【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度の世界経済は、米国では年初に景気の足踏みがあったものの、大統領選後はトランプ新政権の政策に対する期待感から企業及び消費者マインドに改善が見られ、雇用・所得環境の底堅さも相俟って緩やかな回復基調が続いています。欧州では、個人消費や輸出の増加によりユーロ圏主要国が景気の回復を牽引した一方で、英国のEU離脱に伴う政治・経済をめぐる先行きの不透明感は依然として根強く残っています。新興国や資源国では、中国において製造業の業績回復や公共投資拡大等により景況感に改善が見受けられたものの、保護貿易ムードの高まりや資源価格の下落に伴う景気の下振れリスクを抱えています。国内経済においては、米国や欧州等の国際情勢の先行きに懸念がありますが、企業の想定為替レートを超える円安水準が輸出の増加や株高、業績改善を後押ししており、雇用・所得環境も堅調に推移する等、景気の緩やかな回復が持続しています。

このような状況下、当社グループは14中計(平成25年7月から平成29年3月までの中期経営計画)の最終年度にあたり、ありたい姿である「持続的成長と収益安定性を兼ね備えたバランスの取れた事業ポートフォリオの実現」に向けて(1)製造事業の変革、(2)エンジニアリング事業の拡大、(3)事業参画・周辺サービス事業の拡大という3本の戦略の柱と(4)経営基盤の強化からなる基本方針のもと、グループ総合力の増強やグローバル展開による事業拡大のための体制構築に取り組み、事業領域とビジネスモデルの変革を推し進めてまいりました。

また、平成29年11月に創立100周年を迎えるにあたり、平成28年2月に公表した当社グループが目指す将来像や方向性、今後の10年間にわたる会社のあり方を示す長期ビジョン「MES Group 2025 Vision」を当期よりスタートさせており、その達成に向けたファーストステップとして、17中計(平成29年4月から平成32年3月までの中期経営計画)を策定し、平成29年2月7日に公表しております。その中で、「環境・エネルギー」、「海上物流・輸送」、「社会・産業インフラ」の3事業領域に注力し、また、「経営基盤の深化」と「グループ経営の深化」を進めていくことにより、当社グループの総合力を発揮して利益率の向上と収益安定化を目指していく方針としております。

なお、平成29年3月30日の取締役会では、同年6月28日に開催の第114回定時株主総会において承認決議及び関係官庁の許認可等を得られることを条件に、平成30年4月1日を効力発生日(予定)として、会社分割による持株会社体制へ移行するための検討開始を決議しており、引き続き一層の企業価値向上に取り組んでまいります。

当連結会計年度の受注高は、海運市況の低迷により船舶部門が減少したこと及び前連結会計年度に子会社の三井海洋開発株式会社で大型プロジェクトの受注があったこと等により、前連結会計年度と比べて930億44百万円減少(△15.3%)の5,165億77百万円となりました。

売上高は、海洋開発部門及びエンジニアリング部門において、大型プロジェクトの進行基準工事の売上計上が減少したこと等により、前連結会計年度と比べて739億48百万円減少(△9.2%)の7,314億64百万円となりました。営業利益は、船舶部門の改善に加えて海洋開発部門が増益となったものの、エンジニアリング部門のプラント工事の採算が悪化したこと等から、前連結会計年度と比べて35億8百万円減少(△29.7%)の83億4百万円となりました。経常利益は、営業利益が減少したことに伴い前連結会計年度と比べて2億18百万円減少(△1.4%)の148億59百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益の増加に伴い税金等調整前当期純利益が増加した一方で、法人税等合計及び非支配株主に帰属する当期純利益が増加したことから、前連結会計年度と比べて45億94百万円増加(+60.5%)の121億94百万円となりました。

 

〔経営成績の推移:連結ベース〕

 

 

 

 

 

受注高

(百万円)

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

経常利益

(百万円)

親会社株主に帰属する

当期純利益

(百万円)

1株当たり

当期純利益

(円)

平成29年3月期

516,577

731,464

8,304

14,859

12,194

15.09

平成28年3月期

609,621

805,413

11,813

15,078

7,599

9.40

平成27年3月期

959,784

816,520

13,298

14,899

9,463

11.63

 

 報告セグメントの業績は次のとおりです。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。前連結会計年度との比較は変更後の区分に基づいて記載しております。

 

 

(船舶)

海運市況は、ここ数年間の新造船の大量竣工によって依然として余剰船腹を抱えており、特にドライバルク部門においては用船料の歴史的に低い水準が続く状況下、引合いに至る案件はごく僅かでした。平成29年の年初以来、用船料は回復基調を示し始めていますが、新造船価は未だ満足のいく水準ではなく、本格的な回復にはなお時間を要するものと予想されます。一方、比較的堅調であった原油タンカー及びLPG船部門においても、発注の進行に伴い、市場では船腹過剰感が囁かれ始めています。今後は、老齢船や高燃費船のスクラップによる余剰船腹の減少に加えて、新興国の成長持続によるマーケットの回復、海上荷動きの増加が期待されるところです。このような状況にあって、当社は省エネ・環境対応技術を取り入れた新型ばら積み貨物運搬船やVLCCを逐次開発・市場投入し、平成25年11月に省エネ船の1番船を引き渡して以来、56,000重量トン型・60,000重量トン型・66,000重量トン型・182,000重量トン型の各種省エネ型ばら積み貨物運搬船の竣工引渡しは累計50隻を数えるに至りました。

厳しい受注環境下ではありますが、今後も省エネ船の先行ヤードとしての強みを活かし、採算改善を図りながら選別的な受注を進めていくとともに、船主のニーズを喚起するガス燃料船等の新しい船型の開発に尽力してまいります。また、海洋関係については、市場の復調を睨みながら、当社開発の新しいコンセプトの新造FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)船体 「noah」で受注機会を追求してまいります。

受注高は、官公庁船等を受注しましたが、海運市況低迷で商船受注が振るわず、前連結会計年度と比べて413億37百万円減少(△37.9%)の677億12百万円となりました。売上高は、ほぼ前連結会計年度並みの1,266億90百万円となりました。営業損益は、海洋支援船の損失影響が続き、低船価船の減少、原価改善等により前連結会計年度と比べて89億24百万円改善したものの、97億53百万円の損失となりました。

 

(海洋開発)

原油価格は、産油国の減産合意を背景とした供給過剰解消への期待感から平成28年の年初の水準から持ち直し、原油価格指標であるWTIは1バレル50米ドル台まで回復しました。エネルギー資源の持続的な供給の観点から、石油会社による深海域を中心とした開発は継続的に行われると考えられ、浮体式海洋石油・ガス生産設備に関する事業については、中長期的に安定的な成長が期待されております。

このような状況にあって、平成28年2月に発表した「MES Group 2025 Vision」の事業領域ベースでの事業創出とその実現への推進力の強化を図るため、平成28年10月1日付にて全社的な企画機能を担う企画本部を設置し、海洋事業をその直轄事業の一つとする体制に変更いたしました。かかる体制変更により、当社グループでFPSO事業を手掛ける三井海洋開発株式会社とは、船体の製造だけでなく、トップサイドと呼ばれるエンジニアリング分野やアフターサービス事業、さらにFPSO傭船事業への共同参画等、当社グループ全体で協業を強化してまいります。

受注高は、FPSOの既存プロジェクトにおいて仕様変更及びオペレーションサービス等を受注しましたが、新規プロジェクトの受注期ずれ等により、前連結会計年度と比べて960億63百万円減少(△50.9%)の927億4百万円となりました。売上高は、既存FPSO建造工事の進捗等がありましたが、新規プロジェクトの受注期ずれ等により前連結会計年度と比べて665億62百万円減少(△22.6%)の2,284億19百万円となりました。営業利益は、既存プロジェクトの採算改善等により前連結会計年度と比べて125億22百万円増加(+233.1%)の178億95百万円となりました。

 

(機械)

舶用ディーゼル機関については、大型機関の受注が減少したことから受注高は前連結会計年度より減少しましたが十分な工事量を確保しております。生産量については大型機関の生産により前連結会計年度と比べて増加し、182基/378万馬力となりました。次期連結会計年度についても大型機関の生産により380万馬力程度を予定しています。また、NOx三次規制対応として排気ガス再循環システムを装備した舶用大型低速ディーゼル機関の商用初号機が国内で初めて採用されることが決定しております。

産業機械については、原油価格は持ち直しつつあるものの石油精製関連の設備投資が減少していることから厳しい受注環境にあり、受注高は前連結会計年度と比べて増加したものの低調な状況にあります。このような状況の中、平成27年1月に資本業務提携を行った株式会社加地テックとのシナジー効果を更に高めるため、同社の株式を対象とする公開買付けを実施し、平成29年3月16日付で同社を子会社としました。同社と協力して開発した、LNG焚き船舶向け燃料ガス供給用の高圧往復動式ポンプの製造・販売を始めとして、協調して業容拡大を図ってまいります。

運搬機については、国内海運大手3社のコンテナ事業統合により設備投資案件に遅れが出ていることもあり、受注高は前連結会計年度並みで推移しました。コンテナクレーンの引合いは豊富な状況にあり、引き続き堅調な需要が見込まれることから、これに対応するため大分事業所において大型設備投資を実施し生産能力を50%増強しました。

 

社会インフラについては、沿岸構造物やPC橋(プレストレストコンクリート橋)の受注が好調であったことから、受注高は前連結会計年度と比べて大きく増加しました。

アフターサービスを中心としたLSS事業(製品ライフサイクル対応型事業及び顧客問題解決型事業)については、上半期は海運市況低迷の影響を受けましたが、下半期は徐々に回復したことから、受注高は好調だった前連結会計年度に近い水準となりました。

受注高は、舶用ディーゼル機関、コンテナクレーン、橋梁、港湾関連構造物、各種産業用機械及びアフターサービス事業等により、前連結会計年度と比べて54億9百万円減少(△3.1%)の1,668億29百万円となりました。売上高はこれらの製品・事業によりほぼ前連結会計年度並みの1,748億47百万円となりました。営業利益は、前連結会計年度と比べて9億65百万円増加(+7.0%)の147億72百万円となりました。

 

(エンジニアリング)

石油化学分野の新規案件については原油価格の低迷により顧客側の出資者再編等、計画の見直しによる遅れが当社グループの受注計画に大きな影響を及ぼしました。

また、海外インフラ分野については、東南アジアの経済成長に伴う大幅な電力需要増加が見込まれるも、投資プロジェクトが遅延する傾向が続いております。

環境エネルギー分野については、再生可能エネルギーによる発電事業が制度変更により価格が下落したため、太陽光発電から風力、バイオマス・バイオガス発電事業等へ向かっております。当社グループにおいては、大分で2件の太陽光発電事業を、北海道ではバイオガス発電を事業化して、持分発電量約20MWを保有しております。

受注高は、石油化学分野での設備投資計画の遅延の影響等がありましたが、海外インフラ分野でインドネシア向け石炭火力発電土木工事や環境エネルギー分野で風力発電所建設工事を受注したこと等により、前連結会計年度と比べて489億70百万円増加(+48.5%)の1,498億93百万円となりました。売上高は、シンガポール向けの石油化学プラント建設工事、ベトナム向け及びインドネシア向けの発電土木工事が順調に進捗し、また、風力発電所建設工事の完工等がありましたが、前連結会計年度と比べて86億72百万円減少(△5.1%)の1,625億98百万円となりました。営業損益は、子会社で建設中のプラント工事の採算悪化により、前連結会計年度の82億97百万円の利益から173億33百万円の損失となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは78億43百万円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローは287億53百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは194億1百万円の収入となったことなどにより、前連結会計年度に比べて201億27百万円減少(△14.8%)して1,156億20百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の支出は78億43百万円(前連結会計年度は298億2百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が340億14百万円、減価償却費が185億76百万円、売上債権の減少による収入が107億83百万円、減損損失が50億90百万円などがあった一方、固定資産処分益が262億4百万円、仕入債務の減少による支出が444億67百万円、持分法による投資利益が55億48百万円あったことなどによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べて58億46百万円減少して287億53百万円となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の売却による収入が376億94百万円、貸付金の回収による収入が503億53百万円などがあった一方、有形及び無形固定資産の取得による支出が202億37百万円、投資有価証券の取得による支出が45億41百万円、関係会社株式の取得による支出が78億81百万円、貸付けによる支出が834億93百万円あったことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の収入は、前連結会計年度に比べて288億14百万円減少して194億1百万円となりました。これは主に、短期借入金の純減少による支出が141億74百万円、長期借入金の返済による支出が323億14百万円、配当金の支払額が32億20百万円及び非支配株主への配当金の支払額が18億64百万円などがあった一方、長期借入れによる収入が576億9百万円及び社債の発行による収入が150億円あったことなどによるものであります。

 

〔財政状態の推移:連結ベース〕

 

総資産

(百万円)

純資産

(百万円)

自己資本比率

(%)

営業活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

投資活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

財務活動によるキャッシュ・

フロー

(百万円)

有利子
負債残高

(百万円)

平成29年3月期

1,096,735

367,608

22.8

△7,843

△28,753

19,401

275,557

平成28年3月期

1,094,042

343,853

21.5

29,802

△34,599

48,216

252,195

平成27年3月期

1,074,563

347,305

22.0

15,167

△32,385

△4,374

200,985