3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。

ア 財政状態及び経営成績の状況

(業績等の概要)

当連結会計年度における我が国経済は、第2四半期以降海外経済の減速、消費税率引き上げ等により企業の業況判断が悪化しておりましたが、年明け2月以降、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延により、我が国はもとより欧米主要国の経済活動が大きく減速した状態となっており、リーマンショックをはるかに上回る経済の落ち込みが懸念される状況です。

このような情勢の中、当社グループは、社会の安全・安心に関するサービス(セキュリティサービス事業、綜合管理・防災事業、介護事業)を行う事業者として、 適切にサービスを提供し、事業を継続してまいりました。また、中期経営計画「Grand Design 2020」に掲げたとおり、お客様と社会の安全・安心を支える「綜合安全安心サービス業」を目指して、多様化・高度化する一人一人のお客様と社会の安全・安心ニーズに応えるべく、セキュリティ事業とその関連事業の進化・深化に引き続き取り組んでいます。

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの連結業績は、売上高は460,118百万円(前年同期比3.7%増)、営業利益は36,795百万円(前年同期比14.0%増)、経常利益は38,880百万円(前年同期比14.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は24,163百万円(前年同期比8.5%増)となりました。

 

当社グループの連結損益計算書を項目別に対前年度で比較すると、次のとおりであります。

項目

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

金額

百分比

金額

百分比

増減額

増減率

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

売上高

443,535

100.0

460,118

100.0

16,583

3.7

売上原価

334,197

75.3

345,097

75.0

10,900

3.3

売上総利益

109,338

24.7

115,020

25.0

5,682

5.2

販売費及び

一般管理費

77,057

17.4

78,224

17.0

1,167

1.5

営業利益

32,280

7.3

36,795

8.0

4,515

14.0

営業外収益

4,071

0.9

4,342

0.9

270

6.6

営業外費用

2,470

0.6

2,257

0.5

△212

△8.6

経常利益

33,881

7.6

38,880

8.5

4,998

14.8

特別利益

937

0.2

27

0.0

△910

△97.1

特別損失

345

0.1

547

0.1

202

58.5

法人税等

10,808

2.4

12,644

2.7

1,835

17.0

非支配株主に帰属する当期純利益

1,395

0.3

1,551

0.3

156

11.2

親会社株主に帰属する当期純利益

22,269

5.0

24,163

5.3

1,894

8.5

 

 

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比較して16,583百万円(3.7%)増加し、460,118百万円となりました。

売上原価につきましては、従業員の処遇改善などにより労務費が2,689百万円増加したことや、売上増に伴う外注費などの経費が6,211百万円増加したことなどにより345,097百万円となりました。

販売費及び一般管理費につきましては、広告宣伝費205百万円、賃借料170百万円、減価償却費168百万円の増加等により78,224百万円となりました。

経常利益につきましては、営業利益の増加に伴4,998百万円(14.8%)増加し、38,880百万円となりました。

特別利益の減少は、前期に発生した固定資産売却益829百万円及び厚生年金基金解散損失引当金戻入額79百万円の反動減によるものであります。

特別損失の増加は、投資有価証券評価損が145百万円減少した一方で、減損損失が267百万円増加した結果であります。

親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、営業利益の増加に伴い1,894百万円(8.5%)増加し、24,163百万円となりました。

なお、包括利益につきましては、1,634百万円7.3%)減少の20,712百万円となりました。当期純利益が2,050百万円増加した一方、軟調な金融市場の状況を反映する形で退職給付に係る調整額の期中変動額が2,849百万円、その他有価証券評価差額金の期中変動額が664百万円減少した結果であります。

セグメントごとの経営成績の状況につきましては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ア 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。

 

(連結貸借対照表項目の比較分析)

当社グループの連結貸借対照表を項目別に対前年度で比較すると、次のとおりであります。

項目

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

金額

構成比

金額

構成比

増減額

増減率

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

資産の部

流動資産

208,047

50.7

229,486

53.5

21,439

10.3

固定資産

202,066

49.3

199,309

46.5

△2,756

△1.4

資産総額

410,113

100.0

428,796

100.0

18,682

4.6

負債の部

流動負債

92,505

22.6

98,435

23.0

5,930

6.4

固定負債

60,509

14.8

59,928

14.0

△581

△1.0

負債総額

153,015

37.3

158,363

36.9

5,348

3.5

純資産の部総額

257,098

62.7

270,432

63.1

13,334

5.2

当連結会計年度末の資産総額は、前連結会計年度末と比較して18,682百万円4.6%)増加し、428,796百万円となりました。うち流動資産は、21,439百万円10.3%)増加229,486百万円、固定資産は2,756百万円1.4%)減少199,309百万円となりました。

流動資産の増加につきましては、入(出)金機オンラインシステムの運用に係る売上金の取扱額が増加したことなどにより警備輸送業務用現金が14,956百万円増加したことが主たる要因であります。このほか、現金及び預金が2,506百万円、原材料及び貯蔵品が1,543百万円、受取手形及び売掛金が1,117百万円増加したことも、流動資産の増加に寄与しております。

固定資産の減少につきましては、介護施設の新設等に伴いリース資産が1,552百万円、基幹システムへの投資によりソフトウエアが1,336百万円増加した一方、運用資産の評価額が減少したことを受け退職給付に係る資産が2,812百万円、軟調な金融市場の状況を反映して投資有価証券が1,793百万円、償却が進んだことによりのれんが1,605百万円減少した結果であります。

当連結会計年度末の負債総額は、前連結会計年度末と比較して5,348百万円3.5%)増加し、158,363百万円となりました。うち流動負債は、5,930百万円6.4%)増加98,435百万円、固定負債は581百万円1.0%)減少59,928百万円となりました。

流動負債の増加につきましては、前述の警備輸送業務用現金の増加に伴い短期借入金が4,022百万円、支払手形及び買掛金が2,332百万円、未払法人税等が1,579百万円増加した一方、未払金が3,975百万円減少した結果であります。

 

固定負債は、前述のリース資産の増加に伴いリース債務が1,604百万円増加した一方、長期借入金が1,540百万円減少した結果、概ね前連結会計年度末と同水準の金額となりました。

当連結会計年度末の純資産の部総額は、前連結会計年度末と比較して13,334百万円(5.2%)増加し、270,432百万円となりました。

 

イ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)48,790百万円(前年同期比12.3%増)となりました。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

(%)

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

営業活動によるキャッシュ・フロー

28,771

33,896

17.8

投資活動によるキャッシュ・フロー

△14,911

△13,395

△10.2

財務活動によるキャッシュ・フロー

△10,934

△15,113

38.2

現金及び現金同等物に係る換算差額

△6

△33

375.4

現金及び現金同等物の増加額

(△は減少)

2,918

5,354

83.5

現金及び現金同等物の期首残高

40,484

43,435

7.3

新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額

32

現金及び現金同等物の期末残高

43,435

48,790

12.3

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動の結果増加した資金は33,896百万円(前年同期比17.8%増)であります。資金の主な増加要因は、税金等調整前当期純利益により38,360百万円(前年同期比11.3%増)、減価償却費による資金の内部留保により14,905百万円(前年同期比1.1%減)であります。これらに対し、資金の主な減少要因は、法人税等の支払により9,987百万円(前年同期比11.1%減)、警備輸送業務に係る資産・負債の増減により9,721百万円(前年同期比25.8%増)であります。

なお、警備輸送業務に係る資産・負債の増減額には、警備輸送業務用現金、及び短期借入金のうち警備輸送業務用に調達した資金等の増減が含まれております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は13,395百万円(前年同期比10.2%減)であります。主として個別の機械警備に係る警報機器の設置に伴い有形固定資産11,031百万円(前年同期比2.9%減)、基幹システムへの投資等により無形固定資産を5,595百万円(前年同期比120.5%増)取得したことが主たる要因であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動により減少した資金は15,113百万円(前年同期比38.2%増)であります。配当金の支払により7,037百万円(前年同期比13.9%増)、リース債務の返済により4,184百万円(前年同期比8.5%増)の資金が減少した結果であります。

 

 

ウ 生産、受注及び販売の実績

(生産実績)

当社グループは生産活動を行っておりませんが、当連結会計年度末日現在実施中の契約件数をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度末

(2019年3月31日)

当連結会計年度末

(2020年3月31日)

前年同期比

(%)

セキュリティ事業

 

 

 

機械警備業務    (件)

949,858

973,066

2.4

常駐警備業務    (件)

4,485

4,468

△0.4

警備輸送業務    (件)

75,652

77,791

2.8

合計      (件)

1,029,995

1,055,325

2.5

綜合管理・防災事業   (件)

104,254

109,697

5.2

介護事業        (件)

25,364

24,976

△1.5

報告セグメント計  (件)

1,159,613

1,189,998

2.6

その他         (件)

25,896

29,382

13.5

合計      (件)

1,185,509

1,219,380

2.9

(注)上記件数は、当社グループがサービスを提供している対象先の数ではなく、お客様と約定している長期契約(一定期間継続的にサービスを提供する契約)の数を集計したものであります。各セグメントに含まれる代表的なサービスは、次のとおりです。

機械警備業務

法人向けのALSOKガードシステム各種、個人向けのホームセキュリティ各種

常駐警備業務

ご契約先施設等に警備員を配置する常駐警備

警備輸送業務

現金、有価証券等を輸送する現金輸送サービス、入(出)金機オンラインシステム

綜合管理・防災事業

設備管理、清掃管理、電話対応等、施設の維持、管理、運営業務、消防用設備の点検、AEDのレンタル等

介護事業

訪問介護、デイサービス、有料老人ホーム、グループホーム等

その他

ご家族を携帯端末で見守る「まもるっく」、ALSOK PCマネジメントサービス、ホームページ改ざん検知サービス等、QRコード決済を中心としたキャッシュレス決済サービス

 

(販売実績)

販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より報告セグメントへの収益の配分方法を変更しております。前期比較にあたっては、前連結会計年度の実績を変更後の配分方法に組み替えて行っております。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比

(%)

セキュリティ事業

 

 

 

機械警備業務   (百万円)

175,517

175,537

0.0

常駐警備業務   (百万円)

111,945

116,980

4.5

警備輸送業務   (百万円)

62,244

65,601

5.4

合計     (百万円)

349,707

358,119

2.4

綜合管理・防災事業  (百万円)

62,952

69,281

10.1

介護事業       (百万円)

26,599

28,105

5.7

報告セグメント計 (百万円)

439,259

455,506

3.7

その他        (百万円)

4,276

4,612

7.9

合計     (百万円)

443,535

460,118

3.7

(注)1.金額には、消費税等は含まれておりません。

2.販売実績が総販売実績の10%以上の相手はありません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において判断したものであります。

 

ア 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営者の視点による分析・検討内容)

当連結会計年度における当社グループの連結業績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ア 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり、売上は、10期連続で増収、9期連続で過去最高を更新いたしました。利益についても、各利益段階で過去最高を更新し、親会社株主に帰属する当期純利益は、8期連続で増益となりました。当社グループは、M&Aの活用等によりセキュリティ事業を強化するとともに、セキュリティ事業と親和性の高い綜合管理・防災事業等を拡大し、多様化するお客様と社会の安全・安心ニーズに積極的に応えることに注力しております。

当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高経常利益率とROE(連結自己資本当期純利益率)を重視しております。当連結会計年度は、売上高経常利益率8.5%、ROE10.1%となっており、中期経営計画「Grand Design 2020」に掲げた目標である8.0%程度と10.0%程度をそれぞれ上回っています。

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、当社グループは、資産については事業セグメントに配分していないことから、セグメントごとの財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容は省略しております。また、当連結会計年度より報告セグメントの収益及び費用の配分方法を変更しております。対前期比較にあたっては、前連結会計年度の実績を変更後の配分方法に組み替えて行っております。

 

売上高のセグメント別の増減

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

セキュリティ事業

 

 

 

 

 

 

機械警備業務

175,517

39.6

175,537

38.2

20

0.0

常駐警備業務

111,945

25.2

116,980

25.4

5,035

4.5

警備輸送業務

62,244

14.0

65,601

14.3

3,356

5.4

合計

349,707

78.8

358,119

77.8

8,412

2.4

綜合管理・防災事業

62,952

14.2

69,281

15.1

6,328

10.1

介護事業

26,599

6.0

28,105

6.1

1,506

5.7

報告セグメント計

439,259

99.0

455,506

99.0

16,246

3.7

その他

4,276

1.0

4,612

1.0

336

7.9

合計

443,535

100.0

460,118

100.0

16,583

3.7

セキュリティ事業につきましては、機械警備業務においては、法人向けサービスとして、侵入、火災、設備等の監視、管理を備えたセキュリティシステム「ALSOK-ST(スタンダード)」、画像監視、出退勤情報等の閲覧、設備の遠隔操作をWeb上で行える機能等を備えた「ALSOK-GV(ジーファイブ)」等により、お客様個々の様々なニーズに対応するソリューションを提供してまいりました。さらに、先進の画像解析技術を活用した動画による画像監視サービスを備えた「ALSOK-G7(ジーセブン)」のサービス提供を開始しました。

個人向けサービスとしては、設置工事が簡単な「据え置き設置タイプ」を備えた住宅向けスタンダードモデルである「ホームセキュリティBasic」等を提供しております。2020年4月には、緊急通報などの機能を備えたモバイルみまもりセキュリティ「まもるっく」をリニューアルいたしました。さらに、高齢者を見守るサービスである「HOME ALSOK みまもりサポート®」についても、地方自治体と連携した災害対策や「地域包括ケア」をキーワードにした多様なメニューを備えたサービスの提供を進めております。

常駐警備業務においては、製造業等の警備業務アウトソーシングや、新築ビルの警備ニーズ等が拡大しており、引き続き採算改善に努めてきたほか、G20やラグビーワールドカップ等の大規模警備が売上に貢献しました。また、常駐警備の高度化・効率化を実現する新たなサービスとして「ALSOKスタッフ等連携システム™」と警備ロボット「REBORG®-Z」の販売を開始しました。既にイベント警備やビル警備等で活躍しています。

 

警備輸送業務においては、地域金融機関等のATM等のアウトソースの受注が堅調に推移したほか、サービス業等からの入(出)金機オンラインシステムの受注が好調に推移しました。

この結果、セキュリティ事業の売上高は358,119百万円(前年同期比2.4%増営業利益は38,277百万円(前年同期比11.6%増となりました。

綜合管理・防災事業につきましては、大型工事の完工のほか、グループ内での連携強化による各種施設の維持・管理・運営に関する総合的なファシリティマネジメント業務に取り組んだ結果、建物の綜合管理や清掃業務等の受注が堅調に推移し、売上高は69,281百万円(前年同期比10.1%増)、営業利益は6,642百万円(前年同期比3.7%増となりました。今後はさらに、2020年2月28日付にて三菱商事株式会社との間で合意したファシリティマネジメント事業に係る資本業務提携により、国内外におけるファシリティマネジメント業務を一層拡大してまいります。

介護事業につきましては、施設の稼働率向上や、M&Aの効果もあり、売上高は28,105百万円(前年同期比5.7%増、営業利益は402百万円(前年同期比47.4%増となりました。2020年4月には新たに株式会社らいふホールディングスをグループに迎え、ALSOKの介護の量的・質的拡大を目指します。

また、経済産業省の「キャッシュレス・消費者還元事業」において、警備会社として唯一、決済事業者に指定され、QRコード決済サービスの提供にも取り組んでおります。2019年10月には新たにクレジットカードなど多種多様な決済に対応したマルチ決済サービスの提供も開始いたしました。

当社グループは、新型コロナウイルス感染症の危機にさらされるなか、社会の安全・安心に関するサービスを行う事業者としての責務を果たしつつ、新技術の活用や生産性の向上等に引き続き取り組み、今後も拡大する社会の安全・安心ニーズに的確に応えてまいります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

①財務規律に関する基本的な考え方

2018年5月策定の中期経営計画「Grand Design 2020」では、投資方針として、「利益の拡大によりキャッシュを生み出し、戦略的投資による事業の成長を加速させ、安定した財務基盤を維持しつつROE(連結自己資本当期純利益率)の向上を図る」ことを掲げております。ROEの向上に向けては、配当性向30%を目安に安定配当を維持しつつ、売上高経常利益率を高めることを基本戦略として位置づけております。当社グループの最近5連結会計年度末における自己資本比率が安定的に推移しているのは、株主と債権者双方にバランスよく配慮し、財務規律の維持に努めた結果であると評価しております。

(最近5連結会計年度末における自己資本比率)

 

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

自己資本比率

[連結](%)

51.9

51.0

55.0

56.8

57.3

 

②資金需要の動向及び資金調達の方法並びにそれらに係る経営者の認識

当社グループにおける自己資金の主たる源泉は、セキュリティ事業を中心としたお客様からの月額料金の収受であり、先行きが見通しやすい安定的な収入を毎月得られております。こうした安定的な自己資金を所与として資金の支出を計画していることから、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しております。また、外部からの資金調達についても、こうした安定的な自己資金の状況や最近の自己資本比率の動向、主要な金融機関との良好な関係より、比較的低いコストで実現することができると考えております

このような資金の源泉に対し、当社グループの主要な資金需要及び資金調達の方法については、以下のとおりです。

(運転資金需要)

当社グループにおける運転資金需要のうち主なものは、労務費や外注費を中心とする売上原価、人件費を中心とする販売費及び一般管理費、及び警備輸送業務における入(出)金機オンラインシステムによる売上金の入金処理等のための現金であります。

売上原価や販売費及び一般管理費の支払資金については、年間を通して安定的に需要が生じるものが多く、自己資金を充当することを基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの短期借入を実施することとしております。

 

入(出)金機オンラインシステムによる売上金の入金処理等のための資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入を併用して対応することとしております。当該短期借入は、当座貸越を通じて、資金需要に即して実行できるものとなっております。売上金の入金処理の金額は、前日にお客様が入(出)金機に売上金を投入した金額となり、お客様の動向により大きく変動しますが、特に月曜日や国民の祝日の後の営業日においては、その前日までの休日に投入された売上金にも併せて対応する必要があることから、入金処理金額が多額となり、金融機関からの借入への依存度も高まる傾向にあります。

(投資目的の資金需要)

当社グループにおける投資目的の資金需要のうち主なものは、次期以降完成予定の基幹システムへの投資やM&Aとなっております。これらについては、自己資金を充当することを基本としながら、必要に応じて金融機関からの短期借入や長期借入を実施し、対応することとしております。

このほか、機械警備に係る警報機器の経常的な取得も設備投資に含められております。警報機器の取得は、1件当たりの金額が少額で、受注に伴って生じるため、運転資本を構成する棚卸資産と類似の性格も有すると考えており、年間を通じて安定的に資金需要が生じることから、運転資金需要と同様に自己資金をもって対応することを基本としております。

当連結会計年度後1年間における資本的支出を含む設備投資計画は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

(株主還元の方針)

当社グループでは、株主に対する利益還元を経営の重要政策として位置づけ、内部留保の充実を図りながら、業績に裏付けられた成果の配分を行うことを基本方針としております。具体的な利益還元の手法としては、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本的な方針としており、現在は中期経営計画「Grand Design 2020」の下、配当性向30%を目安に安定配当を維持することを目指しております。

(手許資金)

警備輸送業務用現金以外の現金及び預金については、当社グループの資金繰りの実務上明確に最低限維持すべき手許資金の目安を定めてはいないものの、支出に係る資金需要が年間を通して安定的に生じるものが多いことから、月商の1~2か月程度の維持が適切であると認識しております。

警備輸送業務用現金については、当座貸越を通じて、実需に即して調達することとしております。

(先行きの資金需要の動向及び資金調達方法に係る経営者の認識)

当連結会計年度における警備輸送業務を除いた資金需要については、概ね自己資金の範囲で対応いたしました。当連結会計年度後1年間についても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による不透明感はあるものの、現時点ではこれまでの資金需要の傾向から大きな変化を見込んでいないことから、同様に自己資金の範囲で対応することが基本となると認識しております。

 

③当連結会計年度におけるキャッシュ・フロー及び資金調達の状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 イ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

また、当連結会計年度末日時点における負債による資金調達の状況につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 ⑤連結附属明細表」における社債明細表及び借入金等明細表に記載のとおりであります。なお、同日末時点における主要な借入先別の借入金額は、株式会社みずほ銀行が8,604百万円、株式会社三井住友銀行が3,456百万円、株式会社三菱UFJ銀行が2,185百万円、株式会社りそな銀行が1,205百万円となっております。

 

 

イ 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

また、当社グループは、連結財務諸表の作成上、固定資産の減損会計、各種引当金の見積り計算、繰延税金資産の回収可能性の判断等に対し、現在入手可能な前提に基づく合理的な見積りを反映させておりますが、将来、これらの見積りと大きな差が生じる可能性があります。

なお、当社グループにおける会計上の見積りにおいて使用する事業計画は、新型コロナウイルス感染症に関する影響により、2021年3月期第1四半期をピークとする形で当社グループが提供するサービスの需要減少が見込まれると考え、通期ベースで連結売上高60億円強の減少を織り込んでおります。

重要な会計方針のうち、見積りや仮定等による影響が大きいと考えている項目は、次のとおりであります。

 

(固定資産の減損)

固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」(2002年8月9日)及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2009年3月27日最終改正)に基づき、減損処理の要否を判定しております。将来の企業環境等の変化等により、回収可能価額が帳簿価額を下回ることとなった場合には、減損処理が必要となる可能性があります。

①のれん及び顧客関連資産

(のれん及び顧客関連資産の価値の源泉)

当連結会計年度末におけるのれん19,346百万円は、過去の企業結合により発生したものであり、その主たる発生原因は、結合後企業が当社グループに加入したことにより、同社に期待される超過収益力であります。一部ののれんについては、結合後企業ではなく、当社などにおいて発現されることが期待されるシナジー効果が発生原因となっております。

また、一部の企業結合においては、企業結合時における既存の顧客との契約に係る価値を算定し、顧客関連資産としてのれんとともに計上しております。

(将来キャッシュ・フローの基礎となる事業計画)

当社グループにおけるのれんに係る減損要否の検討は、のれん発生の原因である超過収益力やシナジー効果が将来に亘って発現するかに着目して行っており、平時においてはのれんを発生させた結合後企業の事業計画(当社などに発現が期待されるシナジー効果の計画を含む。)に沿って利益やキャッシュ・フローが計上されているかを毎月モニタリングしております。こうした下、設定された事業計画の達成が危ぶまれる状況など減損の兆候が認められる場合には、事業計画の合理性について見直すこととしております。そしてこのように見直された事業計画に基づく割引前将来キャッシュ・フローによって、減損損失を認識するかを決定し、認識する場合においては割引将来キャッシュ・フローで算定する使用価値に基づき減損損失を測定することとしております。

顧客関連資産に係る減損の検討は、のれんに係る減損の検討と併行して行っており、設定された事業計画に沿って利益やキャッシュ・フローが計上されているかをもって減損の兆候の有無の判定を実施するとともに、減損の兆候が認められる場合は、見直された事業計画に基づき、減損損失の認識・測定の手続を実施することとしております。

事業計画には、次に掲げる重要な仮定を考慮しております。これらについては、その性質上、何らかの見積り・前提を設定した上での判断を伴うものであり、当該見積り・前提は、減損の兆候の有無の判断、認識するか否かの判定、又は測定する減損損失金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

・セキュリティ事業及び綜合管理・防災事業を営む会社

受注の状況、人員計画、売上高の成長率

・介護事業を営む会社

区分

考慮する重要な仮定

在宅介護事業

職員1人当たりの売上高、各既存拠点の利益率

施設介護事業

各既存施設の将来事業計画、新規施設の開設状況、新規施設及び既存施設の入居率

高齢者向け住宅事業

各新規施設・既存施設の事業計画、新規施設の開設状況

 

 

当連結会計年度においては、こうした重要な仮定に加え、新型コロナウイルス感染症が一定程度将来の業績を押し下げるとの仮定を置いて判断しておりますが、こうしたストレスを考慮しても依然として十分な将来キャッシュ・フローが期待でき、いずれののれん・顧客関連資産についても、今のところ減損損失を計上する必要はないと判断しております。

なお、事業計画は、当社の個別財務諸表に計上されている結合後企業に係る関係会社株式の評価を検討する際にも活用しております。当該関係会社株式の回収可能性が認められなくなった場合には、当社の損益計算書上、評価損が計上されることとなります。

 

(割引率)

使用する割引率については、当社グループの大部分の会社がグループ内借入を通じて当社とほとんど同様の条件で資金調達が可能であると考えられることから、当社の上場以来の株価や金利に係るヒストリカル・データに基づき算出した年限別の加重平均資本コストをのれんの残存償却期間に応じて使用することとしております。株価が大きく上昇したり金利が高騰した場合は、加重平均資本コストが高く算出されることを通じ割引将来キャッシュ・フローが少額となることから、測定される減損損失金額が多額となる可能性があります。

 

その他の有形・無形固定資産

(将来キャッシュ・フローの基礎となる事業計画)

のれん及び顧客関連資産以外の有形・無形固定資産についても、事業計画に基づく利益やキャッシュ・フローの状況をもって、減損処理の必要性を判定しております。

有形・無形固定資産に係る減損要否の検討に際しては、経営の実態に即して資産のグルーピングを行っております。主な資産のグルーピングの方法は、次のとおりであります。

区分

主な勘定科目

資産のグルーピングの方法

ガードセンター設備

契約先設置警備用機器

防災設備等

建物及び構築物

機械装置及び運搬具

これらの資産については、エリア別にサービスを展開し、投資意思決定を行っている経営実態に即して管理会計単位を設定している状況に鑑み、当該管理会計単位を資産グループとして設定しております。具体的には、当社については「第3 設備の状況 2 主要な設備の状況 (1)提出会社の状況」が示す本社及び各地域本部を1つの資産グループとし、子会社及び関連会社については個社を1つの資産グループとしております。

介護施設

リース資産

介護施設については、各施設が独立してサービスを展開し、投資意思決定を行っている経営実態に即し、単独の管理会計単位として設定されている状況に鑑み、個々の介護施設を1つの資産グループとしております。

各資産グループに係る事業計画には、のれん及び顧客関連資産の場合と同様、重要な仮定を含めるに際して何らかの見積り・前提を設定しており、当該見積り・前提は、減損の兆候の有無の判断、認識するか否かの判定、又は測定する減損損失金額に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(割引率)

のれん及び顧客関連資産の場合と同様、使用する割引率については、当社の上場以来の株価や金利に係るヒストリカル・データに基づき算出した年限別の加重平均資本コストを使用することとしております。このため、株価や金利動向によっては、加重平均資本コストが高く算出され、測定される減損損失金額が多額となる可能性があります。

 

(退職給付会計)

当社及び当社の関係会社においては、確定給付型の企業年金制度や退職給付制度が設けられております。在籍している従業員数の少ない一部の連結子会社を除き、これらの制度に係る退職給付債務及び年金資産の算定手続きについては、数理計算上の仮定を置いたうえで実施しております。これらの仮定には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職一時金選択率、死亡率、退職率、予想昇給率が含まれます。当社グループは、設定したこれらの数理計算上の過程について、直近の実績など現在把握可能な各種のデータを勘案して合理的に判断したものと考えておりますが、実績との間に差異(数理計算上の差異)が生じた場合においては、その発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(主として10年)による定額法により発生の翌連結会計年度より費用処理することとするため、当社グループの営業費用等に重要な影響を与える場合があります。

割引率の設定に際しては、連結会計年度末における高格付けの国内社債や日本国債の利回りを勘案して決定しております。また、割引率の変更は、「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号 2016年12月16日最終改正)及び「退職給付に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第25号 2015年3月25日最終改正)に基づき、前連結会計年度末に用いた割引率により算定した退職給付債務と比較して、当連結会計年度末の割引率により計算した退職給付債務が10%以上変動する場合において行うこととしております。

長期期待運用収益率の設定に際しては、直近の年金資産のアセット・アロケーションや、株式・社債などの各金融商品グループごとの過去における運用利回りの実績を勘案しております。また、長期期待運用収益率の変更は、「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号 2016年12月16日最終改正)及び「退職給付に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第25号 2015年3月25日最終改正)に基づき、変更が翌連結会計年度以降の退職給付費用に重要な影響をもたらすと判断した場合において行うこととしております。

 

(繰延税金資産)

当社及び当社の関係会社各社は、個社別に法人税を申告しており、繰延税金資産の回収可能性に関する判断においては、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2016年3月28日改正)に基づき、当社及び当社の関係会社各社を収益力により「分類1」から「分類5」に分類しております。会社分類については、連結会計年度末における各社の状況に基づき、毎期見直しております。この分類に際しては、将来の経営環境の変化や一時差異等加減算前課税所得の見積りの上で仮定を置いており、この仮定の設定は、繰延税金資産の回収可能性の判断に重要な影響を与える場合があります。なお、将来に関する事項の見積りにおいては、固定資産の減損に関する判断において用いる事業計画に沿って検討を行うため、見積りと実績が乖離するリスクも概ね同様と考えられます。

「分類2」から「分類5」に該当する会社については、回収可能性があると見込まれる将来減算一時差異等についてのみ繰延税金資産を計上しております。回収可能性の判断においては、十分な収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得が存在するかを最重要視しており、このほか含み益のある固定資産や有価証券を売却する等のタックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得が存在するかについては、その実行可能性が高いと見込まれるものに限定して考慮しております。また、将来減算一時差異等が解消する時期及び金額についても、解消する可能性が高いものに限定して考慮することとしており、例えば含み損に係る土地再評価差額金の場合においては、売却する契約を締結した事実を認識した場合等に限りスケジューリングに含めております。こうした回収可能性に係る一連の手続きについても、何らかの見積り・前提を設定の上で実施しているため、これらの判断は、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。

税効果会計に適用する税率については、「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第27号 2016年3月14日)に基づき、決算日時点において国会で成立している税法に規定されている税率を使用しております。このため、税率の変更が行われる場合においては、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。

なお、当社の繰延税金資産のほとんどは、日本国内に属する会社に係る将来減算一時差異等を源泉とするもので構成されているほか、連結会社間の移転価格に関する不確実性は、ほとんど該当がないものと評価しております。