3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、緩やかな回復基調が続いておりましたが、米中の貿易摩擦をめぐる動向や消費税引き上げ後の消費マインドの低下により、景気の減速懸念が生じるなか、年明け以降は新型コロナウイルス感染症の世界的な規模での拡大が国内外の経済活動に大きな影響を及ぼしており、先行き不透明な状況が続いております。

当社を取り巻く環境につきましては、防災・減災に係る公共投資は堅調に推移しており、ICTを活用したソフト面の対策を積極的に取り入れる地方自治体が増加しておりますが、その一方で、受注獲得競争の激化やAI(人工知能)や5G(次世代通信規格)等、IT環境の急激な変化に対応するための技術者の確保と育成が課題となっております。

このような状況のもと、当社は、全国の地方自治体に対して、防災・防犯・救急といった安心安全に係わる分野を中心にクラウドサービスや受託開発の受注獲得に向けて積極的な営業展開を行いました。また、兵庫県警察本部や神戸市消防局等において、緊急通報の際にスマートフォンによるビデオ通報を行い、通報現場の情報収集を支援する新サービスの実証実験を実施し、本運用に向けて課題の精査と解決に取り組みました。

以上の結果、当事業年度の売上高につきましては、防災や防犯関連のクラウドサービスの新規案件の獲得が順調に進み、初期構築に係る売上が増加したことやストック型のサービス利用料の収入が積み上がったことにより、1,050,916千円(前事業年度比17.6%増)となりました。

コスト面では、営業やユーザーサポート体制の強化を目的とした人員の採用等により販売費及び一般管理費は増加いたしましたが、ライセンスやストック型ビジネスの売上の割合が増加したことから、売上高の伸びに対して売上原価の発生が抑えられ、売上高総利益率が3.5ポイント向上したため、営業利益290,089千円(前事業年度比44.8%増)、経常利益294,760千円(前事業年度比43.2%増)、当期純利益200,837千円(前事業年度比28.6%増)となりました。

 

(品目別内容)

当社は地理及び位置情報事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、品目別の売上構成比は、ライセンス販売が9.8%(前事業年度は7.8%)、受託開発が47.6%(前事業年度は51.6%)、クラウド利用料が39.3%(前事業年度は38.1%)、商品売上が3.3%(前事業年度は2.5%)となっており、品目別の実績は次のとおりであります。

a.ライセンス販売

ライセンス販売につきましては、継続して既存顧客から防災関連等のシステム向けの受注があったことに加えて、大型案件の受注があったことから、売上高は103,037千円(前事業年度比47.6%増)となりました。

b.受託開発

受託開発につきましては、地理情報システムの受託開発の売上は減少したものの、地方自治体の防災や防犯関連のクラウドサービスの案件獲得が進み、初期構築や導入支援に係る受注が増加したため、売上高は500,719千円(前事業年度比8.6%増)となりました。

 c.クラウド利用料

クラウド利用料につきましては、新規案件の獲得により、「NET119緊急通報システム」や「DMaCS(災害情報共有サービス)」、地方自治体が住民向けに防災・防犯情報を提供するスマートフォンアプリ等の契約数が積み上がったため、412,729千円(前事業年度比21.4%増)となりました。

 d.商品売上

商品売上につきましては、受託開発に伴うデジタル地図等の納品を行ったため、34,430千円(前事業年度比52.2%増)となりました。

 

 

② 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末の総資産は1,883,519千円となり、前事業年度末と比較して238,289千円増加いたしました。これは主に、投資有価証券が128,646千円、有価証券が58,068千円、売掛金が25,092千円、それぞれ減少した一方で、現金及び預金が449,983千円増加したことによるものであります。 

(負債)

当事業年度末の負債は223,394千円となり、前事業年度末と比較して53,621千円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が22,642千円、長期前受収益が19,264千円、未払消費税等が18,336千円、それぞれ増加したことによるものであります。 

(純資産)

当事業年度末の純資産は1,660,125千円となり、前事業年度末と比較して184,668千円増加いたしました。これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金が176,957千円増加したこと等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、投資活動によるキャッシュ・フローが119,358千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが23,872千円の支出となったものの、営業活動によるキャッシュ・フローが293,213千円の獲得となったため、前事業年度に比べ149,983千円増加し、当事業年度末には528,708千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は、293,213千円(前事業年度比179,177千円増)となりました。これは主に、法人税等の支払額が66,752千円あったものの、税引前当期純利益が290,529千円、売上債権の減少額が25,092千円、前受収益の増加額が22,985千円あったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動の結果支出した資金は、119,358千円(前事業年度比69,541千円増)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入が450,000千円、投資有価証券の売却による収入が162,570千円、有価証券の償還による収入が78,000千円あった一方で、定期預金の預入による支出が750,000千円、投資有価証券の取得による支出が60,525千円あったことによるものであります。 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動の結果支出した資金は、23,872千円(前事業年度比4,839千円増)となりました。これは、主に配当金の支払によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

当社は、地理及び位置情報事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。

 

(生産実績)

当事業年度の生産実績は次のとおりであります。

 

品目

当事業年度

(自 2019年6月1日

至 2020年5月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

受託開発

511,659

110.2

合計

511,659

110.2

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(受注状況)

当事業年度の受注状況は次のとおりであります。

 

品目

当事業年度

(自 2019年6月1日

至 2020年5月31日)

受注高

受注残高

金額(千円)

前年同期比(%)

金額(千円)

前年同期比(%)

受託開発

460,631

93.7

56,610

58.5

合計

460,631

93.7

56,610

58.5

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(販売実績)

当事業年度の販売実績を品目別に示すと次のとおりであります。

 

品目

当事業年度

(自 2019年6月1日

至 2020年5月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

ライセンス販売

103,037

147.6

受託開発

500,719

108.6

クラウド利用料

412,729

121.4

商品売上

34,430

152.2

合計

1,050,916

117.6

 

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 前事業年度及び当事業年度の主な相手先別販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先名

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱STNet

115,160

11.0

警視庁

149,280

16.7

 

※ 1 上記の金額は、販売実績の合計額であります。

  2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

  3 当事業年度の警視庁及び前事業年度の㈱STNetについては、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

 ① 重要な会計方針及び見積もり

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。当社経営陣は、財務諸表の作成に際して、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積もり及び仮定設定を行う必要があります。経営陣は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積もり及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積もりと異なる場合があります。

なお、会計上の見積もりを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に係る仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。

 

 ② 当事業年度の経営成績の分析

(売上高)

当事業年度の売上高につきましては、防災や防犯関連のクラウドサービスの新規案件の獲得が順調に進み、初期構築に係る売上が増加したことやストック型のサービス利用料の収入が積み上がったことにより1,050,916千円(前事業年度比157,512千円増)となりました。

  なお、当事業年度における新型コロナウイルス感染症の影響は軽微であります。

 各品目の実績は次のとおりであります。

a.ライセンス販売

ライセンス販売につきましては、継続して既存顧客から防災関連等のシステム向けの受注があったことに加えて、大型案件の受注があったことから、売上高は103,037千円(前事業年度比33,228千円増)となりました。

b.受託開発

受託開発につきましては、地理情報システムの受託開発の売上は減少したものの、地方自治体の防災や防犯関連のクラウドサービスの案件獲得が進み、初期構築や導入支援に係る受注が増加したため、売上高は500,719千円(前事業年度比39,604千円増)となりました。

c.クラウド利用料

クラウド利用料につきましては、新規案件の獲得により、「NET119緊急通報システム」や「DMaCS(災害情報共有サービス)」、地方自治体が住民向けに防災・防犯情報を提供するスマートフォンアプリ等の契約数が積み上がったため、412,729千円(前事業年度比72,867千円増)となりました。

d.商品売上

商品売上につきましては、受託開発に伴うデジタル地図等の納品を行ったため、34,430千円(前事業年度比11,811千円増)となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価は、地図等の仕入や外注費等の増加により、393,092千円(前事業年度比27,790千円増)となりました。 

売上総利益は、売上高の増加及び売上高の伸びに対して売上原価の発生が抑えられ、売上高総利益率が3.5ポイント向上したため、657,824千円(前事業年度比129,722千円増)となりました。 

販売費及び一般管理費は、主に人件費の増加により、367,734千円(前事業年度比39,941千円増)となりました。 

(営業利益)

販売費及び一般管理費が増加したものの売上総利益が増加したことにより、営業利益290,089千円(前事業年度比89,780千円増)となりました。 

 

(営業外収益、営業外費用)

営業外収益は、受取利息、有価証券利息及び助成金収入等により4,671千円(前事業年度比853千円減)となりました。 

当事業年度における営業外費用の計上はありません。(前事業年度も計上なし)

(経常利益)

経常利益は294,760千円(前事業年度比88,926千円増)となりました。

(特別利益、特別損失)

特別利益として、投資有価証券売却益3,399千円を計上いたしました。(前事業年度は計上なし)

特別損失として、7,621千円(前事業年度比7,621千円増)を計上いたしました。これは主に投資有価証券売却損であります。

(当期純利益)

当期純利益は、200,837千円(前事業年度比44,621千円増)となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、市場動向による影響等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しており、これらのリスクの発生を抑え、影響を最小限に抑えるよう適切に対応する所存であります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(流動性と資金の源泉)

当社の所要資金は、主にソフトウェアの製造・販売を行うための投資及び経常の運転資金であり、これらについてはすべて自己資金により対応しております。

当社の当事業年度末の自己資本比率は88.1%であり、充分な流動性を確保しております。次事業年度においては、特記すべき設備投資計画は無く、経常の運転資金については自己資金で賄う予定であります。

(財政状態の分析)

当事業年度における財政状態の状況につきましては、上記「「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。 

(キャッシュ・フローの分析)

資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としております。

なお、当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。 

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。

当社が属する情報サービス産業においては、従来の構築型システムからクラウドサービスへの移行、AI(人工知能)や5G(次世代通信規格)等の新たなテクノロジーの出現により、ビジネスチャンスが生じる一方で、収益構造の変化や顧客要望の多様化・高度化への対応が求められております。また、慢性的なIT技術者の不足により、人材の確保と育成が課題となっております。

このような環境下において、当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載した各課題への対応を実施することにより、さらなる売上の増大と収益力の向上を目指します。