経営成績等の状況の概要
文中の将来に関する事項は、当事業年度の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2021年11月1日~2022年10月31日)におけるわが国経済は、世界情勢の変化に端を発する世界的なエネルギー不足、原材料価格の高騰、円安による影響がほぼ全産業に広がり、回復の力強さに欠ける状況となっています。
一方、新型コロナウイルス感染症は社会経済活動を維持しながら感染拡大を防止する新たな局面に入り、旅行や観光・飲食などコロナ禍で打撃を受けた産業に回復の兆しも見えてきました。経済活動の再開に合わせて、若手人材を中心とした企業の採用意欲は高止まりを続け、特に経験者採用とインターンシップ集客のニーズが急拡大しています。20代を中心とした経験者採用では、情報通信業(IT)や製造業・サービス業・運輸業などの産業において、特に採用ニーズが旺盛です。2022年の夏以降、事業拡大を見据えて採用計画を上方修正する企業が増加し、追加募集の引き合いも急増しました。また、新卒採用の難易度が高まっていることを受け、企業規模を問わず第二新卒などを対象にした通年採用を導入する動きが加速しています。2022年9月、10月は、内定式の前後で内定辞退が多発し、既卒・第二新卒を対象にした2023年4月入社の採用を実施する動きが広がりました。
このような状況の中、当社におきましては、若手求職者や学生に支持される求人サイトとしてのポジションを確立するなど、「Re就活」「あさがくナビ」のWeb関連商品を強化してきました。WebセミナーやWeb面接など、採用活動におけるオンライン活用が普及・定着するなか、当社は動画コンテンツやWebメディアの拡充を図り、企業と求職者の価値あるマッチングを実現しています。一方、オンライン化の反動で、リアルニーズも急回復しています。直接コミュニケーションを図りたいというニーズに対応し「転職博」「インターンシップ博」「就職博」などのイベントで、若手求職者や学生と企業が直接出会う機会を提供しています。
「Re就活」を中心に、ニーズが拡大しているWeb関連商品の広告宣伝投資(テレビCMなど)の加速、マーケティング・販売体制の強化も行いました。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
①財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ3億76百万円増加し、138億10百万円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ57百万円増加し、15億78百万円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ3億19百万円増加し、122億32百万円となりました。
②経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高67億73百万円(前期は62億22百万円)、営業利益16億21百万円(前期は18億19百万円)、経常利益20億38百万円(前期は20億14百万円)、当期純利益13億96百万円(前期は13億83百万円)となりました。
なお、当事業年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」といいます。)等を適用し、主に、Web関連商品である「Re就活」「あさがくナビ」の掲載プランに関する売上について、一定の期間にわたり履行義務を充足するにつれて収益を認識する方法に変更しております。これに伴い、当事業年度における売上高は、前事業年度と比較して前提条件に差異が発生しております。そのため、当事業年度における経営成績に関する説明は、前事業年度と比較しての増減額および前期比を記載せずに説明しております。
主たる事業である「就職情報事業」につきましては、次のとおりであります。
当事業年度における経験者採用市場は、有効求人倍率では2021年度計で1.16倍と前年度に比べ回復基調となり、月次有効求人倍率(季節調整値)では、2022年1月以降1.2倍以上で推移し、8月は1.32倍、9月は1.34倍、10月は1.35倍と、10ヵ月連続で前月を上回っています。情報通信業(IT)や製造業・サービス業・運輸業などの業界を中心に若年層に対する採用ニーズは高止まりを続けています。また、「中途採用比率公表義務化」やD&Iの推進を受け、大手企業を中心に第二新卒などを対象にした通年採用を導入する動きが加速しています。企業の経験者採用、とりわけ20代の採用ニーズの高まりを受け、「Re就活」の売上高は13億8百万円(前期は14億40百万円)となりました。なお、収益認識会計基準を適用しない場合の売上高は、15億38百万円(前期比106.8%)となります。
新卒採用市場は、2023年3月卒業予定学生に対する企業の採用意欲は高く、文部科学省と厚生労働省の調査による2022年10月1日時点での大卒内定率は74.1%(前期比2.9ポイント上昇)で、リーマンショック後では4番目に高い内定率となっています。さらに、2024年3月卒業予定学生へ向けたインターンシップに対する企業ニーズも拡大しており、来年以降も採用難易度は一層高くなりそうです。新卒学生向け就職サイト「あさがくナビ」に関しては、2022年8月に発表されたオリコン顧客満足度(R)調査で学生満足度No.1(※2022年 オリコン顧客満足度(R)調査 逆求人型就活サービス 就活支援コンテンツ 第1位)に加え、ダイレクトリクルーティングサイト会員数3年連続No.1(※2020年~2022年 東京商工リサーチ調査 ダイレクトリクルーティングサイト 会員数 第1位)も獲得しています。学生からの支持を得て、堅調に推移し、「あさがくナビ」の売上高は13億95百万円(前期は14億18百万円)となりました。なお、収益認識会計基準を適用しない場合の売上高は、15億43百万円(前期比108.8%)となります。
「就職博」に関しては、リアルでコミュニケーションを図る機会のニーズが急回復し、売り手市場の環境下においても来場者数は前年を超えています。来場実績の優位性により売上が拡大する好循環が生まれ、「就職博」の売上高は19億33百万円(前期は15億35百万円)となりました。なお、収益認識会計基準を適用しない場合の売上高は、19億39百万円(前期比126.3%)となります。
その結果、当事業年度における就職情報事業全体の売上高は65億12百万円(前期は59億64百万円)となりました。なお、収益認識会計基準を適用しない場合の売上高は、68億95百万円(前期比115.6%)となります。
引き続き、当社では「あさがくナビ」「Re就活」といった『利用者から支持されるWeb媒体』を中心に若手求職者・学生にとって使いやすいサービスを提供することで、若手求職者と企業の価値あるマッチングを実現し、シェアの拡大、売上の増大を目指してまいります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて7億30百万円減少し、24億63百万円となりました(前期比77.1%)。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果、増加した資金は14億86百万円(前期比88.1%)となりました。
これは主に、税引前当期純利益が生じたことによる資金の増加20億11百万円、法人税等の支払による資金の減少7億52百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果、減少した資金は14億24百万円(前期比357.8%)となりました。
これは主に、投資有価証券の取得による支出41億16百万円及び売却による収入23億5百万円及び償還による収入5億23百万円、無形固定資産の取得による支出1億18百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果、減少した資金は7億93百万円(前期比115.8%)となりました。
これは主に、配当金の支払による支出5億50百万円、自己株式の取得による支出2億38百万円によるものです。
販売実績
当事業年度における販売実績を事業の種類別に示すと、次のとおりであります。
事業の種類 | 当事業年度 |
| |
(自 2021年11月1日 至 2022年10月31日) | 前事業年度比(%) | ||
就職情報事業(千円) | 6,512,523 | - | |
| 新卒採用集合品(千円) | 3,329,130 | - |
| (就職博)(千円) | (1,933,254) | (-) |
| (朝日学情ナビ)(千円) | (1,395,876) | (-) |
| 新卒採用個別品(千円) | 1,476,470 | - |
| 中途採用商品(千円) | 1,706,922 | - |
| (Re就活)(千円) | (1,308,738) | (-) |
その他(千円) | 260,899 | - | |
合計(千円) | 6,773,423 | - |
(注)1.( )内の数値は内数を記載しております。
2.当該事業年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。これに伴い、当事業年度における売上高は、前事業年度と比較して前提条件に差異が発生しております。そのため、前事業年度比を記載しておりません。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析、検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析、検討内容は次のとおりであります。なお、記載内容における将来に関する事項については、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
①財政状態の分析
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末と比べ13億75百万円減少し、62億17百万円となりました。これは主に、現金及び預金の減少7億30百万円、有価証券の減少4億97百万円、売掛金及び契約資産の減少1億34百万円があったことによるものです。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は、前事業年度末と比べ17億51百万円増加し、75億93百万円となりました。これは主に、投資有価証券の増加16億7百万円、繰延税金資産の増加1億52百万円があったことによるものです。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末と比べ57百万円増加し、13億42百万円となりました。これは主に、契約負債の増加1億74百万円、未払法人税等の減少1億19百万円があったことによるものです。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は、前事業年度末と比べ著しい増減がなく、2億36百万円となりました。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末と比べ3億19百万円増加し、122億32百万円となりました。これは主に、当期純利益13億96百万円、配当金の支払い5億49百万円、自己株式の取得による自己株式の増加2億38百万円及び自己株式の処分による自己株式の減少11百万円、その他有価証券評価差額金の減少2億94百万円があったことによるものです。
②経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は、67億73百万円となりました(前期は62億22百万円)。これは主に、就職情報事業の売上高の増加があったことによるものです。新型コロナウイルス感染症は、社会経済活動を維持しながら感染拡大を防止する新たな局面に入り、コロナ禍で打撃を受けた産業に回復の兆しが見えてきたこともあり、企業の採用意欲も回復してまいりました。またコロナ禍における採用活動のあり方が浸透した事で、「あさがくナビ」の売上高は13億95百万円(前期は14億18百万円)、Re就活の売上高は13億8百万円(前期は14億40百万円)となりました。なお、収益認識会計基準を適用しない場合の売上高はあさがくナビは15億43百万円(前期比108.8%)、Re就活は15億38百万円(前期比106.8%)となります。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当事業年度における売上原価は、前事業年度と比べ2億40百万円増加し、22億67百万円となりました(前期比111.8%)。これは主に、就職情報事業に係る売上原価の増加があったことによるものです。
販売費及び一般管理費は、前事業年度と比べ5億8百万円増加し、28億84百万円となりました(前期121.4%)。これは主に、TVCM等の「Re就活」プロモーションを強化したこと等による販売促進費の増加があったことによるものです。
(営業利益、経常利益、当期純利益)
以上の結果、当事業年度における営業利益は16億21百万円(前期比89.2%)となり、また、当事業年度における経常利益は20億38百万円(前期比101.2%)となりました。これは主に、営業外収益において、投資有価証券売却益2億26百万円、有価証券利息96百万円、為替差益52百万円があったことによるものです。
また、当期純利益は13億96百万円(前期比101.1%)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
①キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2.事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
なお、現時点において、特記すべき重要な資本的支出の予定はありません。
[キャッシュ・フローの参考資料]
| 2020年10月期 | 2021年10月期 | 2022年10月期 |
自己資本比率(%) | 91.3 | 88.4 | 88.3 |
時価ベースの自己資本比率(%) | 115.9 | 125.1 | 145.1 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
(注)株式時価総額は期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
②資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要のうち主なものは、人件費、外注費、販売費及び一般管理費等に係る運転資金であります。これらの所要資金については、自己資金により充当しております。ただし、金融機関との良好な関係を維持することを目的とした場合には、金融機関からの調達を行うこととしております。
なお、当事業年度における借入金の残高はなく、現金及び預金の残高は4,463百万円であり、当面の資金繰りについては問題ないと判断しております。
(3)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、一定の会計基準の範囲内において、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や現在の取引状況ならびに入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられる見積りや仮定を継続的に使用しておりますが、見積り及び仮定には不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があります。また、財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載されているとおりであります。