【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは「『生きる』を増やす。爆発的に。」というミッションを掲げ、「iPSC再生医薬品を活用し、世界中の患者さんに治癒と希望を届ける。世界中に承認販売まで自社で行う体制を構築し、全ての人からRespectを受けるバイオ企業を確立する。」というビジョンに沿って、iPS細胞等の優れた幹細胞技術をもって、世界中の難治性疾患の罹患者に対して新たな治療法を届けるべく、研究開発から製造販売承認の取得、製造・販売までを自社、関係会社及び提携会社において実現する体制の確立を目指し、事業を進めております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループの体性幹細胞再生医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野の研究開発推進には、多額の開発資金が必要となるため、当該製品が上市されるまでは研究開発費を中心に先行投資が続くものと想定しております。したがって現段階においては、共同開発先からのマイルストン収入等により財務の安定化を図りつつ、早期の製品の上市を目指し、開発計画の着実な進捗、収益見込みが早く既存のパイプラインとの相乗効果の見込まれる新規シーズの導入並びに他社との提携・M&Aなどによるパイプラインの充実に目標を置き、事業を推進してまいります。

上記目標の達成に向け、国内においては、子会社である株式会社器官原基創生研究所を設立し、主に肝疾患分野を対象とした臓器原基技術の実用化に向けた戦略検討を進めております。また、国外においては、米国を中心としたグローバルでのバイオテクノロジー及びその開発を進めるベンチャー企業等の情報を、子会社である米国Healios NA, Inc.を通じて収集しております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは上記(1)記載のミッション・ビジョンを実現するため

①短期戦略:3年程で日本国内において、承認の目途が立つ開発パイプラインであり、当社グループの経営基盤強化(収益体制、製造研究開発販売体制)に資する開発品

②長期戦略:世界でデファクトスタンダードの地位を築く革新的基盤技術

という事業拡大戦略に基づき、①で得られたノウハウ・収益を②へ戦略的に投資し、持続的な成長を果たすという、ハイブリッド戦略を推し進めております。

まずは、短期戦略に基づき2016年に導入した体性幹細胞再生医薬品分野におけるパイプラインHLCM051の早期承認を目指し、現在脳梗塞急性期及びARDSを対象疾患とした治験を実施中であります。

一方、長期戦略の柱であるiPSC再生医薬品の実用化にむけては、第一に遺伝子編集技術を用いた、HLA型に関わりなく免疫拒絶のリスクの少ない次世代iPS細胞の作製にむけた研究活動など、再生医療の産業化に向けて必要な次世代の技術プラットフォームの確立を目指してまいります。また、遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のNK細胞を用いて、固形がんを対象にした次世代がん免疫療法の研究を進めております。さらに、加齢黄斑変性に対する治療法の開発を大日本住友製薬とともに進めています。また、肝疾患領域において、横浜市立大学と肝臓原基による肝疾患治療法開発の共同研究を推進しています。

また、当社はバイオ領域の投資に特化した米国Saisei Ventures LLCを設立し、国内外のバイオ領域への成長資金の提供と投資回収によるリターンのみならず、情報収集を通じて当社パイプラインに貢献する技術や他ベンチャーとの連携を期待しています。

当社グループは、患者さんのアンメットメディカルニーズの高い適応疾患領域における複数かつ多層的な開発戦略により、リスク低減を行い、企業価値の向上を目指します。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 既存パイプラインの開発推進

当社グループは、法改正で新設された、再生医療等製品に対する早期承認制度を活用し、日本国内においていち早く再生医薬品の承認を獲得すべく、体性幹細胞/iPSC再生医薬品分野にて開発を進めております。共同開発パートナーや提携先、治験実施施設等とのスムーズな連携により、着実に開発を進めることが課題と考えております。

 

② 開発におけるアライアンス体制の強化について

再生医療業界においては、常に新しい発見が重ねられており、目覚ましい技術の進展が見られます。またグローバル規模の製薬企業も再生・細胞医療に新たな可能性を見出し、企業買収等によって参入を図っています。このような競争環境のなか、当社グループは、世界でデファクトスタンダードの地位を築く可能性のある革新的なプラットフォーム技術の取得が重要と考えております。国際的な情報ネットワークを一層強化し、国内外の公的研究機関や企業等から新規技術・ノウハウを積極的に取り入れ、強固な提携関係を築くことが課題と考えております。

 

③ 資金調達・管理

当社グループのようなバイオテクノロジー企業は、研究開発費用の負担により開発期間において継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。既存パイプラインの開発進捗による共同開発先からのマイルストン収入や、承認取得による早期の売上計上を目指す他、リスクの分散や資金調達の多様性確保のため、新規提携先からの契約一時金やマイルストン収入、金融機関等からの借入、株式市場からの資金獲得、補助金等多面的な資金源の検討も必要と考えております。

 

④ 人材の獲得

再生医療という新しい産業を創生し、グローバルリーディング企業を目指し成長を続けるためには、人材が最も重要であると考えます。新しい産業を牽引できるポテンシャルの高い人材を世界中から確保し、活躍できる場を提供することが課題と考えております。

 

<新型コロナウイルス感染拡大に対処する取り組み>

社員の安全を最優先としながら、当社グループのミッションである「『生きる』を増やす。爆発的に。」を達成するため、感染防止対策を行い必要な業務を継続しております。