくアルバイト

68,186

△34.9

pinpoint及びその他運用型広告

1,128,039

△10.8

その他

79,671

△54.4

合計

1,439,034

△22.0

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.2022年3月期より、「第1 企業の概況 3 事業内容」に記載のとおり、『データマネジメント事業』、『HRテクノロジー事業』及び『その他』へ整理いたします。この区分に組み替えた場合の金額は、データマネジメント事業は700,686千円、HRテクノロジー事業は601,815千円、その他は136,532千円であります。

3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社リクルート

274,091

14.9

 

(注)当事業年度の株式会社リクルートに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績

(売上高)

売上高は、前事業年度より405,064千円(22.0%)減少し、1,439,034千円となりました。これは主に、第3四半期及び第4四半期では運用型広告の当社運用力を背景に他社からの乗り換えやコロナ禍の影響を受けにくい顧客群の強化を行い、前事業年度並みに回復してきたものの、第1四半期及び第2四半期における新型コロナウイルス感染症の影響による営業活動の制約、各企業での新卒採用人数の抑制、広告宣伝費抑制及び採用一時見送り等のマイナス要因となり、前事業年度を下回り減収となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は、前事業年度より62,228千円(5.6%)減少し、1,040,232千円となり、売上原価率は12.5ポイント増加して72.3%となりました。これは主に、『らくらく連絡網.app』及び『HR Ads Platform』のリリースにより減価償却費が21,024千円増加、労務費が14,317千円増加したものの、売上高減少に伴って仕入高が145,839千円減少したこと等によるものであります。

以上の結果、売上総利益は、前事業年度より342,835千円(46.2%)減少し、398,802千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ20,949千円(2.9%)減少し、694,007千円となり、売上に対する販売費及び一般管理費の比率は、9.5ポイント増加して、48.2%となりました。これは主に、人件費が20,622千円増加、販売手数料が20,234千円増加したものの、広告宣伝費が38,497千円、外注費が15,262千円、採用関連費が6,663千円減少したこと等によるものであります。

以上の結果、営業利益は前事業年度より321,886千円減少し、295,204千円の営業損失(前事業年度は26,681千円の営業利益)となりました。

 

(営業外損益)

営業外損益は、前事業年度の352千円の費用(純額)から21,141千円の収入(純額)となりました。これは主として、助成金収入21,110千円を計上したことによるものであります。

以上の結果、経常利益は前事業年度より300,392千円減少し、274,063千円の経常損失(前事業年度は26,328千円の経常利益)となりました。

 

(特別損益)

特別利益は、前事業年度及び当事業年度ともに計上がありませんでした。特別損失は、前事業年度は計上がありませんでしたが、当事業年度においては、減損損失297,471千円の計上がありました。

 

(法人税等合計)

法人税等合計は、前事業年度に比べ34,052千円(134.1%)増加して、59,443千円となりました。これは主として、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みて、2022年3月期以降の課税所得を保守的に検討した結果、繰延税金資産を全額取崩ししたため、法人税調整額57,153千円を計上したことによるものであります。

以上の結果、当期損益は、前事業年度より631,915千円減少し、630,978千円の当期純損失(前事業年度は937千円の当期純利益)となりました。

 

b. 財政状態

(資産)

当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて661,876千円(46.3%)減少し766,480千円となりました。これは主として、売掛金が75,648千円増加したものの、現金及び預金が381,489千円減少、ソフトウエアが175,970千円減少、ソフトウエア仮勘定が117,616千円減少、繰延税金資産が57,153千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債は、前事業年度末に比べて46,869千円(17.1%)減少し、227,954千円となりました。これは主として、買掛金が12,849千円減少、未払金が16,435千円減少、未払消費税等が12,129千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べて615,007千円(53.3%)減少し、538,526千円となりました。これは、資本金が7,985千円増加、資本準備金が7,985千円増加したものの、当期純損失の計上に伴い利益剰余金が630,978千円減少したことによるものであります。

 

c. キャッシュ・フロー

当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

d. 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、媒体仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、サーバー等の設備投資、サービス開発に係る労務費、外注費等によるものであります。必要資金については原則として手許資金で賄っておりますが、金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、その当座貸越極度額は150,000千円であります。
当社は、財務基盤を強化するとともに、成長のための投資資金の確保を実現するため、財務の健全性や資本効率等当社にとって最適な資本構成を追求しながら、新たなサービスの開発等、会社の将来の成長のための内部留保の充実を図る必要があると考えております。

 

e. 経営戦略の現状と見通し

当社は、「新しいテクノロジーを駆使し、今までになかった新しい便利、新しいよろこびを創り出し、世の中を応援し、社会に貢献してゆく」という経営理念のもと、『らくらく連絡網』を基盤に『らくらく連絡網』で培ってきたノウハウやおよそ695万人の会員情報等を活かし、『pinpoint』、『らくらくアルバイト』を展開し、今後も各サービスの更なる事業拡大を目指してまいります。

2022年3月期は、未だに新型コロナウイルス感染症拡大の収束時期が不透明な状況ですが、少子高齢化を背景とした市場全体において人手不足という課題は依然として残っており、一時的な採用意欲の減退等は発生するものの、特定業種における採用意欲は堅調に推移すると考えており、『データマネジメント事業』に関しては、代理店戦略の強化やアライアンスの推進を行い、データの拡充と有効活用を図り、中長期的には、新たな収益モデルの確立、新規事業の創出を目指しております。『HRテクノロジー事業』に関しては、『HR Ads Platform』に社内リソースを集中させて、新規求人メディア連携やATS連携の強化を図り、中長期では、AIを見据えた能動学習の導入、運用自動化により利益率向上を想定しており、当社の成長ドライバーとして引き続き注力してまいります。

 

f. 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向及び業界動向を注視しつつ、優秀な人材の確保及び適切な教育を実施するとともに、事業体制、内部管理体制を強化し、社会のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を行ってまいります。

 

g. 経営者の問題認識と今後の方針について

当社の経営陣は、今後のさらなる成長のために、スピーディーな事業展開による収益基盤の強化と多角化、システムセキュリティの維持と情報管理体制の強化、及びこれらを担う優秀な人材確保が大きな課題であると考え、これらの達成を中期的な目標としております。詳細につきましては「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。