【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度における世界経済は、米国では雇用環境の改善や個人消費の拡大を背景に、景気回復が持続しました。欧州では、英国Brexitによる不透明感が漂ったものの、ユーロ圏全体では概ね堅調に推移しました。また、中国では経済成長が緩やかなものとなる一方、新興各国では減速傾向ながら一部で底打ち感も見られるなど、まだら模様となりました。日本経済は、春先から円高傾向による企業業績への影響や個人消費の伸び悩みなど、2015年より一転して潮目が変わりましたが、堅調な雇用や年末以降の円安傾向を背景に、緩やかに持ち直しました。

 

[電子部品事業]

 エレクトロニクス業界においては、自動車市場では、好調な米国景気や中国での小型車減税による需要増、また原油安などを背景に好調を持続しました。モバイル市場では、北米メーカーの新型スマートフォンが堅調に推移するとともに、高機能モデルを投入した中国メーカーが躍進しました。また、VR(バーチャルリアリティ)製品が市場に投入され、関連技術に注目が集まるなど、エレクトロニクスの更なる進展に向けた動きも活発化しています。

 この中で電子部品事業では、2016年4月より3年間の第8次中期経営計画がスタートし、潮目の変化を受けながらも持続的な成長に向けた各種の取り組みを進めました。車載市場では、各種操作入力用モジュール、通信モジュールなどを中心に、売上は全般にわたり堅調に推移しました。一方、モバイル市場では、スマートフォン向けコンポーネント製品が年央まで軟調でしたが、後半より好調さを取り戻しました。新しいEHII(Energy、Healthcare、Industry、IoT)市場向けでは、注目のIoT(Internet of Things)市場で各社との協業を推進し、具体的な取り組みを進めました。以上から、当期は前期に比べて為替の円高による影響を大きく受けましたが、業容は着実に拡大しました。

 

(車載市場)

 電子部品事業における車載市場では、ADAS(先進運転支援システム)の搭載や自動運転の一部実用化など、自動車メーカー各社の取り組みにも拍車がかかり、クルマのエレクトロニクス化がより進展しました。この中で、電子シフターやBluetooth®、W-LAN、LTEなどの各種通信モジュール製品、及びセンサをはじめとした各種車載デバイス製品など全般にわたって堅調に推移しました。また、2016年10月には車載製品製造子会社であった栗駒電子(株)を吸収合併するなど、生産活動の強化も進めました。

 当連結会計年度における当市場の売上高は2,560億円(前期比3.4%増)となりました。

 

(民生その他市場)

 電子部品事業における民生その他市場では、モバイル市場において、カメラ用アクチュエータやスイッチを中心としたスマートフォン向け製品が当初は軟調に推移したものの、中国メーカースマートフォンの高機能化や北米メーカーの新製品の好調などから、年度後半より好転しました。また、HMI(Human Machine Interface)分野では、当社のハプティック®がVR市場の立ち上がりなどから注目を集め、ゲーム機をはじめとして、さまざまな市場での展開に向け、製品開発や提案活動を進めました。EHII市場では、IoTスマートモジュールを用い、通信等各社との協業によるソリューション提案を進めるとともに、パワーエレクトロニクス分野でのアルプス・グリーンデバイス(株)の吸収合併、また海外電力会社との協業契約締結など、事業基盤の確立及び将来の拡大に向けた具体的な取り組みを進めました。

 当連結会計年度における当市場の売上高は1,816億円(前期比2.6%減)となりました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の電子部品事業の売上高は4,376億円(前期比0.8%増)、営業利益は328億円(前期比19.6%減)となりました。

 

[車載情報機器事業]

 カーエレクトロニクス業界は、インフォテインメントシステムを核とした車載情報分野と、自動車の電子化・自動運転・AI(人工知能)などの新分野との連携が拡大し、業種・業態を超えた競争が激化しました。

 このような中、車載情報機器事業(アルパイン(株)・東証一部)では、世界最大規模の自動車市場である中国のモーターショーに出展し、ナビゲーションを核とした車種専用ソリューション及びプレミアムサウンドシステムの訴求を図りました。また、中国でEV(電気自動車)市場が急拡大する中、次世代バッテリー制御システムの開発など、EV関連事業に注力している持分法適用会社の資本増強を実施し開発機能の強化を図りました。国内では、市販市場にビッグXシリーズの新製品11インチ大画面ナビゲーションを投入し、他社との差別化を図りました。一方、自動車メーカー向け純正品は、燃費や環境に配慮した薄型・軽量スピーカーや、設置場所の自由度を向上させた軽量・小型の新製品レイアウトフリースピーカーの受注拡大を図りました。更に自動運転時代を見据え、日本アイ・ビー・エム(株)と共同で次世代車載システムの開発をスタートさせるとともに、ナビゲーション開発で培った位置制御技術を応用したドローンを活用する新規ビジネス創出を図るなど事業基盤の強化に取り組み、為替変動の影響を大きく受けながらも堅調に推移しました。

 以上の結果、当連結会計年度の車載情報機器事業の売上高は2,423億円(前期比9.4%減)、営業利益は56億円(前期比3.5%増)となりました。

 

[物流事業]

 物流事業((株)アルプス物流・東証二部)は、主要顧客である電子部品業界において、車載関連が米国や新興国需要によって好調に推移しました。また、昨年の夏場以降はスマートフォン向けの需要も拡大に向かいました。

 このような需要動向のもと、物流事業では、グローバル・ネットワークの拡充や、国内・海外が一体となった提案営業を推進するとともに、運送・保管・輸出入各事業それぞれの生産性向上に取り組みました。国内では、相模原(神奈川県)や金沢(石川県)に倉庫を開設、名古屋の倉庫を拡張するとともに、九州や北陸地区を中心に輸送ネットワークの拡充を図りました。一方、海外では、中国の無錫(江蘇省)、タイのバンナ、韓国の仁川、ドイツのドルトムントなど既存拠点で、それぞれ倉庫の拡張を行いました。また、重点戦略地域の一つであるアセアンにおいては、倉庫の拡張に加えフィリピンのマニラに駐在員事務所を開設し、物流インフラの強化と今後のグローバル成長を推進しました。

 以上の結果、当連結会計年度の物流事業の売上高は611億円(前期比1.5%増)、営業利益は50億円(前期比4.6%増)となりました。

 

 以上により、上記の3事業セグメントにその他を加えた当連結会計年度の当社グループにおける連結業績は、売上高7,532億円(前期比2.7%減)、営業利益443億円(前期比15.2%減)、経常利益427億円(前期比14.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益349億円(前期比10.5%減)となりました。

 なお、当連結会計年度の米ドル及びユーロの平均為替レートはそれぞれ、108.38円及び118.79円と、前期に比べ米ドルは11.76円の円高、ユーロは13.79円の円高で推移しました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ11億円増加し、当連結会計年度末の残高は、1,179億円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における営業活動による資金の増加は、416億円(前期は539億円の増加)となりました。

この増加は、主に税金等調整前当期純利益495億円、減価償却費330億円及び仕入債務の増加額95億円による資金の増加と、売上債権の増加額279億円、法人税等の支払額142億円、関係会社株式売却益76億円による資金の減少によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における投資活動による資金の減少は、379億円(前期は303億円の減少)となりました。

この減少は、主に有形及び無形固定資産の取得による支出474億円による資金の減少と、関係会社株式の売却による収入93億円による資金の増加によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における財務活動による資金の減少は、3億円(前期は363億円の減少)となりました。

この減少は、主に長期借入金の返済による支出127億円、配当金の支払額58億円による資金の減少と、短期借入金の純増減額144億円、長期借入れによる収入83億円による資金の増加によるものです。